Now,we are HERE!
訪れた国は78カ国
旅した期間は1257日
2016年2月14日に帰国!
プロフィール

ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
2012年09月 世界旅行に出発

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日本


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楽しいけれど切ない日本人宿の日々

2015.04.17 10:26|アルゼンチン☞EDIT
最近ついてないけれど、気を取り直して楽しもうと思っているイクエです。
ついてないっていうのは、ヒッチハイクに失敗したり、思いがけない出費がかさなったり、両替のレートがものすごく悪くて大損したり、物を失くしたり・・・。
旅でありがちな嫌なことがここ最近立て続け。
でもきっときょうから風向きが良くなる、と信じています。

パイネのトレッキングを大満喫したイクエとケンゾー。
パタゴニアの魅力はまだまだいっぱい。
次に訪れるのは、エル・カラファテ
ペリト・モレノ氷河の拠点になる街。

カラファテ

きょうもヒッチハイクでめざす。
今いるプエルト・ナタレスからカラファテまではおよそ280キロ。
なんとか1日でたどり着きたい。
とはいえ、出発が遅くなってしまって11時にヒッチハイク開始。

やってみたものの、手応えがない。
もう少し先に分岐点がある。
ドライバーにわたしたちがどちらに行きたいのか伝わらず、止まってくれないのかもしれない。

ヒッチハイクは立つ場所が肝心。
数百メートル移動することにした。

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およそ20分後、一台の車が止まってくれた。
おじさん2人組。
ありがたい。

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スペイン語が話せないわたしたち。
せっかく乗せていただいたので、会話を弾ませたい。
名前を言ったり尋ねたり、「わたしたち日本人です」と言ってみたり。
「ウシュアイアから来てパイネをトレッキングしたんですよ」「パイネはすごくきれいでした」なんてことをつたないながらも全力で伝える。

そしてそれを理解してくれようとしてくれる。
わたしたちスペイン語ができないのに、なんどもゆっくり簡単な単語で尋ねてくれる。
それでもほとんど会話が通じないのに笑ってくれる。

それがチリ人。

およそ10分のドライブ。

わたしたちはこれから国境を越えてアルゼンチンに入国する。
おじさんたちはそのままチリ国内を移動するので、国境の手前で降ろしてもらった。

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正確に言えば国境ではなく、ここはチリ側のイミグレーション。
国境はここからまだ数キロ先にあり、さらにその国境から数キロ向こう側にアルゼンチン側のイミグレーションの建物がある。
つまり、チリの出国手続きをする場所とアルゼンチンの入国手続きをする場所がかなり離れていて、歩いてはいけないということ。

だからチリの出国手続きをしたあと、ふたたび車に乗せてもらってアルゼンチンのイミグレーションまで移動しないといけない。

だけどこの国境、通る人がほとんどいない。
車なんていったいいつ通るんだろうか。

スムーズに出国のスタンプを押してもらったはいいけれど、次の車が来る気配はなし。
気長に待つしかない。
パソコンを開いて、ブログの記事を書くことにしたケンゾー。

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なんてのどかな場所だろう。

車が来ないかわりに、馬に乗った牛飼いが犬を引き連れて牛たちを放牧している。
彼らは無国籍地帯を行ったり来たりしているのだろうか。

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もし車が来たら、そのチャンスを逃さずに全力で止めるしかない。
きっと車に乗っている人も、こんなところにポツンといたら何かなと思って止まってくれるかもしれない。

数時間待つことを覚悟していたけれど、その前にチャンスはやって来た。

乗っていたのはアルゼンチン人のご夫婦。

「国境まで、ちょっとでいいのでお願いします!」

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わたしたちの入国手続きを待たせるのも気が引けるので、アルゼンチンのイミグレーションの建物の前で荷物を全部下ろし「グラシアス(ありがとう)」と言って、車から降りた。
けれどご夫婦は、わたしたちが入国スタンプを押してもらうのを待ってくれていてふたたび車に乗せてくれた。

