Now,we are HERE!
訪れた国は78カ国
旅した期間は1257日
2016年2月14日に帰国!
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ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
2012年09月 世界旅行に出発

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旅人のわがまま イブラヒムじいちゃんの本音

2014.04.06 06:28|イスラエル☞EDIT
ハリウッド映画『アルマゲドン』は絶対におもしろくないと思って観たことなくてストーリーもなんとなくしか知らなかったけど、きょうストーリーを夫に聞いて「うわあ、おもしろそう」と思ったイクエです。
今まで宇宙飛行士か何でもできるマッチョでクールな男たちが主人公の物語と思ってたから。

イスラエルのアラブ人街で自分の家を旅人に開放しているイブラヒムじいちゃん。
旅人のあいだで有名なじいちゃん。
口癖は「ウェルカム!」「イート!」
旅人を自宅に泊めては、食事をふるまってくれる。

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じいちゃんは人徳のある人で海外の講演会にもなんども招かれている。
国や宗教や人種に関係なく共存できる社会をつくらなければならないという理念をもっている。

そんなじいちゃんの家は、繁華街から遠くてWi-Fiも一部しかつながらずシャワーのお湯がでないときもあるという不便さもあるけれど、それでも居心地がいい。

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それでも、イクエとケンゾーは1泊だけしてほかの宿に移ることを決めた。

それは・・・
お金が高いから。

ここの滞在費は寄付金制で、相場は一泊50シェケルくらいと聞いていた。
だけど、この宿に到着して寄付金箱の張り紙を見てふたりでドキッとした。

一泊につき100シェケル払うようにと書いてあったのだ。

ここには宿の管理の手伝いや掃除をボランティアでやっているアメリカ人のおじさんがいる。
名前はアーネスト。
普通のゲストハウスならバスルームの掃除をしたり会計をしたりベッドメイキングをするスタッフがいるけど、ここにはイブラヒムじいちゃんしかいない。
それを見かねたアーネストが、もう2年くらいここに住み込んでお世話をしている。
最初にアーネストに部屋の鍵をもらって宿の説明を聞いたとき、彼も「宿の維持費や光熱料、食費がこれまでの寄付金ではカバーできなくなっている。資金難に陥っているから、一泊100シェケルは払ってね。」と言った。

100シェケル。
思っていた額の2倍の金額。
毎日ふたりで200シェケル(約6000円)。
それはちょっと払えなかった。

泊まっていた日本人の子が言うには、3日前くらいに突然50シェケルから100シェケルに値上がりしたのだそう。

ほかの安いゲストハウスのドミトリーだと、1人一泊60シェケルくらいで泊まれる。
彼は「ここにもっといたいけどこれ以上毎日払えないのでほかの宿に移動します。」とわたしたちに言い残して他へと移っていった。

わたしたちも出て行くことにした。

チェックアウトするとき、じいちゃんは宿にいなかった。
アーネストに正直に伝えた。
「ここにもっといたいけど、100シェケルは高いから他の宿に移ります。」

そしたらアーネストが予想外のことを言った。
「たしかに、そうだよね。
この100っていう金額もついこの間イブラヒムさんが決めたんだ。
よし、イブラヒムさんに電話してみよう。」


わたしたちは別にクレームを言うつもりもなく、ただ理由を正直に言って宿を変えるつもりだっただけなのでこの展開にびっくりした。

アーネストが電話でじいちゃんを呼び出した。
「あと5分くらいでイブラヒムさんがここにやってくる。
ちょっと待ってて。
この際、宿代のことについて話し合おう。」


間もなくするとじいちゃんがやってきて椅子に腰かけた。

アーネストが言った。
「100シェケルっていうのはバックパッカーにとっては高い。
この金額設定を見直したらどうですか?
この前もここに日本人の男の子が来て、着いたときはニコニコ嬉しそうにしてたけど、100シェケルって知ったとたん顔を曇らせて泊まらずにすぐに出て行ったことがあった。」


わたしたちはこのときまだ一泊しかしていなかった。
それなのに、イブラヒムハウスの今後の成り行きを決める大切な緊急会議に立ち会うことになるなんて思ってもいなかった。

