こんな冷めた旅人がいたっていい
いいかげんエチオピアの主食「インジェラ」に飽きてきたケンゾーです。
「ゲ◯を食べてるみたい」と旅人に不評のインジェラ。
まあ、言うほど酷くはないんだけど、たしかに決して美味しいものではない。
あつあつの白ご飯をお腹いっぱい食べたいなあ。
日中はとにかく暑くて外を出歩く気分がまったく湧いてこないカイロ。
1日中エアコンの効いたホテルの部屋にこもりたい誘惑を振り切ってがんばって外出。
乗合いワゴンを乗り継いでやって来たのは、新市街のタフリール広場近く。
人もたくさん行き交う賑やかな場所だけど、なんだかちょっと様子がおかしい。
道路脇には真っ黒な軍用車がずらっと並んでいるし、銃のようなものを持っている兵士の姿が。

さらに奥に視線を移すと驚きの光景が。

一瞬戦車かと思って度肝を抜かれたけど、砲身がないから装甲車かな。
それでも街中に装甲車が並んでいるのは異様な光景。
しかもただ停まっているだけじゃなくて、すべての装甲車には兵士が乗り込んでいて大きな機関銃を構えている。

ケンゾーとイクエがやって来たのはエジプト考古学博物館。
ツタンカーメンの黄金のマスクが展示されている超有名博物館。
なんでこの博物館の周囲がこんなに物々しいことになってるのか。
まさかの盗難対策?
じつはここは2011年の1月に起きたエジプト革命の中心地。
エジプトは29年間にわたりムバラク大統領が独裁政権を敷いていたけれど、おなじく23年間独裁体制だったチュニジアで「ジャスミン革命」が発生。
同じアラブの世界で起きた改革のうねりがエジプトにも波及。
「アラブの春」と呼ばれたものだ。
当時カイロの民衆はタフリール広場に集結し大規模なデモ活動を行い軍と衝突。
はじめは催涙弾や放水で応じていた軍も、デモの規模が大きくなるにつれ発砲するなど双方ともエスカレート。
最終的には850人以上の死者が出る事態に発展。
博物館の隣のビルを見ると当時の衝突の激しさが一目瞭然だ。


当時の与党の本部ビルだそうだけど、黒く焼けこげている。
壁が崩れてる部分もあって、まるで空爆された建物みたい。
入口でパスポートを提示、持ち物チェックを受けて敷地内へ。
博物館の敷地内にも銃を持った兵士がウロウロ。

革命から3年あまり。
人々が求めた民主化はちゃんと達成されたのかな。
それとも今でも人々は不満を抱えているのか。
ここでちょっと注意点。
入口を目指して博物館前の大通りを歩いていたら男に声をかけられた。
「博物館に行くの?
今は団体用の時間帯だから個人客は入場料がものすごく高いよ。
あと1時間後にずらしたほうがいいよ。」
時間帯によって入場料が違うっていうのは初耳だ。
システムが変わったのか、それとも嘘をついてるのか。
「ふ~ん、そうなんだ。
とりあえず入口まで行ってみるよ。」
「入口はこっちじゃないよ。
道を渡った地下から行くんだ。
お土産屋さんで時間を潰したら?」
男はそれ以上しつこく付きまとうことはなく去って行った。
1人目の男と別れて歩くこと20m、別の男が話しかけてきた。
「博物館?
今の時間はすごく高いよ。
時間をつぶしたほうがいいよ。」
違う人たちから同じことを言われると、明らかに怪しくても「もしかして本当なのかな?」と思ってしまう。
「道を渡ったところにスークがあって友人の店があるから、そこで時間をつぶそう。」
またしてもスークへの勧誘、これは完全にあやしい。
「わかった、わかった」と男を振り切って入口へ。