「ムーチャス グラシアス(ほんとうにありがとうございます)」

ご夫婦が住んでいるのは国境からおよそ17キロの、その名も「11月28日街」。
アルゼンチンでは地名や公園、通り名に日付が入っているものが多い。
アルゼンチンの歴史で重要な日付らしい。
11月28日というのは、何なのかよくわからないけど、「国家主権の日」がそのあたりなので関係があるのかもしれない。

11月28日街で降ろしてもらったあと、ふたたびヒッチハイク。
仕事中の男性が止まってくれた。
スペイン語で何か話しかけてくれるけれど、よくわからない。
とりあえず「シー(はい)、シー(はい)、ポキート(ちょっとだけ)OK?」とお願いすると、笑顔で乗せてくれた。

「アルゼンチンはどこに行くの?」「この街がお勧めだよ」なんてことを言ってくれる男性。

そんな男性とのドライブは、ものの数分で終わってしまった。
ほんとうにポキートだった。
でも、わたしたちがヒッチハイクを続行しやすいようにわざわざわたしたちがめざす方向の道まで進んでくれて、わたしたちを降ろすと「アディオス(さようなら)!」とさわやかに言ってUターンして自分がめざす道へと戻っていった。

その次に止まってくれたのは、大きなトラック。

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会話ができないわたしたちを快く乗せてくれて、キャラメルを何度もくれた。
ヒッチハイク中はどんなに眠くても、寝るのは絶対に避けたい。
ケンゾーは必ずといっていいほど、乗り物に乗ったらすぐに居眠りをする。

ケンゾーのまぶたが閉じてきて、首がこくんとなったらすかさず後ろからツンツンとする。

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こっちとしては気が気じゃない。
後ろからだと起きているのか眠っているのか確認できないときもある。
そわそわしながら1時間半過ごした。
「根性なしのケンゾー、いいかげんにして!そのくらいがんばって!」って思うんだけど、ケンゾーは「根性とか関係ない。こっちだって睡魔と戦ってるんだ!」と反論する。

およそ75キロ進んだ分岐点でトラックとはお別れ。
ヒッチハイクではお昼ご飯を食べるタイミングがなかなかない。
ガソリンスタンドがあったので、パンでも買おうと思ったけど高いので断念。
ビスケットを買ってかじりながら車が通るのを待つ。

a_DSC_4699.jpg

なかなか車が通らないし、通っても止まってくれない。
立っている場所が悪いのかもしれないと思って200メートル先に移動する。

すでに1時間以上が経った。
するとライバル出現。
わたしたちがさっき立っていた場所にバックパックを持ったカップルが。
そして1分後に車が彼らの前に止まり、二人を乗せてわたしたちの前を走り去っていった。

ちょっと、ちょっと、ちょっとおおおーーーー!!!!

こっちは1時間以上前から待ってて、彼らはたった今やってきたんですよー!!
わたしたちを先に乗せてくださーい!!
と言いたいけれど、ドライバーにとってはそんなことわからない。

チリやアルゼンチンの南部はヒッチハイクをする旅人が多い。
同じ場所にライバルが出現する。
人によっては自分よりも前にヒッチハイクをしている人がいたらその人に遠慮して、前の人がヒッチハイクに成功するまでその場に座って待ったり、その人よりも不利な場所に移動してヒッチハイクをしたりする。

でも、そんなことお構いなしにヒッチハイクをする人もいる。

「なんなの、あのカップル!」
「はああ~。」

どっと疲れがやってきた。
でも、文句を言っても仕方がない。

ここでヒッチハイクをしておよそ1時間20分後。
ようやく車が止まってくれた!

「荷台だけどいい?」
「もちろん。」
「警察に見つかったら捕まるけどね、ハハハ。」

荷台に人を乗せるのは厳密には禁止されているみたい。
よく、見かけるけど。

警察に捕まるリスクを負って、わたしたちを乗せてくれたドライバーに感謝。

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パタゴニアの大地を駆け抜ける車。
荷台に乗って風にあおられ、パンパ(アルゼンチンの大平原)を見つめる。

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中学1年のころ使っていたチリの教科書に「パンパに生きる人々」というようなタイトルでアルゼンチンの人たちの暮らしが紹介されていた。