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いつも明るくて優しいじいちゃんだけどちょっと不機嫌そうになった。
「100シェケルだって高い値段じゃないでしょ。
ほかの宿はいくらすると思ってるんだ。」


わたしたちは正直に言った。
「旧市街のドミトリーで60くらい、安い宿を探せば50でも泊まれます。
しかも旧市街のなかにあるから観光にも便利。
でもここだと街の中心地に行くには長い距離を歩くかバスに乗らないといけない。」

「彼女たちの言う通りですよ、イブラヒムさん。
最終のバスを逃したらタクシーを使わないといけない。
そしたらその分出費もかさむ。」


じいちゃんは不満そうに言った。
「でもわたしはみんなに食事をつくってるし、紅茶だっていつも飲み放題。
レストランで食事をして、カフェで紅茶を3、4杯飲んだらあっという間に何十シェケルか飛んでいくよ。」


意外かもしれないけど、イスラエルの物価はものすごく高い。
スーパーで売っているものや、外食はフランスなんかよりも高い。
感覚的には日本の物価の1.5倍くらいする。

たしかにじいちゃんの言いたいこともわかるけど、でもそうじゃないのだ。
わたしたちの思いを代弁するようにアーネストがじいちゃんに切り返した。

「でもお金をもってないパックパッカーたちはカフェに行ったりしない。
みんなティーバックを持ち歩いて、自分でいれている。
それにレストランなんかに行かない。」

「そうです。
たいていのゲストハウスにはキッチンがあるから自分で市場で食材を買って調理したり、外食するにしてもファストフード店で一番安いサンドイッチを頼んでいます。
レストランのテーブル席でまともに食事なんてめったにしないです。」


旅人でもあったアーネストはバックパッカーの気持ちもわかってくれる。
「バックパッカーは努力して安く済ませることができる。
市場で野菜を買って、食パンとチーズを買って挟んで食べたりね。」


じいちゃんは納得いかない様子だった。
そしていつも笑って「ウェルカム!」と言うじいちゃんが、だんだん本音を言いはじめた。

「だって本当にお金が足りないんだ。
この箱に一日50シェケルはみんな入れてくれるはずなのにまったく入ってないときもあるんだよ。」


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それは、アーネストからも聞いていた。
寄付金は集金制ではなく、このポストに入れるシステム。
じいちゃんがこのポストの鍵を持っている。
アーネストが言うには、じいちゃんは1時間おきに中をチェックしては何も入ってないことにいつも肩を落としているらしい。
でもお客さんに「払え」なんて言わない。
じいちゃんはそれでも「ウェルカム!」「イート!」を笑顔で言いつづけてきたのだ。

「ここでたまにみんながいる前でこのポストを開けるんだ。
でも何も入ってない。
『あれ?なにも入ってないな・・・』ってつぶやくとここにいるみんなが『俺は払ったよ』『俺も』って笑ってごまかすんだよ。」


一日50シェケルとは言え、一応「寄付金」という名目なのでごくたまに払わない人もいるだろうとは思っていたけど、じいちゃんとアーネストの話からすると、予想を越えるかなりの人たちが実際は払っていないようなのだ。
しかも、そのほとんどが日本人。

じいちゃんは外国人をおもてなししたいという精神であふれている。
でも現実的には金銭的なゆとりがない。

じいちゃんは宿泊客からのお金を日銭として生活している。
つまりこのポストにお金がないと、じいちゃんのその日の生活費もないということになる。
ついに最近は薬も買えなくなったらしい。

それでもじいちゃんは宿泊客に向かって「お金を払え」とは言わない。
それはじいちゃんのポリシーに反する。

でも部屋の壁にはじいちゃんが大手術をしたときの写真が貼ってある。
どうしてこんな写真をわざわざ飾っているのかわからないけど、もしかしたらみんなに何かを伝えたいのかもしれない。

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じいちゃんが言う。
「ここに泊まって、私のご飯を『おいしい、おいしい』って食べてくれて1週間も滞在してくれる子たちも多い。
別れるときはね『ありがとうー。また来ます。』って言ってくれて、抱き合って握手をして出て行くんだ。
でもね、出て行ったあとにポストを確認すると一銭も入ってないんだ。
こんなことしょっちゅう。」