チケット売場で時間帯によって入場料が違うのか聞くと「そんなことはない」と即答。
「たった今2人の男に値段が違うと言われた」と言うと「そういう悪い輩がうろちょろしてるから注意してください。スークの土産屋と結託してて店に連れて行くんですよ」とのこと。
みなさん、博物館周辺で声を掛けてくる人たちは嘘つきなので無視しましょう!
悪質客引きの手には引っかからなかったけど、ここで誤算が。
ガイドブックには入場料が60ポンドと書いてあったけど、80ポンドくらいに値上がり。
さらに閉館時間までまだ余裕があると思っていたんだけど、1時間時差が発生していてもうあまり時間がないことが判明。
じつはエジプトは今年からサマータイム制が復活。
けれどラマダン中はなぜかサマータイムは適用されない。
ラマダン明けからサマータイムが施行されてるんだけど知らない現地人も多くて、人によって現在時刻がばらばらというややこしい状態がしばらく続いた。
値段も上がってるし、時間も少ないしで見学する意欲が急速に萎えたケンゾーとイクエ。
まあ、そもそも遺跡や考古学にはあまり興味がないし、「せっかくだから見とくか」くらいのモチベーションだったから博物館はパス。
建物の外に展示されてる遺跡を眺めて雰囲気だけでも味わうことに。



黄金のマスクを見た気分になって外に出ると、さっきの嘘つきの客引きを発見。
捕まえてなぜ嘘をついたのか問いつめることに。
さいしょはしらばっくれていたけど、「あんたみたいな嘘つきがいるから世界三大ウザい国って言われるんだぞ」とか「あんたみたいな悪質客引きがいるからエジプトを敬遠する旅行者も多いんだ」と猛抗議すると最後には「ソーリー」とトーンダウン。
この手の輩で謝るのは珍しい。
まあ、でも本気で反省なんかするはずもなく、懲りずに観光客に声をかけるだろう。
(実際に翌日も前を通ったら同じ男がいた。)
何度も書くけど、博物館の周辺で声を掛けてくるのは嘘つきなので無視するか、「『博物館周辺の悪質客引き』としてインターネットで有名だよ」とでも言ってやりましょう。
街中に警察や兵士がウロウロし治安が完全に回復したとは言えないエジプト。
けれど観光している限りでは安全に不安を感じることはない。
人々も普段通りの日常を送っているよう。


アフリカ縦断に備えて必要なものを購入することに。
まずはショッピングセンターとは名ばかりのスーパー(おそらくカイロで2番目にいけてる店)で、コンセントに差し込むタイプの蚊除けを68ポンド(約980円)でお買い上げ。

そして、薬局でマラリヤの予防薬。
マラリヤの予防薬はメフロキンが有名だけど副作用がやっかいなんだよね。
何人かの旅人に聞いたけれど、かなりの確率で悪夢を見るなどの副作用が出るみたい。
最悪の場合、鬱になったり自殺願望が出てしまうこともあるんだそう。
もしもそうなったら旅どころじゃない。
悩んだ末にマラリヤ専用の予防薬ではないけれど一定の効果があって副作用のないドキシサイクリンという薬を服用することに。
メフロキンは1週間に1錠だけど、ドキシサイクリンは毎日服用。

1箱10錠で4ポンド(約60円)、10箱合計100錠購入。
100錠だとふたりで3か月分。
足りなくなったら現地で追加するつもり。
つづいてホテルのあるイスラーム地区へ。
お土産街のハーン・ハリーリはいつも人でごった返している。

今までお土産はまったく買ってないケンゾーとイクエ。
とうとうここでお土産を買う・・・わけはない。
賑やかなハーン・ハリーリから路地の奥へと歩いて目指す場所へ。

なかなか繁盛しているこの店は靴の修理屋さん。
きのうるーさん&りのちゃんとイスラーム地区を散策しているときに見つけたんだよね。
破れてボロボロになってるイクエの靴。
新しい靴を買いたいけど、エジプトでちゃんとした靴が見つからなかった。
すぐ壊れそうなものや有名メーカーの偽物ばっかり。
だから修理して長く使うことにした。


ミシンを使って服を縫うように靴を縫っていく。
ボロボロになってたかかとの内側にも当て布をしてくれた。
見た目はかなり雑だけど、まあしょうがない。


これであとどれだけ持つかな。
もう次はいい加減に新しいのを買わないとね。
靴の修理代は10ポンド(約150円)+バクシーシ(チップ)5ポンド。
ホテルに戻るとるーさんとりのちゃんの部屋に来客が。
みんなと同じく長期間旅しているボム平。