世界にはそんなところもあるんだと思った。
それから20年後、自分がこんなふうにパンパを走るなんて想像もしていなかった。

どこまでも続く、茶色い大平原。
殺風景で、寂しさすら感じる。
そんななか、眩い色の湖が見えてきた。

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もちろん、もともとの湖の色も鮮やかだけれど、色のないパンパのなかにあるからこそこんなにもまぶしく見えるのかもしれない。

荷台に乗っておよそ2時間。
目的地エル・カラファテの街の入口に着いた。

「そこに警察のチェックポイントがあるから、降りて歩いてくれない?
 チェックポイントを過ぎたところで待ってるから!」


わたしたちは500メートルくらい歩いて、ふたたび荷台に乗った。

車に乗せてくれたのは高校で音楽の教師をしているウーゴ。
ほんとうにありがとう!!

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彼とはフェイスブックを交換したんだけど、翌日おかしなメッセージが。

「〇〇はエンジェルのような顔だ!
 □□はとってもかわいい!!」


メッセージの内容はこれだけ。
ケンゾーと見て爆笑した。

〇〇や□□は、フェイスブック上のわたしたちの友だち。
彼はわたしたちの女友だちをいちいちチェックし、品定めをしていたのだった。
さすがラテンの男は違う。

でも彼の目はたしかなようで、彼が「エンジェルフェイス」と絶賛するわたしたちの女友だちは、アナウンサー。
もちろん彼女がアナウンサーであることまでは彼は知らないけれど、彼にとっても彼女はひときわ美しく見えたのだろう。

ここ、エル・カラファテには有名な「Fuji旅館」という日本人宿がある。
日本人宿に定義はないけれど、「オーナーが日本人(もしくは日本人に親しみをもっている人)で客もほぼ日本人であり、日本の旅人が連泊したくなる居心地のいい宿」とでも言えばいいかな。

Fuji旅館も人気だけど、最近日本人に人気が出てきた宿があるらしい。

HOSTEL AMEL

Fuji旅館は街から少し遠くて、少しお高い。
こちらの宿はバスターミナルのすぐ近くで利便性がよく、宿泊費もFuji旅館の3分の2。

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オーナーはアルゼンチン人の女性。
厳密に言えば日本人宿ではないけれど、宿泊客はほぼ日本人でオーナーも日本人が好きになっていて日本人宿と化している。

宿泊費が安くて利便性が良くて居心地が良ければ、いまの時代ネットや旅仲間同士で口コミで広がり、日本人旅人が集まるようになる。

HOSTEL AMELは全ドミトリー。
宿泊費は100ペソ(およそ1000円)。

わたしたちが着いたときは満杯で、もっていた寝袋を広げて床に寝た。
床やソファーだど半額くらいで泊まらせてもらえる。

旅人のなかには日本人宿を渡り歩く人もいる。
日本語で会話できるし、日本人と盛り上がって楽しいし、日本人にとって使い勝手と居心地がいい空間になっているのでリラックスできる。

でもわたしたちはいつも夫婦で旅しているから、孤独を感じないし、いつも日本語で会話しているので日本人宿が恋しくなることはない。
逆に、こんなに日本人が集まるところにくるとソワソワしてしまう。
しかもほとんどの旅人はわたしたちよりもだいぶ若い。
ノリが違う。

だから最初はこの宿も居心地がいいものではなかった。

でも後日、仲間が登場!
ナミビアでいっしょにレンタカーの旅をしたヒトシくんとチーちゃん。

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そして、南アフリカの喜望峰をレンタカーでいっしょにまわったトシくん。
アフリカで出会ったときはトシくんは現地人の女性のように髪を編み込んでコーンヘアーにしてたんだけれど、それをとっちゃったのでワイルドなアフロになっていた!
そして似たような旅人がほかにも二人。
なんなんだ、このトリオは!?
ちなみに奥がトシくん。

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ヒトシくんに会うなり言われた。
「イクエさん、親子丼作って!!」。

親子丼?
そういえば、ナミビアの宿で作ってヒトシくんとチーちゃんに食べさせたなあ。

ヒトシくんはわたしたちと同じようにここに来る前にパイネでトレッキングをしていた。
驚くことにわたしたちが4泊5日でやったコースを3泊4日でやっていた。
しかも最初は2泊の予定で組んでたけど、途中で無理だと気づいて3泊にしたらしい。
さらには寝袋も持っていかず、テントの中で寒いのにそのまま寝ていたらしい。
しかもガスコンロも持っていかずに、パンと果物でしのいだらしい。
かなりしんどい思いを味わったらしい。
当然だよ!