じいちゃんは今まで自分の中に押し込めていた思いを吐き出すように続ける。
「5日くらい前もね、みんなを喜ばせようとケーキを買ってきたんだ。
でもね、そのときもお金は入らなかった。」


この家は宿泊客に開放していて、今じいちゃんは別の場所に住んでここに通っている。
ここに通う交通費にもじいちゃんは困っている。

「ここに来るまでのお金しかなくて、帰りのお金をもたずに来るんだ。
泊まっているみんながいるからこのポストに帰りの分のバス代は入ってるはずだから。
でも、入ってない。
だからこの前もチェックインした韓国の女の子に直接『帰れないからお金ちょうだい』って言って前払いしてもらったんだ。」


70すぎのじいちゃんが孫くらいの子に「帰れないからお金ちょうだい」って言うのを想像すると切なくなる。

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「寄付金制度をやめてチェックインのときに取り立てるようにしたら?」とか「食費がかさむから泊まるだけにさせたら?」とか提案をしてみたけれど、じいちゃんはそれを受け入れない。
そのじいちゃんの気持ちはわかる。
じいちゃんは別にゲストハウスの経営をしたいわけじゃないのだ。
ここにやってくる旅人を笑顔で迎え入れて、たくさん食べ物を食べさせて、おもてなしをしたいのだ。
でも、現実的にはそれが立ち行かなくなっている。

維持費にいくら必要なのか、どのくらい宿泊費を集めないといけないのか、つっこんだ話をした。
宿泊者全員が50シェケル払えば、じいちゃんが食事をふるまっても赤字にはならない。
だけど寄付金をまったく払わない人もかなりいる。

じいちゃんが決めた100シェケルというのは、いま寄付金を払ってくれる人の数だけを考慮して計算したぎりぎりの金額のようだった。

でも100シェケルというのは、エルサレムの安宿の相場からするとかなり高い。
わたしたちも、そして他の旅人も現に高いので別の宿に移動している。

「でも100シェケルは払えません。
寄付金をまったく払わない人の分をほかの旅人が補うというのは、わたしたちからすると受け入れがたいです。
さっきも日本人の男の子が『ここに2泊して、もっと滞在したいけどこれ以上はお金をかけられない。だから別の宿に移動します。』って出て行きました。
そんなふうに100シェケルをちゃんと払わないとって思う誠意ある人こそ、これからこの宿に泊まらなくなると思うんです。
だけど『どうせ寄付金制度だから払わなくていいだろう』って人は、ここに泊まり続けることになるんじゃないでしょうか。
そしたらますますこの宿の維持が難しくなると思います。」


アーネストもわたしたちの意見に共感した。

「『イブラヒムハウスは、タダらしいぜ!メシもタダでくえる!ここはフリーゲストハウスだ!』って人こそ何も気にせずに泊まるでしょうね。
でも寄付金をちゃんと払わなければと思う良心のある人こそ、現実的には払えないから出て行かないといけないって思って出て行くことになるでしょう。」


「それと・・・・。
日本人にとっては寄付金制度って言うのは欧米人に比べてなじみがないと思うんです。日本にはチップの文化もない。
寄付金って言うのは『払いたい人が払えばいいもの』という捉え方です。
何かのサービスを受けたり、何かを受け取ったときにみずから進んでお礼としてお金を渡すというのは、他の国ではあたり前かもしれないけど日本ではそうじゃない。」


ちょうどギターをもってお金を稼ぎながら旅をしている日本人の男の子が泊まっていた。
その子は路上で数時間演奏すれば100ドルくらい稼げると言っていた。
この場に座っていた彼を見て、わたしは続けた。

「彼は路上で演奏をしてオーストラリアやヨーロッパやここで稼いでいます。
彼の音楽に少しでも感動した人がお金をポンポン入れていく。
でも日本で同じことをしても、日本人はお金を入れないんですよ。」


彼も笑いながら言った。

そうそう。
日本ではまったくダメ。」


じいちゃんはとってもびっくりして、甲高い声で言った。

「日本人はお金入れないの?
誰かが路上で演奏してても!?」


わたしは続けた。
「それに、他の国を旅して、道に座るホームレスに小銭を渡す人たちを良く見かけます。
でも、日本じゃホームレスにお金を渡す人なんていませんよ。」


「お金をあげないの?
どうやって生活してるの、その人たちは?」


「生活保護とか・・・。
でもゴミをあさったりしています。
とにかく、そのポストに『ドネーション』とか日本語で『寄付はこちらへ』って書いてあるのがかえってダメなのかもしれません。」


