最低のカウチサーフィン体験記 序章
夜行バスに乗ると、体がだるくて次の日は宿で一日中寝るはめになるもうすぐ34歳のイクエです。
けさも夜行で着いて、一日中宿で昼寝ばっかりしてたんだけど疲れが取れない!
きょうは「最低のカウチサーフィン体験記」をまとめるつもりだったのだけど、気力がないので前編と後編に分けて短くお伝えします。
申し訳ありません!!
イスラエルからやってきたヨルダンのアカバ。
ここではカウチサーフィンでホームステイをすることにしていた。
カウチサーフィンというのは、「ホームステイさせてもらいたい人」と「ホームステイさせてあげる人」をつなぐインターネットのサイト(の運営団体)で世界各国の人が利用している。
利用は無料だし、宿泊者がホームステイ先に謝礼金を払うなんてこともない。
なぜならこのカウチサーフィンの目的は「異文化交流」だから。
メンバー登録して自分のプロフィールをサイトで公開する。
そして、ホームステイ先を探している人は、これから行く地域のメンバーを検索してホームステイのお願いをする。
受け入れ側のホストは申込者のプロフィールを見て泊めても良さそうだったら宿泊のお誘いをするしくみ。
イクエとケンゾーはこれまでイランやイタリア、パレスチナで体験し、とてもいい思い出をつくってきた。
泊めてもらうだけでなく、いっしょに観光したり、おいしい手料理をごちそうになったり、逆にわたしたちが和食をつくったり、折り紙をやってみせたり。
アカバでは、これまで多くの旅行者を受け入れてきた「アリ」という男性の家に泊めてもらうことになった。
アリの17歳の長男が待ち合わせ場所に登場。
笑顔であいさつしたけど、ちょっとそっけない。
お年頃だからシャイなのかな。
家は待ち合わせ場所からすぐのところらしい。
この子のあとをついて行く。
彼らの家が見えてきた!


アカバの街の中心部にある団地。
彼らの家はこの団地の3階の右半分全部。
でも、わたしたちが泊まるのはここではない。
いや、この写真には写ってるんだけど、わかる?
さっきの写真を拡大。
ここ。

葉っぱでできた屋上の小屋!
かなりワイルドなところ。
アリはこの小屋をカウチサーフィンの宿泊者に提供している。

先客のアメリカ人の旅人がいた。
ソファはあるけれど、横になるにはちょっと狭い。
イクエとケンゾーが床で寝ることにした。
ブランケットは貸してくれない。
もちろんWi-Fiはない。

もちろん、トイレやシャワーもない。
トイレをしたいときは、下の階のアリの家のトイレを借りるんだけど、家に誰もおらず鍵がかかっているときは我慢するほかない。
ケンゾーは外で立ちションしてたけど・・・。

水道もないけれど、屋上だから貯水タンクはある。
「ここでこうやって水使っていいから」とアリが笑顔で教えてくれた。

正直に言うと、ここはいままでのカウチサーフィンの体験のなかで一番居心地がよくない。
「家」というよりも「テント」、「キャンプ場」って言った方がしっくりくる。
でも、とりあえず寝泊まりできるところを提供してもらえるだけでもありがたい。
イクエとケンゾーには寝袋だってあるし、多少汚いところや設備が整っていないところで寝るのは慣れている。
アリは40代の陽気なおじさん。
外国人の旅人と知り合うのが大好き。
この小屋だって、カウチサーフィンのためにつくっているようなものだ。
これまでにたくさんの外国人を招いてきたことを誇りに思っているようで、外国人といっしょの写真を部屋に飾っている。
そしてうれしそうに写真の説明をする。
これまで150人くらいの外国人をここに泊めてきたんだって。
そんな嬉しそうに話すアリがいなくなると、アリの長男が父の悪口を言った。
「おやじはクレイジーだ。
カウチサーフィンにハマり過ぎて、この小屋にこもってばかりいる。
外国人とここで話してばっかりだし、宿泊客がいないときもパソコンでカウチサーフィンのやり取りに熱中している。
おふくろはそんなオヤジにムカついてる。
クレイジーだ。」
カウチサーフィンにハマり過ぎて家族のことをないがしろにしていることに、妻は不満をもっているらしい。
ちなみにアリの奥さんはとても信仰心の強いイスラム教徒。
全身真っ黒の布、チャドルで頭から足元まですっぽりと覆っていて、目元の部分だけを開けている。
家族と女性以外の前ではつねに体を隠している。
イクエは大丈夫だけど、ケンゾーが下の家にトイレを借りに行くと奥さんは奥の部屋へと隠れてしまう。
家でチャドルを脱いで普通の服装でくつろいでいても、ケンゾーが玄関をノックすると「ソーリー!」と大慌てでチャドルをつける。
そんなイスラム教徒を代表するような奥さんと、外国人の女の子も家に泊めるようなアリは、親戚同士で親が結婚を決めたらしい。
奥さん、なんだかかわいそうだなあ。
確かにだんながカウチサーフィンにハマってしまって、夜な夜な得体の知れない外国人を泊まらせて、ときには若い女の子も泊まらせていっしょに遊びに行ったりしていたら、妻としてはおもしろくない。

この小屋にはアリの友だちもやってくる。
みんなでお茶を飲んだり話したりする。
この部屋に着いて早々、さっそくアリの友だちがやってきた。
奥さんにはちょっと悪いけど、みんなでワイワイ異文化交流するのは楽しい。
・・・はずだった。