で、ヒトシくんといっしょにトレッキングをした、社長(若いけどネットのお仕事で稼いでいるので「社長」というニックネーム。わたしたちは社長ともケープタウンで会っていた。社長のブログはこちら!)が言った。

「パイネトレッキングの間、ずっとヒトシさんが『イクエさんの親子丼を食べたい。イクエさんに親子丼を作ってもらおう!』って言ってたんですよ。」

「もうね、これ乗り越えたらイクエさんの親子丼が待ってるって言い聞かせて、パンと果物で寒いなかパイネをなんとか歩いてきたんだから。」と言うヒトシくん。

そんな極限状態でお袋の味じゃなくて、わたしのなんちゃって親子丼を思い出してくれて光栄だよ!

まあ、作るのはケンゾーだけどね。

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わたしがブログを書いている間、ケンゾーがフライパンで作った親子丼。
唯一わたしがアドバイスしたのは「つゆだくで」ってこと。
こっちのお米はパサパサなので、たっぷりのつゆを含んだ親子丼じゃないと台無しになる。

ケンゾー、もうちょっとつゆがあってもよかったんじゃないの?

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あとは、天ぷらも作った。
玉ねぎとカボチャとイモとニンジンと・・・。
天ぷらにもヒトシくんたちは感動してくれた。

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大量の野菜を揚げるのはけっこう疲れるので、ヒトシくんとチーちゃんにバトンタッチ。
そしたらキッチンから聞き捨てならない二人の会話が・・・。

「なんかもう揚げるの面倒くさいね。
 もう揚げずに焼いちゃおう。」

「それがいいね。
 焼こう、焼こう!」


あんたたち!
さっき「おいしい」って言って天ぷら食べてたでしょうが!!
ただ焼いてどうするの!!

この宿に入り浸っていたチーちゃん。
でも、チーちゃんはこの宿に泊まっていない。
理由は「ホットシャワーが使いたいから」。
たしかにこの宿はタイミングが悪いとアツアツのお湯が出ない。
ホットシャワーにこだわるチーちゃん。
ガサツに見えて、意外と乙女である。

それにしても堂々とキッチンで食事を作り、ダイニングで食べ、堂々とレセプションの前に居座って一日中インターネットをしている部外者のチーちゃんを、この宿のオーナーは一度もとがめない。
なんて寛大な宿!!

寛大な宿で、わたしたちは毎晩和食を作った。

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この日作るのは餃子!
アフリカのザンビアで海外協力隊の渡辺氏に餃子の作り方を訓練されたので、わたしたちがみんなにそれを伝授する。
小麦粉をこねて、ビール瓶やワイン瓶で延ばしていく。

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さらに、もつ鍋も!
お肉が大好きなアルゼンチン人。
スーパーで内蔵系のお肉が手に入ることがある。

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みんなで食べると格別!
10人くらいで食べたけれど、そのうちわたしたちを含めて3組が夫婦。
さらにほぼ全員が世界一周中。

日本にいると「世界一周旅行」なんて奇抜な感じがするんだけれど、旅行中に出会う日本人旅人の過半数が世界一周中の人。
ヨーロッパの国と違って、日本の社会人は長期休暇が取れなくて1か月単位の自由な旅行ができない。
だから旅がしたい人は、会社を辞めることになり、辞めたら時間を持て余すので「だったらこの際、一年以上かけて世界一周しちゃおう」となるようなのだ。

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この宿には、日本人の旅人のほかに宿泊客がいた。
ダイニングの後ろの共用スペースのソファをベッドメイキングしている白髪まじりの男性。

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このソファで寝泊まりしている。
しかも男の子と毎晩肩を寄せあって。