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いきなりじいちゃんが立ち上がった。
何を思ったか、突然ポストの紙をビリビリと破りはじめた。

あっけにとられたと同時に、じいちゃんの思いきった行動にアーネストもわたしたちも声をあげて笑った。

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そして紙を小さく裂いて丸めて、ニヤッとした。

わたしたちは今日ただここを出て行くはずだった。
まさかこんな緊急会議が開かれることになるとは思わなかったし、この宿の制度を変えようなんてつもりもなかった。
この展開にケンゾーとびっくりしている。

アーネストが言った。
「ちゃんと全員に払ってもらうことにしよう。
だから100シェケルよりも下げよう。」


じいちゃんが言った。
「いくらならみんな出せると思う?」

「一番安いゲストハウスはドミトリーで50や60シェケル。
ここは食事の心配はしなくていいけど、でもそれを考慮しても・・・。
わたしたちに関して言えば65とか70とか、出せても75。」


アーネストがじいちゃんに聞いた。
「イブラヒムさんはどのくらいが必要と思いますか?
70?」


「75シェケル。
そうじゃないとやっていけないから!」


結局、表向きは寄付金制度というスタンスにはなるけど全員に75払ってもらうことが決まった。

アーネストがポストの張り紙を書き直した。
「寄付」という言葉を強調せず「75から100シェケル払ってください」と書いた。

そしてわたしたちは今さら出て行くなんて言えず、ずっとここにお世話になることにした。

この日は全員がお金を払ったようで、じいちゃんは嬉しそうだった。
いつもは豆と野菜を使った手作り料理なのに、ひき肉がたっぷり入ったコロッケみたいなお惣菜をみんなに買ってきてくれた。

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「そんなことしなくていいのに」「そんなことするから赤字になるんだよ」「料理も作りすぎだよ」とケンゾーと言いあったけど、じいちゃんはそんなことをしたいのだ。

泊まっていたドイツ人が、イブラヒムハウスの存続のために寄付金を募るためインターネットで呼びかけることにした。
イブラヒムハウスを紹介するために、一眼レフをもっているケンゾーにイブラヒムハウスの写真を撮影させた。

壁に飾ってある、じいちゃんへのありがとうのお手紙も撮影させた。

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でも、日本のはほとんどない。
一番日本人がお世話になっているのにな。

そんなことを思っていると、ドイツ人の彼が言った。
「韓国人からのが多いね。
この宿の客はほとんど日本人なのに・・・・。
あ、ごめん。
別に非難してるわけじゃないんだよ。」


旅をしていると、いろんな出会いがあって外国人から無償の優しさを受けることがしょっちゅうある。
そして「本当にいい人たちに出会えたな。」とか「やっぱり旅っていいな。」と思う。

いっぽうで、そんな優しさを受けることに慣れてくる。
まるでそれが旅人の特権でもあるかのように。

たしかに重い荷物を背負って安い方法で旅しているバックパッカーには、地元の人たちが優しくしてくれることが多い。
でもそれは「特権」でもないし「あたり前のこと」でもない。

きっとこのイブラヒムハウスも「じいちゃんは太っ腹でものすごく優しい人だ。お世話になろう。」って甘えて、寄付金を払わないことにそれほど悪気はないんだと思う。
わたしも旅人だからその気持ちもわかる。
きっとお金を払わない旅人たちは「やっぱり世界には素晴らしい人たちがいるな。今回もいい出会いがあったな。旅っていいな。」っていう思い出を胸にここを出て行ってるのかもしれない。

そして、もうひとつの旅人の思い込み。
わたしたちもそうだけどバックパッカーって生活費を切り詰めてぎりぎりで旅しているので、自分が貧乏だと思い込む。
地元の人たちが高そうなレストランで食事をしているのを横目で見ながら宿に戻り、安い食パンをかじってお腹を満たす。
地元の人がタクシーやバスに乗っているのを横目で見ながら思いバックパックを担いで歩く。