このときは思ってもなかった。
この人たちにこれからひどい仕打ちを受けて、腹を立ててこの家を出て行くハメになるなんて・・・。
ーつづく。
けさも夜行で着いて、一日中宿で昼寝ばっかりしてたんだけど疲れが取れない!
きょうは「最低のカウチサーフィン体験記」をまとめるつもりだったのだけど、気力がないので前編と後編に分けて短くお伝えします。
申し訳ありません!!
イスラエルからやってきたヨルダンのアカバ。
ここではカウチサーフィンでホームステイをすることにしていた。
カウチサーフィンというのは、「ホームステイさせてもらいたい人」と「ホームステイさせてあげる人」をつなぐインターネットのサイト(の運営団体)で世界各国の人が利用している。
利用は無料だし、宿泊者がホームステイ先に謝礼金を払うなんてこともない。
なぜならこのカウチサーフィンの目的は「異文化交流」だから。
メンバー登録して自分のプロフィールをサイトで公開する。
そして、ホームステイ先を探している人は、これから行く地域のメンバーを検索してホームステイのお願いをする。
受け入れ側のホストは申込者のプロフィールを見て泊めても良さそうだったら宿泊のお誘いをするしくみ。
イクエとケンゾーはこれまでイランやイタリア、パレスチナで体験し、とてもいい思い出をつくってきた。
泊めてもらうだけでなく、いっしょに観光したり、おいしい手料理をごちそうになったり、逆にわたしたちが和食をつくったり、折り紙をやってみせたり。
アカバでは、これまで多くの旅行者を受け入れてきた「アリ」という男性の家に泊めてもらうことになった。
アリの17歳の長男が待ち合わせ場所に登場。
笑顔であいさつしたけど、ちょっとそっけない。
お年頃だからシャイなのかな。
家は待ち合わせ場所からすぐのところらしい。
この子のあとをついて行く。
彼らの家が見えてきた!


アカバの街の中心部にある団地。
彼らの家はこの団地の3階の右半分全部。
でも、わたしたちが泊まるのはここではない。
いや、この写真には写ってるんだけど、わかる?
さっきの写真を拡大。
ここ。

葉っぱでできた屋上の小屋!
かなりワイルドなところ。
アリはこの小屋をカウチサーフィンの宿泊者に提供している。

先客のアメリカ人の旅人がいた。
ソファはあるけれど、横になるにはちょっと狭い。
イクエとケンゾーが床で寝ることにした。
ブランケットは貸してくれない。
もちろんWi-Fiはない。

もちろん、トイレやシャワーもない。
トイレをしたいときは、下の階のアリの家のトイレを借りるんだけど、家に誰もおらず鍵がかかっているときは我慢するほかない。
ケンゾーは外で立ちションしてたけど・・・。

水道もないけれど、屋上だから貯水タンクはある。
「ここでこうやって水使っていいから」とアリが笑顔で教えてくれた。

正直に言うと、ここはいままでのカウチサーフィンの体験のなかで一番居心地がよくない。
「家」というよりも「テント」、「キャンプ場」って言った方がしっくりくる。
でも、とりあえず寝泊まりできるところを提供してもらえるだけでもありがたい。
イクエとケンゾーには寝袋だってあるし、多少汚いところや設備が整っていないところで寝るのは慣れている。
アリは40代の陽気なおじさん。
外国人の旅人と知り合うのが大好き。
この小屋だって、カウチサーフィンのためにつくっているようなものだ。
これまでにたくさんの外国人を招いてきたことを誇りに思っているようで、外国人といっしょの写真を部屋に飾っている。
そしてうれしそうに写真の説明をする。
これまで150人くらいの外国人をここに泊めてきたんだって。
そんな嬉しそうに話すアリがいなくなると、アリの長男が父の悪口を言った。
「おやじはクレイジーだ。
カウチサーフィンにハマり過ぎて、この小屋にこもってばかりいる。
外国人とここで話してばっかりだし、宿泊客がいないときもパソコンでカウチサーフィンのやり取りに熱中している。
おふくろはそんなオヤジにムカついてる。
クレイジーだ。」
カウチサーフィンにハマり過ぎて家族のことをないがしろにしていることに、妻は不満をもっているらしい。
ちなみにアリの奥さんはとても信仰心の強いイスラム教徒。
全身真っ黒の布、チャドルで頭から足元まですっぽりと覆っていて、目元の部分だけを開けている。
家族と女性以外の前ではつねに体を隠している。
イクエは大丈夫だけど、ケンゾーが下の家にトイレを借りに行くと奥さんは奥の部屋へと隠れてしまう。
家でチャドルを脱いで普通の服装でくつろいでいても、ケンゾーが玄関をノックすると「ソーリー!」と大慌てでチャドルをつける。
そんなイスラム教徒を代表するような奥さんと、外国人の女の子も家に泊めるようなアリは、親戚同士で親が結婚を決めたらしい。
奥さん、なんだかかわいそうだなあ。
確かにだんながカウチサーフィンにハマってしまって、夜な夜な得体の知れない外国人を泊まらせて、ときには若い女の子も泊まらせていっしょに遊びに行ったりしていたら、妻としてはおもしろくない。

この小屋にはアリの友だちもやってくる。
みんなでお茶を飲んだり話したりする。
この部屋に着いて早々、さっそくアリの友だちがやってきた。
奥さんにはちょっと悪いけど、みんなでワイワイ異文化交流するのは楽しい。
・・・はずだった。

このときは思ってもなかった。
この人たちにこれからひどい仕打ちを受けて、腹を立ててこの家を出て行くハメになるなんて・・・。
ーつづく。