おじさんはいつも暇そうにしている。
こんなところに泊まって、何をしているんだろう。

スペイン語がわからないなりにおじさんと会話してみると、おじさんはとめどなく話しはじめた。
わたしたちが孫かと思っていた男の子は、実の息子だということ。
その子の母親であり、男性の妻とはどうやら死別、もしくは離婚したようだった。
このくだりで男性はいきなり泣きはじめた。
そして男性が描いたと言う妻の肖像画をわたしに見せた。

わたしはたまに不覚にも人を泣かせてしまうときがある。
こちらとしては「あー、そうなんですね。ふんふん。」と話を聞いているだけのつもりだけど、相手の深い部分を吐き出させて泣かせてしまう癖がある。

男性が口元を手で押さえて泣きはじめたとき、わたしとケンゾーは男性の目の前で普通にパスタを食べていた。
どうすればいいのかわからないので、ケンゾーと無言でパスタを食べ続けた。
男性は、息子の名を呼んで息子を抱き寄せると、男の子は慣れたような仕草で男性をなぐさめた。

なんか映画のシーンを見ているようで切ない。
まあ、わたしたちはパスタを食べていたのだけれど・・・。

理由は分からないけど、いま男性は家がない。
男性の職業は画家。
パタゴニアの自然の風景を描いているのだそう。
夏休み中の息子を連れて、ここで絵を描きながら売り歩いている。
朝、自分の作品をいくつか抱えて息子とともにホテルを出ていく。
もちろん息子も両腕に父の大きな絵を持っている。
そして夕方、同じ枚数の絵を抱えて親子で戻ってくる。
ため息とともに。

切なすぎる。
ハウス食品の日曜名作アニメになりそうだよ。

でも正直言って絵はうまいんだけれど、ありきたりな感じで惹かれない。
雪の降るパタゴニアの湖や枯れ葉舞う森、なんだかとてもわびしい。
男性のこれまで歩いてきた人生がそうさせているのかもしれない。
それに価格設定が高すぎる。
ひとつ10万円くらいする。

息子がかわいそうになってくる。

そんな父親をもつ息子だけどとても子どもらしくて明るい。

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父がそんな感じだから、絵を売る時間以外はホテルで一日中テレビを見るしかない。
ケンゾーが紙飛行機を折ってあげると喜んでいた。
わたしが「いっしょにスーパーに買物に行って料理を作ろう」って誘うと男の子は嬉しそうにしたけれど、父親が「ダメだ ここにいなさい」と息子の外出を許してくれなかった。

わたしたち日本人旅人がうるさく騒ぐ横で、二人で窮屈そうに縮こまって毛布にくるまってソファで寝る日々。

日本人の旅人たちと騒ぎながらも、この親子のさびしげな表情を見るたびになんだかモヤモヤする感情がわいてくる。

楽しいけれど切ない滞在となった。

絶景よりもわたしの心をつかんだ意外なもの

2015.04.09 06:17|アルゼンチン☞EDIT
やっとブログの記事がアフリカを抜け出して南米になって、うれしいイクエです。
ご存知の通り、このブログには記事とリアルタイムに差があります。
同じタイミングで書ければいいんだけど、インターネットがなかったり疲れて書けなかったり、1日のできごとの内容が濃すぎて2日に分けたりして、どうしても記事が追いつかないんです。

アメリカ大陸最南端の都市と言われるウシュアイアに来たイクエとケンゾー。
「最南端の都市」に行ってみたい人と、南極大陸クルーズにここから向かう人がやってくるところ。
ウシュアイア自体に有名な観光地がたくさんあるわけではない。

強いて言えば、ビーグル水道という海峡をクルーズしてアザラシやペンギンを見るツアーに参加するか、湖や山が連なるティエラ・デル・フエゴ国立公園を散策するか。

ビーグル水道クルーズに似たようなものはタスマニアでかつてやっている。
ボートに乗ってアシカを見たし、ペンギンはケープタウンで見たばかり。

フエゴ国立公園もいいのはいいけれど、ガイドブックやインターネットに載っている写真を見てもそれほど絶景とは思えない。
入場料もかかるし、公園入口まで行くバスや電車の運賃も高いので、そこにお金をかけてまで行くつもりもない。