でも実際は貧乏ではない。
どんなかたちであれ、旅はお金を消費する道楽で、働きもせずに旅を楽しんでいるのだから。

「旅人だから」「貧乏だから」とじいちゃんに甘えてきたのかもしれない。

でも、じいちゃんはそんな旅人も大好きで分け隔てなく迎え入れてきた。
でも、「きっと寄付を払ってくれるだろう」って期待して何度も裏切られることを経験している。
じいちゃんはその度に悲しい思いをしてきた。
それでも、やっぱり、おもてなししたいから迎え入れつづけている。

お金がなくて薬が買えないのに、つぎにくる旅人のために屋上に新たな部屋をつくっている。

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でも確実にイブラヒムハウスに来る旅人は少なくなっていると思う。
わたしたちが滞在していたときも、数人の日本人にしか会わなかった。
今は旧市街のきれいなゲストハウスに泊まる日本人が多い。
イスラエルで出会った日本人のバックパッカーたちも多くはほかのゲストハウスに泊まっていた。
「Wi-Fiも使えてきれいでいいですよ。」「中心地にあるから場所も便利です。」
そんなふうに言っていた。

いまどきわざわざ中心地から離れたこの宿に泊まり、インターネットをするよりもじいちゃんと話したいとか、不便だけどこれまで旅人たちが泊まってきた有名な宿に自分も泊まりたい、とか思う人は少ないのかもしれない。

それに宿代も75シェケルになったから、ますます泊まる人が少なくなるんじゃないか。
今後、ここはどうなるんだろう。

じいちゃんはいつも明るい。
陽気だ。
でも、もう75歳のおじいちゃんだ。

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みんなが共用スペースにいないとき、トレードマークのスカーフをはずし、椅子に体を横たえていた。
とっても小さく見えた。

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じいちゃんは、若い旅人と触れ合うのが大好き。
それがじいちゃんの生き甲斐。

たくさんの旅人が来て、寄付金を払って、このじいちゃんの楽しみをつぶしてほしくないなって思う。

エルサレムからヘブロンに移動する日、朝からじいちゃんはいなくて「ありがとう」と「さよなら」を言えなかった。

「ちゃんとお別れできなかったね」とケンゾーと言いながらバスターミナルに向かった。

するとコミカルな動きをして、わたしたちにぶつかってくる人がいた。
なにこの人! わざとぶつかってくるの!?
って思ったら、この人だった。

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じいちゃんは、バスターミナルの近くのカフェの外の椅子に座り、一日中ここで新しい旅人を待ち構えている。
「アイ アム イブラヒム。
ウェルカム!!」


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調べた情報ではエルサレムからヘブロンに行くには、バスをベツレヘムで乗り換えないといけないと思ってたけど、じいちゃんに聞いたらあっさり「直通のミニバスがあるよ」って教えてくれた。

そして大声で誰かを呼ぶと、男の人が駆けつけてくれた。

「こいつについていけ。
ヘブロン行きのバスに乗っけてくれるから。」


さすが、イブラヒムじいちゃん!

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じいちゃんは、また定位置へと戻っていった。
これからも、新たな旅人を待ち構えている。

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じいちゃん、元気でね!
これからも、たくさんの旅人に会えるといいね!

イブラヒムピースハウスが、これからも存在しつづけていきますように。

Comment

今日も

イクエサンの文章と思いが泣けます~。イブラヒムじいさんの記事は他でも何回も読んでますけど、お二人の係わりかた、洞察力、人間性などのおかげなのか、心がぎゅっとしました。そうですね、日本のひとはありがとうを伝えるのが下手というか、諸々当たり前だと思って行動にうつさないひとが多くなつてきているのかもしれないなぁ、自分もきをつけよう!とおもいました。今日も素晴らしい記事をありがとうございます。これからも楽しみにしています!

No title

日本人は、ドネーション(寄付)に馴染んでないんですね
特に対価を伴わないものには抵抗があるように感じます

ネパールのトレッキングでも標高が高くなるに従って
物価が高くなっていきますが
支払い能力がある我々がそれを支払う事によって
現地の人々の生活環境の向上に寄与してしていると思います
対価を伴うドネーションにはあまり抵抗は少ないのでは.....