ボム平ってあだなは、小学生の時に友だちの前で「ボムッ」という屁をこいたから「ボム屁」→「ボム平」になったらしい。
小学生でなかなかボムって音のする屁は出ないよね。
関西の小学生はさすが、いいネーミングを考えるね。
スペインで去年のトマティーナをいっしょに過ごしたりのちゃんとボム平は久しぶりの再会。
せまい部屋で話すのもなんなので、みんなで晩ご飯を食べに行くことに。
ずっと気になっていた宿の近くの海鮮レストラン。
ショーケースをのぞくとイカやエビなどかなり充実した品揃え。


魚は1kg25ポンド、イカは1kg100ポンド(約1500円)。
イカを食べたかったけどちょっと高かったので魚で我慢。
ちなみにエビは値段は忘れたけど、ビックリするくらい高かった。

料理法はシンプルな2種類のフライ。
1人1匹ずつ、パンとサラダを付けて1人11ポンド(約160円)。


じつはボム平は、元ホストという異色の旅ブロガー、タビジュンの幼なじみ。
タビジュンのブログにもたびたび登場している。(タビジュンのブログはこちら!)
ちなみにボム平もタビジュンもイクエと同級生、34歳。
2年間旅しているといろんな旅人と出会う。
まあ自分たちも含めて長期の旅をしている人たちは、少なからずちょっと変わってると思うんだけど、このボム平は今までに出会ったことのないタイプの旅人。

まず旅をはじめたきっかけがかなりおかしい。
幼なじみのタビジュンが情報収集や交流目的で同じ時期に旅をはじめる人たちを集めたオフ会を企画。
これっぽっちもまったく1ミリも旅なんかには興味がなかったのに、数合わせのためにオフ会に呼ばれたボム平。
そこそこ、失礼、大いに盛り上がったオフ会で「よーし、じゃあ次はトマティーナのスペインで再会だ!!」という流れになり、旅に微塵も興味のなかったボム平もいつの間にかスペイン行きが決定。
ふつうなら「アホか」と相手にしないところだけど、その日にあわせて仕事まで辞めてほんとにスペインに飛んでしまったんだから相当変わっている。
だってまっったく旅に興味ないんだよ。
それまでに興味がなかったとしても、実際に海外に飛び出してみて「うわー、海外ってすごい!旅って楽しい!」って旅のおもしろさに気づくってパターンはけっこうある。
だけど日本を離れてもボム平はぶれない。
つねに冷静、沈着。
いくら世界中の旅人が大興奮するような遺跡や絶景を前にしても取り乱すことはない。
ただ一言「ふ~ん」で終了。
いちおう一通りその国その土地の観光スポットは押さえるけれど、とくに見たいものも行きたいところもないから必然的に快適な宿で沈没。
なんとここカイロにはもう3か月いるって言うんだから驚きだ。
泊まっている日本人宿、ベニス細川家の主のようになっているボム平。
ベニス細川家では毎日シェア飯を作っている。
その時々でいちばんの古株が代々託されてきた調味料を管理するそうなんだけど、この3か月は不動の調味料係。
観光にもなんにも興味はないけれど、ここカイロでは調味料を管理するという大事な役目がある。
旅に熱い思いを持った旅人とはよく会うけれど、ここまで冷めてる旅人ははじめて。
周囲に流されない、確固とした自分を持っている人はとても好印象だ。
旅する理由も旅のスタイルも千差万別。
こんなクールな旅人がいてもぜんぜんいいと思う。
そんなクールなボム平が唯一「あれは良かったなあ」と言ったものがある。
それはキリマンジャロ登山。
ただ疲れ過ぎて登る途中も頂上に到達してからもまったく見た景色を覚えていないらしい。
なぜ良かったのか?何度聞いてもちゃんとした理由は聞けなかった。
よく分かんないけど、あのボム平が良かったって言うんだからかなり気になる。
今のところキリマンジャロには登るつもりはないケンゾーとイクエ。
だけど、ボム平の話を聞いたら俄然気になりはじめた。
あのボム平がいいって言ったからなあ。