でもせっかくウシュアイアに来ているのに何もしないっていうのも・・・。

そんなとき宿に張ってあるポスターに目が止まった。
それは美しい湖と山の写真。

エスメラルダ湖

エスメラルダとはスペイン語で「エメラルド色」のこと。
その名のとおり、写真の湖の色は淡い緑に白い絵の具が溶けたようななんとも言えない色。

行ってみたいなあ。

ポスターはエスメラルダ湖にツアーバスで行けることを宣伝していた。

ツアー代は高いし、それに自分たちのペースで歩きたい。
自分たちで行けないかなあ。

街からエスメラルダの登山口までおよそ20キロ。

たどり着くかどうかはわからないけど、とりあえず路線バスとヒッチハイクと歩きで目指すことにした。

行けるところまで路線バスに乗り、終点で降りた。

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ウシュアイアと書かれた大きなゲートを出る。
ここで、ウシュアイアの街が終りということなのかもしれない。

なぜかここに警察が常駐していて、パスポートチェックをされてノートに記名し、行き先を告げる。
そしてわたしたちは、歩きながらヒッチハイクをすることにした。

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車道とは言え、歩くのは気持ちがいい。
ポカポカ陽気。
少しだけ雪を抱いた緑深い山々。
鷹のような鳥もいる。

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歩きはじめて30分あまり。
一台の車が止まってくれた。

アメリカ大陸初めてのヒッチハイク成功!
記念すべき1台目。

わたしたちは、このあとパタゴニアでたくさんヒッチハイクにお世話になることになる。

車窓からの景色は絶景続き。
美しい山々が次から次に流れていく。

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「ここで降りるといいよ。」
「グラシアス(ありがとう)!」

ちゃんとしたゲートがあるのかと思ったらそうではない。
空き地のようなスペースに何台かの車が止まっている。
もちろん、入場料など払うところもない。
すぐに森が始まる。

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うっそうと茂る木々。
この先にどんな景色が待ち受けているのか。
湖はどんなふうに出現するのか。
まったく予測できない。
でも、だからこそワクワクする。

木々の陰からチラチラと池が見え始めた。
その奥にそびえる山。
でもこの池は目的の湖ではない。

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それでも、美しい山の形や咲き誇る野花に「おお〜!」と感嘆の声を上げる。
南極に行く拠点となるウシュアイアの街。
最南端の都市。
厳しく荒々しい自然を想像するけど、ここはこんなにも明るさと生命力に満ちている。

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そして、ケンゾーがあるものを発見した。
いっきに気持ちが高ぶるケンゾー。
「ほら!あの湖の上に浮かんどるヤツ、あれは巣や!」

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枯れたような枝が重なって、小高い山ができている。
これこそ、ビーバーの巣!

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「へぇ〜」と言うわたしに対し、声をうわずらせて興奮するケンゾー。

「近くまでいこう! うわあ〜!」

早歩きで進んでいく。

べつにビーバーそのものに遭遇したわけじゃないのに、こんなに興奮することなんだろうか。

動物好きのケンゾー。
犬はもちろん、いろんな動物が好き。
その昔、体長1メートル50センチのイグアナを飼っていたこともあった。
わたしは爬虫類をペットにする人の気が知れなかったし、変人だと思うし、将来そんな人と結婚するなんて想像もしていなかった。
ケンゾーに言わせれば、イグアナもかわいいらしい。
意味わからん。

そんな動物好きのケンゾーだから、ビーバーの巣を生で見られたことに大興奮。

「すげぇ〜」「すげぇ〜」と連発する。
ふ〜ん。

ビーバーの巣を見られただけでこんなに喜んでいるんだから、この場所をチョイスしてよかったよ。

たしかに、すごい。
ビーバーは巣だけでなく、川を枯れ木で堰き止めてダムまで作っている。

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ダムを作ることで、川はいくつもの湖となり岸辺の長さが増えて食べ物を取る範囲が増えるというメリットがあるのだそう。

また彼らの巣は、外敵の侵入を防ぐために水の中に作っているので、大雨などで水かさが増すと巣が流されてしまう。
水かさを一定に保つためにダムを作っているんだって。

奥の奥までダムができている。
ビーバーって働き者!!