あくまでも個人の考え方の問題ですね

No title

今のイブラヒムピースハウスの現状を細かく教えてくださって本当にありがとうございます。
僕も1週間程今回の旅でお世話になりました。
その時はイブラヒムおじいちゃんは足が悪く、ご自宅で寝てる時間が大半で、アーネストがイブラヒムおじいちゃんの家まで連れて行ってくれて、話を聞かせてくれたことを鮮明に覚えています。
すごく居心地が良く、安心して過ごせる素晴らしい宿でした。
けれど数年前に日本人の誰かが作った千羽鶴を見た時に、イブラヒムピースハウスの状況は難しいんだろうなと思ったんです。
数年前にはじめられたイブラヒムおじいちゃんの健康とイブラヒムピースハウスのこれからの存続を願った千羽鶴は僕が訪れた時はまだ50羽にも満たない数でした。
折っていない人が決して悪いという訳じゃないですし、普通では日本人の旅人全員が折鶴をおるなんて事はしないものだとはわかっていたんですが、なぜかその時に妙に不安な気持ちになりました。

これからもっと多くの世界中の旅人がイブラヒムピースハウスを訪れ、現在のような状況を打開できるようになればいいですね。

本当にこの記事をかいてくださってありがとうございます。

最後に。
ケンゾーさんの最後の方の写真(イブラヒムと写ってる写真)
いつもよりもかっこいいです(笑)
あ、いつもかっこいいんですよ。いつもかっこいいんです。けど、いつもよりかっこいいです(笑)

あれ?最後のコメントいりましたかね?(笑)

No title

なんとそんなことに!僕らのいた2011年の夏あたりの時は、普通にみんな払ってた・・・はず。この記事みて恥ずかしく思いました。ちゃんと払えよ日本人!!ほんとこの記事見れてよかったー。スリコの家やリダの家とか、お世話になった人たちの事が知れて、本当にありがたいっす!ちなみにそのドイツの人の作ったというイブラヒムハウス存続のための募金のホームページはどこかわかりますか?もしもうあるなら、当時一緒にイブじいんちに泊まってたメンバーに教えたい。この記事も一緒に紹介させて下さい。

No title

良いことをしましたね。
そして実に良い記事です。

この記事を読んでとても悲しく恥ずかしくなりました
人の思いやりを勘違いして 自分達の事ばかり考えてる日本人 最近日本でも目立つ気がします
日本で当たり前の事も身につけず 外国へ簡単に出て行ってしまえる事もあんまりよくないのかもしれませんね
私はイスラエルには行った事ないけど
おじいちゃんに本当にゴメンナサイって言いたいです

京子さま

他の国の旅人に比べて日本人の旅人ってゲストハウスのオーナーから好まれることも多いんです。
おとなしいし、礼儀正しいし、綺麗好きで汚さないし。
でもそのいっぽう、今回みたいに人の優しさに甘えちゃうって欠点もあるのかもしれませんね。
いいところも悪いところもあるけど、やっぱり外国の人に、日本人は好きだーって思ってほしいですよね。

Hideさま

日本人は真面目で正直者だから、金額が決まっていてみんなの前で払う場合は、金額をごまかしたり払うのを拒むことはしないと思うんです。
支払いを個人の意思に任されたり、匿名の寄付になった場合は、払わなくなるのかもしれませんね。
日本人っていいところもいっぱいあると思うんですけどねー。

shoさま

ありがとうございます。

おじいちゃんのご自宅まで行かれたんですね。
おじいちゃん、嬉しかったでしょうね!

「折り鶴を折ろう」という呼びかけの張り紙は、隅のほうに貼ってあるのを見ました。
だけど、張り紙だけで折り紙もなくて、箱には一つも鶴が入ってなくて、この計画は引き継がれなかったのかなあ、失敗したのかなあと思いました。
完成しておじいちゃんにプレゼントされた感じはしなかったので、、、。

アーネストがいなくなったら、あそこはどうなるのでしょう。

最後に。
ケンゾーの顔は、、、。
いや、やっぱりかっこ良くはないですよ。

ありがとうございます

日本人の、残念なところですね。
いくえさんもおっしゃる通りズルさもあるし、文化にないというのもあるでしょうね。
確かに路上パフォーマーにお金を入れるのって、入れたくないわけじゃないけど恥ずかしくて入れられなかったり、道端で大声で呼びかけられる募金にも、入れたいと思うけど公衆の面前でするということがなんだか恥ずかしい。
わたしもそんなジレンマがありました。