今ごろは重い腰を上げてメキシコに飛んでるはずのボム平。
もう一度、今度はゆっくり酒を飲みながら話をしたいなあ。
ウユニ塩湖やマチュピチュをどう評価するのか、めっちゃ興味がある。
ボム平、いい旅を!
「ゲ◯を食べてるみたい」と旅人に不評のインジェラ。
まあ、言うほど酷くはないんだけど、たしかに決して美味しいものではない。
あつあつの白ご飯をお腹いっぱい食べたいなあ。
日中はとにかく暑くて外を出歩く気分がまったく湧いてこないカイロ。
1日中エアコンの効いたホテルの部屋にこもりたい誘惑を振り切ってがんばって外出。
乗合いワゴンを乗り継いでやって来たのは、新市街のタフリール広場近く。
人もたくさん行き交う賑やかな場所だけど、なんだかちょっと様子がおかしい。
道路脇には真っ黒な軍用車がずらっと並んでいるし、銃のようなものを持っている兵士の姿が。

さらに奥に視線を移すと驚きの光景が。

一瞬戦車かと思って度肝を抜かれたけど、砲身がないから装甲車かな。
それでも街中に装甲車が並んでいるのは異様な光景。
しかもただ停まっているだけじゃなくて、すべての装甲車には兵士が乗り込んでいて大きな機関銃を構えている。

ケンゾーとイクエがやって来たのはエジプト考古学博物館。
ツタンカーメンの黄金のマスクが展示されている超有名博物館。
なんでこの博物館の周囲がこんなに物々しいことになってるのか。
まさかの盗難対策?
じつはここは2011年の1月に起きたエジプト革命の中心地。
エジプトは29年間にわたりムバラク大統領が独裁政権を敷いていたけれど、おなじく23年間独裁体制だったチュニジアで「ジャスミン革命」が発生。
同じアラブの世界で起きた改革のうねりがエジプトにも波及。
「アラブの春」と呼ばれたものだ。
当時カイロの民衆はタフリール広場に集結し大規模なデモ活動を行い軍と衝突。
はじめは催涙弾や放水で応じていた軍も、デモの規模が大きくなるにつれ発砲するなど双方ともエスカレート。
最終的には850人以上の死者が出る事態に発展。
博物館の隣のビルを見ると当時の衝突の激しさが一目瞭然だ。


当時の与党の本部ビルだそうだけど、黒く焼けこげている。
壁が崩れてる部分もあって、まるで空爆された建物みたい。
入口でパスポートを提示、持ち物チェックを受けて敷地内へ。
博物館の敷地内にも銃を持った兵士がウロウロ。

革命から3年あまり。
人々が求めた民主化はちゃんと達成されたのかな。
それとも今でも人々は不満を抱えているのか。
ここでちょっと注意点。
入口を目指して博物館前の大通りを歩いていたら男に声をかけられた。
「博物館に行くの?
今は団体用の時間帯だから個人客は入場料がものすごく高いよ。
あと1時間後にずらしたほうがいいよ。」
時間帯によって入場料が違うっていうのは初耳だ。
システムが変わったのか、それとも嘘をついてるのか。
「ふ~ん、そうなんだ。
とりあえず入口まで行ってみるよ。」
「入口はこっちじゃないよ。
道を渡った地下から行くんだ。
お土産屋さんで時間を潰したら?」
男はそれ以上しつこく付きまとうことはなく去って行った。
1人目の男と別れて歩くこと20m、別の男が話しかけてきた。
「博物館?
今の時間はすごく高いよ。
時間をつぶしたほうがいいよ。」
違う人たちから同じことを言われると、明らかに怪しくても「もしかして本当なのかな?」と思ってしまう。
「道を渡ったところにスークがあって友人の店があるから、そこで時間をつぶそう。」
またしてもスークへの勧誘、これは完全にあやしい。
「わかった、わかった」と男を振り切って入口へ。