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巣やダム作りのために、大きな歯で木をかじり倒す。
さらにビーバーは木の葉や木の皮を食物としているらしい。
一日に2キロも食べるんだって。

だからまわりの木々をよく見てみると、ビーバーにかじられた跡が。

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あっちこっちの木が、高さ30センチくらいで切り倒されている。
ビーバーは「自分の生活のために周囲の環境を作り替える、ヒト以外の唯一の動物」なんて言われているらしい。

ビーバーによって、川にはいくつものダムがあり、上流から下流へ段々畑のようになっている。
そんなビーバーのダムを横目で見ながら、エスメラルダ湖をめざしていく。

このあたりの標高はとても低い。
それなのに氷河を抱く山がすぐ近くにあり、標高の高い場所を歩いているような錯覚を覚える。
それは、ここが南緯55度だから。

「森林限界」という言葉がある。
寒さや雪、風などにより、木が育たなくなる限界高度のことを指す。
ここは標高が低いのに、森林限界に達している。

普通なら長い距離を数時間かけて歩きながら、気温や植物の変化を感じていく。
しかし、ここではわずかな高度差で、環境ががらりと変わるのが一目瞭然。

手前には花が咲き誇り、その次は森林、そして短い草だけになり、すぐに森林限界となりむき出しの山肌が見え、山頂に万年雪。

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まだ登りはじめてわずか。
それなのにこんなにも雄大な自然を感じることができる。

ビーバーの生息地をあとにし、ふたたび森へと入った。
するとなにやら音が聞こえてきた。
シャンシャンシャンシャン。
タッタッタッタ。

ソリのような・・・。
でもこんな晴れたところでソリなんて。
と思っていたらー。

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犬ぞり!!
地面はぬかるんでいてぼこぼこして進みにくそうだけど、こんなところでも犬ぞりを使うんだね。
「北国に来た」って感じ。
(実際には極じゃなくて極に近いけど。)

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森を抜けるとふたたびひらけた場所になり、さっき遠くに見ていた雪山が迫っていた。

きょうはとてもいい天気。
パタゴニアはいま夏。
でも天気がすぐれない日も多い。
それなのにこんなにも青空が頭上に広がっている。

大自然に圧倒されながら、山道を登っていく。

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けっして楽ではない。
上り坂はきついし、汗ばむ。
だけどここでは高山病の心配もないので、息苦しくはない。

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わたしたち夫婦は、それほどアウトドアが好きでもなかったし登山やトレッキングが趣味でもなかった。
だけど旅に出てから、トレッキングをするたびに絶景に出会い、感動してきた。
そんななか、わたしたちが好きなのは「湖をめざすトレッキング」だということに気づいた。
登山だと、だいたいあとどのくらいで山頂に着くのかがわかる。
もう少しで山頂だという心構えもできる。
山頂に行く途中に見晴しのいい場所がいくつかあり、頂上にたどり着く前に美しい景色が見えることもある。

でも、湖は違う。
「ここを曲がったら着くかな」「あの丘を越えたら見えるかな」と思ってもそこに湖はなかったり、逆に森を抜けて突然目の前に美しい湖が出現することもある。
湖にたどり着くまで、それがどんな姿なのかもわからない。

湖へのトレッキングには驚きと感動がある。

今回も、目の前の岩をよじ登ると、突然絶景が広がった。

「うっわあ〜!!」

「きれー!!」

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山に囲まれてひっそりと、でも存在感たっぷりに水をたたえているエスメラルダ湖。
エメラルド色の湖面に光が反射し、キラキラと輝いている。
そして、その向こうには雪山。

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あの雪が溶けて、この美しい湖をつくりだしている。

わずか2時間あまりのトレッキング。
なだらかな上り坂ではあったけど、それほど登ってきた感じもしない。
だけど目の前に広がるのは、標高が高い場所でしか見えない景色。
携帯を取り出して標高を測ってみた。
わずか387メートル。

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湖を眺めながらランチタイム。
贅沢な時間っていうのはこういうのを言うんだ。

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お腹を満たしたあとは、湖畔にごろんとねっころがりお昼ね。
まどろんで目を開けると、まぶしい光が入ってきて、青空と神々しい山と鮮やかな湖が飛び込んでくる。