日本人の丁寧さやおしとやかさ、綺麗好き、人の良さをいいと思ってくれる外国人もいる中で、日本人はお金を持ってるのにケチだと怒る外国人もたくさんいます。
日本はルールがたくさんあって、それは守れるけど、するかどうかを個人に委ねられる場合はしないことも多い気がする。特にお金に関しては。日本では、支払いに全てきちんとした理由があるから、寄付っていうのはすごく特別なことのように扱われているのかも。寄付でいいなら、お金払わなくても何とかなってるんだろう、って思ってしまうんでしょうね。本当に必要なら義務になるはずだからと。
そして人が動いてくれることに対する対価という感覚はほぼないに等しいかな。
お心付け、という文化は日本にあったはずだけど、今や心付けもなくなってきましたよね、
仕事柄、そうゆう場にいるので顕著にわかります。昔は、人が自分のために動いてくれたら、何かしらお金でなくてもお礼を渡していたのに、今は動いてもらって当たり前、そこにお金が発生しようものなら、逆に不親切だと言われます。便利さを求めるあまり、私たちはやはり失ったものが多いですね。
みんなの責任です。今出来ることから、していける日本人でありたいものです。

初めまして

もう随分前からブログ読ませてもらっていましたが
初めてコメント書かせてもらってます。
私はケンゾーさんと同じ九州男児でもあり、イクエさんとは同郷の熊本県人です
その為
勝手に親しさを感じながら、ほぼ毎日、毎朝ブログを読み(新聞より先に)
1日をスタートしてます
いつも丁寧な記事のお陰で自分の知らない世界を知る事が出来ます。
そして、いつも一緒に旅をしている感じがしています。
これからも身体に気をつけて思い出深い旅が続かれる事を切に願っています。
長々となりすみません

最後に(笑)
一つ今回の記事中の写真で気になった事が。
最後の方でイブラヒムさんとケンゾーさんの2ショット
ケンゾーさんが方から下げらてるのは
阿蘇カルデラマラソンの袋では?
私は毎年参加させてもらってます
ケンゾーさんも走られたのでしょうか?

そんなにたくさんの人が払ってないなんて。。。がっかり。

こんにちは!わたしたちも、夫婦でイブじぃちゃんの家に泊めてもらったことがあります。
そのとき既にスタッフとして滞在していたアーネストと、日本人旅行者について話したことを思い出しました。
ありがとうと口では言うけど、日本人はボランティア的な活動をしないという話でした。

いったん上げた「寄付金」を75シュケルにまで値下げしたのは、イクエさんたちがきちんとアーネストに気持ちを伝えたことがきっかけだと考えると、優柔不断にお茶を濁して意思をはっきり伝えない多くの日本人の中で、このタイミングでイクエさんたちが泊りに行ってくれててよかった・・・と思います。
今回の記事を読んで久しぶりに旅の感じ思い出しました!
自分の旅を終えてすっかりブログを読むことから離れてましたが、また読みにきます。お体に気をつけて仲良く旅を続けて下さいね!応援しています。

にっぱー さま

コメントありがとうございます。
最近はイブラヒムじいちゃんちに行く旅人が少なくて、旧市街の安いゲストハウスにうつってるみたいです。
日本人びいきのゲストハウスがあるらしく。
たしかにわたしたちのときも、日本人は少なくてこれから中国人や韓国人の旅人が多くなるのかもしれません。

ドイツ人が作っていたホームページのアドレスを聞くのを忘れてしまいました。
申し訳ありません。
まずは専用のフェイスブックで呼びかけると言ってたのですが。
せっかくのご提案なのに。
すみません!
ありがとうございます。

やまもと さま

ありがとうございます。
このまま、イブラヒムハウスが存続してくれるといいのですが。
とても心配してます。

匿名さま

きっと払わない人は、自分だけだったら払わなくても大丈夫だろうな、誰にも責められるわけじゃないからいいかなっていう甘えがあると思うんですよね。
そこまで悪いことをしているつもりはないと思うんです。
でも甘えちゃうのは良くないことですよね。
自分も気をつけようと思いました。