チケット売場で時間帯によって入場料が違うのか聞くと「そんなことはない」と即答。
「たった今2人の男に値段が違うと言われた」と言うと「そういう悪い輩がうろちょろしてるから注意してください。スークの土産屋と結託してて店に連れて行くんですよ」とのこと。
みなさん、博物館周辺で声を掛けてくる人たちは嘘つきなので無視しましょう!
悪質客引きの手には引っかからなかったけど、ここで誤算が。
ガイドブックには入場料が60ポンドと書いてあったけど、80ポンドくらいに値上がり。
さらに閉館時間までまだ余裕があると思っていたんだけど、1時間時差が発生していてもうあまり時間がないことが判明。
じつはエジプトは今年からサマータイム制が復活。
けれどラマダン中はなぜかサマータイムは適用されない。
ラマダン明けからサマータイムが施行されてるんだけど知らない現地人も多くて、人によって現在時刻がばらばらというややこしい状態がしばらく続いた。
値段も上がってるし、時間も少ないしで見学する意欲が急速に萎えたケンゾーとイクエ。
まあ、そもそも遺跡や考古学にはあまり興味がないし、「せっかくだから見とくか」くらいのモチベーションだったから博物館はパス。
建物の外に展示されてる遺跡を眺めて雰囲気だけでも味わうことに。



黄金のマスクを見た気分になって外に出ると、さっきの嘘つきの客引きを発見。
捕まえてなぜ嘘をついたのか問いつめることに。
さいしょはしらばっくれていたけど、「あんたみたいな嘘つきがいるから世界三大ウザい国って言われるんだぞ」とか「あんたみたいな悪質客引きがいるからエジプトを敬遠する旅行者も多いんだ」と猛抗議すると最後には「ソーリー」とトーンダウン。
この手の輩で謝るのは珍しい。
まあ、でも本気で反省なんかするはずもなく、懲りずに観光客に声をかけるだろう。
(実際に翌日も前を通ったら同じ男がいた。)
何度も書くけど、博物館の周辺で声を掛けてくるのは嘘つきなので無視するか、「『博物館周辺の悪質客引き』としてインターネットで有名だよ」とでも言ってやりましょう。
街中に警察や兵士がウロウロし治安が完全に回復したとは言えないエジプト。
けれど観光している限りでは安全に不安を感じることはない。
人々も普段通りの日常を送っているよう。


アフリカ縦断に備えて必要なものを購入することに。
まずはショッピングセンターとは名ばかりのスーパー(おそらくカイロで2番目にいけてる店)で、コンセントに差し込むタイプの蚊除けを68ポンド(約980円)でお買い上げ。

そして、薬局でマラリヤの予防薬。
マラリヤの予防薬はメフロキンが有名だけど副作用がやっかいなんだよね。
何人かの旅人に聞いたけれど、かなりの確率で悪夢を見るなどの副作用が出るみたい。
最悪の場合、鬱になったり自殺願望が出てしまうこともあるんだそう。
もしもそうなったら旅どころじゃない。
悩んだ末にマラリヤ専用の予防薬ではないけれど一定の効果があって副作用のないドキシサイクリンという薬を服用することに。
メフロキンは1週間に1錠だけど、ドキシサイクリンは毎日服用。

1箱10錠で4ポンド(約60円)、10箱合計100錠購入。
100錠だとふたりで3か月分。
足りなくなったら現地で追加するつもり。
つづいてホテルのあるイスラーム地区へ。
お土産街のハーン・ハリーリはいつも人でごった返している。

今までお土産はまったく買ってないケンゾーとイクエ。
とうとうここでお土産を買う・・・わけはない。
賑やかなハーン・ハリーリから路地の奥へと歩いて目指す場所へ。

なかなか繁盛しているこの店は靴の修理屋さん。
きのうるーさん&りのちゃんとイスラーム地区を散策しているときに見つけたんだよね。
破れてボロボロになってるイクエの靴。
新しい靴を買いたいけど、エジプトでちゃんとした靴が見つからなかった。
すぐ壊れそうなものや有名メーカーの偽物ばっかり。
だから修理して長く使うことにした。


ミシンを使って服を縫うように靴を縫っていく。
ボロボロになってたかかとの内側にも当て布をしてくれた。
見た目はかなり雑だけど、まあしょうがない。


これであとどれだけ持つかな。
もう次はいい加減に新しいのを買わないとね。
靴の修理代は10ポンド(約150円)+バクシーシ(チップ)5ポンド。
ホテルに戻るとるーさんとりのちゃんの部屋に来客が。
みんなと同じく長期間旅しているボム平。