地球って、美しい。

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湖畔に鳥がいた。
カウケンという鳥。
マゼランガンとも言われている。
白いオスと茶色いメスがかならずつがいで行動しているのだそう。

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湖をぐるっと散策してみる。

「絵に描いたような美しい景色」なんて表現があるけれど、絵よりも美しい景色こそ本物だ。

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勢いよく水が流れる音が響いている。
その正体は雪山から流れる幾筋もの細い滝。
それが川となり、冷たい雪解け水を運んでいる。

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飲んでみると冷たくておいしい。
とてもきれいな水ではあるけれど、少しグレーがかっている。
不思議なのはこの川の水が湖に注いでいるということ。
色がぜんぜん違う。
流れがあるし浅いので色が違って見えるのかも。

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これまでほかの場所でも氷河が溶けた湖を何度か見てきた。
こんなふうにエメラルドグリーンに白が混ざったような色をしている。

少し濁りがあるのは、氷河と岩山が擦れ合いながら運ばれて砕かれた石が微粒子となって漂っているから。
この微粒子に太陽の光があたると、青と緑の色だけを反射させてエメラルドグリーンに見えるらしい。

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わたしたちはもっと奥まで行ってみることにした。
山から流れている細い滝を写真に収めたいなあと思って。

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川をのぼっていくと、そこはまたエメラルドグリーンの湖のようになっていた。
えっ? なんで?
また、あいつのしわざ!?

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ずーっと向こうまでいくつものダムができている。

「どんだけあるの!?」
ケンゾーと驚きあった。

いったいどれだけの年月をかけてここまで作り上げたのか。
ビーバーの執念のようなものを感じる。

ビーバーが水を堰き止めたからなのか、水の中に立っている木は枯れている。

ビーバーがまわりの自然環境を変えていくことは山全体で見ると大きなメリットになることが多いらしい。
たとえば川の水を堰き止めることで水鳥もやってくるようになったり、池に水草が育ちたくさんの生物が住み着く。
ビーバーが作った池はのちに土砂に埋もれ、今度は栄養たっぷりの草原になり、草食動物の生活の場になる。

けれど、この場所ではそうでもないらしい。
そもそもここにはビーバーはいなかった。
1940年代にアルゼンチン政府が毛皮をとる目的で50頭のアメリカビーバーを移入したところ、天敵がいないので増えつづけたのだそう。
今ではフエゴ島全体で10万頭いるんだとか。
ビーバーがフエゴ島の固有の木々を大量に倒しつづけて森林破壊の原因になっているらしい。

あたりには無残に倒された木々が。

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巣やダムだけでなく、木の皮を食料としているビーバー。
1日に2キロってかなりの大食漢だよ。

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直径10センチの木なら3分ぐらいで倒せるらしい。

「あ、この木も被害に遭ってる!」

「これも倒されとる」

「えっ、えっ、ええええええっ〜〜!!

恐るべし、ビーバー。

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こんな大きな木を歯だけで倒すなんて想像できない。
ひと噛みでけっこうザックリいっちゃうのかもしれない。

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ビーバーの歯は大きくて、噛む力も強いのはこれを見ると一目瞭然。
この場所ではないけれど、ビーバーといっしょに写真を撮ろうと近づいて、動脈を噛まれて出血死した人もいるというから恐ろしい。

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ビーバーの力をまざまざと見せつけられた。

ビーバーは夜行性なので会えなかったけれど、真夜中にガリガリガリと幹を噛み、ドーンと木を倒し、せっせせっせとダム作りをしている姿を想像する。

日中はこんなに静かで平和な場所が、夜になるとビーバーたちが繰り出し騒々しい工事現場に変貌するのだろうか。

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たしかにこのエスメラルダ湖は絶景で、感動した。
でも、ビーバーの威力のほうがインパクトが強くて、圧倒された。

帰りもすぐにヒッチハイクに成功し、登山口から街まで送ってもらったわたしたち。
ビーバーのことが頭から離れない。
宿に帰ってすぐにビーバーの生態をインターネットで調べたのはいうまでもない。
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