ぎんちゃんさま

たしかにご指摘のとおりですよね。
日本人は真面目で他の人の目も気にするから、ルールを破るのには抵抗があってちゃんと決められたことは守りますよね。
でもそれが規則ではなく、自分の意思に委ねられた途端「規則ではないから別にそのとおりにしなくていいもの」と解釈してしまうのかもしれませんね。

たしかに昔の日本のほうが謝礼の文化があったのかもしれません。
いまは全て定額で、心付けの習慣が薄れていますね。
そのうち結婚式やお葬式も定額の会費制になったりして。

やすと さま

新聞より先に読んでいただいているなんて、光栄です。
ありがとうございます。
おお、熊本のかたなんですね!
うれしか〜。

そして、写真の袋は、ご指摘のとおりカルデラマラソンの袋です。
参加したことはないのですが、イクエの家族がマラソンの運営に関わっていて、この前フランスで合流したときにもらいました。
寝袋を入れてました。

あんな写真でお気づきになられるとは、このブログ、そしてカルデラマラソンのツウですね!

これからも、よろしくお願いします。

ヨメさちこさま

こんにちは!
赤ちゃん、いかがですか?

わたしたちも払わない人は少しはいるだろうと思っていましたが、想像を超える人が払ってなかったみたいです。

そうですねー、たしかに日本人は感謝の心は忘れないけど、それをきちんと行動にうつして相手に伝えるのは苦手かもしれませんね。

これから子育てで大変だと思いますが、息抜きにこのブログに遊びに来てくれたらうれしいです!

はじめまして!
この記事をちょうど見る機会があり読んでいくうちに胸が痛くなりました!そして旅をする自分もまた色々なことを振り返り考えさせられました!

私は12月からまた旅に出ます。
中東アフリカアジアを周るのでイスラエルにももちろん行くつもりです!
今回の記事を読んで、私はイスラエルに行ったときにはぜひイブラヒム爺ちゃんのゲストハウスに行きたいと思いました!そしてイブラヒム爺ちゃんの好意に甘えるのではなく、その好意に感謝できる人でありたいと思います!
寄付金を入れることももちろんだけど
こういうことって気持ちが大事♡
街を散策しに行ったときには高いものは買えなくても一緒に食べれるものなどお土産を買って帰ってそれを食べながらたくさん話ができたらいーなーと今からイスラエルに行くのが楽しみになりました‼‼今回の記事を書いてくださってありがとうございます♪( ´▽`)

みーちゃん さま

読んでくださってありがとうございます!
長期旅行に行かれるのですね。
ぜひイブラヒムじいちゃんのところに行かれてください。
おじいちゃん、喜びますよ!
そして、機会があればぜひパレスチナ自治区にも行ってみてください。
今から楽しみですね。

お世話になります

お世話になります。
イブラフムさんの家でイクエさんとケンゾウさんと夜お話をしました、日本人の松永と申します。

お話しされたあとの朝、100シュケル払ったらアーネストはとても驚いておられました。
まぁでもdonationだと長期で旅されている日本人にはタダ同然に思えるのも納得しますね。
私は短期で帰国する人間だったので支払に何の躊躇いもなかったので。

旅のご無事をお祈りします。

松永 さま

こんにちは。

100あげるとおじいちゃんはとても喜ぶと思います。
でも現実にはもっと安く泊まれる快適なゲストハウスがあって、そっちに移動する人も多かったです。
ドネーションは理想的ですけど、難しいですよね。

No title

お世話になります。
イブラヒムさんの家でお会いした松永です。

あのとき、ケンゾーさんとイクエさんからイランの話をすこし聞いたのを思い出し、イランに行くことにしました。
情報、参考にさせていただきました。
いつもありがとうございます。

南米、お気をつけて楽しんで下さい。

松永さま

イランいいですよ!
ただ、中国人だとバカにされるのにストレスをためる旅人も多いので気をつけてください。
ぜひカウチサーフィンをやってみてください。
わたしたちもイランではじめてしましたが、イランはカウチ初心者にうってつけの国だと思います。
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