ボム平ってあだなは、小学生の時に友だちの前で「ボムッ」という屁をこいたから「ボム屁」→「ボム平」になったらしい。
小学生でなかなかボムって音のする屁は出ないよね。
関西の小学生はさすが、いいネーミングを考えるね。
スペインで去年のトマティーナをいっしょに過ごしたりのちゃんとボム平は久しぶりの再会。
せまい部屋で話すのもなんなので、みんなで晩ご飯を食べに行くことに。
ずっと気になっていた宿の近くの海鮮レストラン。
ショーケースをのぞくとイカやエビなどかなり充実した品揃え。


魚は1kg25ポンド、イカは1kg100ポンド(約1500円)。
イカを食べたかったけどちょっと高かったので魚で我慢。
ちなみにエビは値段は忘れたけど、ビックリするくらい高かった。

料理法はシンプルな2種類のフライ。
1人1匹ずつ、パンとサラダを付けて1人11ポンド(約160円)。


じつはボム平は、元ホストという異色の旅ブロガー、タビジュンの幼なじみ。
タビジュンのブログにもたびたび登場している。(タビジュンのブログはこちら!)
ちなみにボム平もタビジュンもイクエと同級生、34歳。
2年間旅しているといろんな旅人と出会う。
まあ自分たちも含めて長期の旅をしている人たちは、少なからずちょっと変わってると思うんだけど、このボム平は今までに出会ったことのないタイプの旅人。

まず旅をはじめたきっかけがかなりおかしい。
幼なじみのタビジュンが情報収集や交流目的で同じ時期に旅をはじめる人たちを集めたオフ会を企画。
これっぽっちもまったく1ミリも旅なんかには興味がなかったのに、数合わせのためにオフ会に呼ばれたボム平。
そこそこ、失礼、大いに盛り上がったオフ会で「よーし、じゃあ次はトマティーナのスペインで再会だ!!」という流れになり、旅に微塵も興味のなかったボム平もいつの間にかスペイン行きが決定。
ふつうなら「アホか」と相手にしないところだけど、その日にあわせて仕事まで辞めてほんとにスペインに飛んでしまったんだから相当変わっている。
だってまっったく旅に興味ないんだよ。
それまでに興味がなかったとしても、実際に海外に飛び出してみて「うわー、海外ってすごい!旅って楽しい!」って旅のおもしろさに気づくってパターンはけっこうある。
だけど日本を離れてもボム平はぶれない。
つねに冷静、沈着。
いくら世界中の旅人が大興奮するような遺跡や絶景を前にしても取り乱すことはない。
ただ一言「ふ~ん」で終了。
いちおう一通りその国その土地の観光スポットは押さえるけれど、とくに見たいものも行きたいところもないから必然的に快適な宿で沈没。
なんとここカイロにはもう3か月いるって言うんだから驚きだ。
泊まっている日本人宿、ベニス細川家の主のようになっているボム平。
ベニス細川家では毎日シェア飯を作っている。
その時々でいちばんの古株が代々託されてきた調味料を管理するそうなんだけど、この3か月は不動の調味料係。
観光にもなんにも興味はないけれど、ここカイロでは調味料を管理するという大事な役目がある。
旅に熱い思いを持った旅人とはよく会うけれど、ここまで冷めてる旅人ははじめて。
周囲に流されない、確固とした自分を持っている人はとても好印象だ。
旅する理由も旅のスタイルも千差万別。
こんなクールな旅人がいてもぜんぜんいいと思う。
そんなクールなボム平が唯一「あれは良かったなあ」と言ったものがある。
それはキリマンジャロ登山。
ただ疲れ過ぎて登る途中も頂上に到達してからもまったく見た景色を覚えていないらしい。
なぜ良かったのか?何度聞いてもちゃんとした理由は聞けなかった。
よく分かんないけど、あのボム平が良かったって言うんだからかなり気になる。
今のところキリマンジャロには登るつもりはないケンゾーとイクエ。
だけど、ボム平の話を聞いたら俄然気になりはじめた。
あのボム平がいいって言ったからなあ。

今ごろは重い腰を上げてメキシコに飛んでるはずのボム平。
もう一度、今度はゆっくり酒を飲みながら話をしたいなあ。
ウユニ塩湖やマチュピチュをどう評価するのか、めっちゃ興味がある。
ボム平、いい旅を!