砂漠のオアシス 安宿は居心地いいけど・・・
ケンゾーがかなりの寒がりだということを最近実感している妻のイクエです。
寒いと急にテンションが下がるケンゾー。
「よくそれで冬に仕事できてたね」といつも不思議に思う。
ベルベル人の穴蔵ホテルで療養生活を送ったイクエ。
次の目的地はサハラ砂漠のオアシス都市、トズール。

バックパックを背負って移動できるか不安だったから楽して車をチャーターしてトズールまで行っちゃうか、ちょっときついし時間もかかるけどルアージュ(ミニバス)を乗り継いで安い方法を取るか、ケンゾーと前日から話し合っていた。
出した答えは、安い手段。
熱もだいぶ下がったし、少しの距離なら歩けそう。
着実に年は取ってるけど、旅をして着実に根性はついてきたなと思う。
年をとるほど「やる気」と「気力」が大事になってくる。
ホテルから歩いてルアージュ乗り場へ。
まずはルアージュで新マトマタを目指し、そこからガベス行きのルアージュに乗り換えて、ガベスで降りたらバス停まで歩く。
そして今度はトズール行きのルアージュに乗る。
3回乗り換えるけど、そのくらいの移動ならもう何てことはなくなっている。
ガベスのルアージュ乗り場には、整然と車が並んでいる。
ルアージュでどこでも行けるチュニジアはけっこう旅しやすい!

トズールへと走る車。
車の両脇に見えるのは真っ白い大地。
まさか、砂漠に雪?

これは塩湖のショット・エル・ジェリド。
広さはおよそ5000㎢。
全長96キロの道路が、この塩湖を縦断している。
このシーズン、涸れている部分が多いけど、真っ白い塩と青い空が美しいコントラストを織りなしているところもある。

ここも映画『スター・ウォーズ』の撮影で使われたらしい。
見たことないイクエにとっては、どうでもいいけど。
でも、チュニジア人にとってもたぶんどうでもいいんだと思う。
チュニジア人で『スター・ウォーズ』見たことある人ってきっと1パーセントにも満たないよ。
だってね、塩湖の途中に『スター・ウォーズ』っぽいモニュメントが飾られているんだけど、完成度が・・・。

宇宙船っぽいのと、ジェダイの騎士っぽいカカシみたいなのと、なんかよう分からんやつ。
そんな風景を見ながら、無事に目的地のトズールに到着。
目的地のホテルまで、もう少し。
がんばれ!

『地球の歩き方』に載っている一番安いホテル「オテル・カリファ」を目指す。
といっても、最新版じゃないので情報は古い。
イクエの前を歩くケンゾー。
あれ?
もしかしてここじゃない?
見落としてしまうくらい気合いのない看板があった。
というか、ケンゾーはすっかり見落として先を歩いている。
「ケンゾー!
ケンゾーってば!!
ここじゃない?」
棟続きの商店の一画。
間口は狭くて、ホテルとは思えないけどレセプションっぽいものがある。

「あ、ここ!?」
「そうだよ。
ほら、看板あるもん。」
でも、誰もいない。
ウロウロしていたら、さっき入口の外の椅子に腰かけていたおじさんが入ってきた。
「ハロー。
ドゥ ユー ハブ ダブルルーム?」
「イエス。」
おじさんは笑顔で応対してくれた。
やっぱりホテルの人だったんだ。
客引きをするために入口に腰かけていたはずなのに、なんでバックパックを背負ったカモが目の前を通ったのに声をかけなかったんだろう。
商売っけがないのかな。
そのときはそう思った。
おじさんが一日中、入口の椅子に腰かけているのは旅行者の呼び込みのためじゃなくて、別の目的だったことはあとになってわかった。
1泊ふたりで20ディナール(約1260円)で、チュニジアでこれまで泊まってきた宿では一番安い。
ボロボロで埃っぽいけど、シーツはきれいで不潔な感じはしない。
バス・トイレはちょっと汚いけど、部屋の中についてるだけでも良しとしよう。
おじさんは英語はたどたどしいけど笑顔で応対してくれて、愛想はいい。
これまで泊まってきた宿で「この宿最低だな」と思うのは、部屋の不潔さやダニの多さや設備の不備に対してではなく、スタッフの対応に対して。
ブログでも酷評してきた宿は、宿のマネージャーやスタッフの態度が悪かったところ。
この宿のおじさんは笑顔で親切そうなので、多少設備が古くてもがまんできる。
隣の部屋に宿泊客もいる。
でも、どうもツーリストじゃなさそうな。
「仕事で泊まってるのかな。」
「なんかストーブなんかも部屋に持ち込んでるし、住んどるっぽくない?」
この宿泊客のナゾはのちのちわかることになる。
泊まる宿も決まったことだし、イクエの体調をみながら無理せずトズールの街を散策。

砂漠の中の都市。
石や木が豊富じゃない場所では、砂と粘土で造る日干しレンガが建材となる。
砂と粘土を混ぜ合わせて造った日干しレンガの建物だらけ。

14世紀につくられた日干しレンガの街並み。
タイヤを転がして遊んでいるおにいちゃんといっしょに、タイヤを引きずって遊んでいる男の子がいた。
とても素朴な遊び。
高いおもちゃがなくても、ゲームを買ってもらえなくても、タイヤだけで遊べるという特技をこの子たちはもっている。
おもちゃであふれている今の日本の子どもたちよりも、子どもならではの遊びの才能を発揮できていてある意味うらやましく思う。

砂漠のような茶色の街並み。
モスクだって砂漠の色、一色。
砂場で造るお城みたいね。

本来ならもっと鮮やかに装飾したい。
でも、色で勝負できないときにどうするか。

レンガをでっぱらせたり、逆にひっこめたりして凹凸をつくる。
鮮やかな色で装飾はできないけど、凹凸によって陰影ができる。
幾何学模様の建築様式はすでに10世紀ごろにこの地方に伝わってきたらしい。
幾何学模様のパターンは何百種類にもなり、それはこの地域のカーペットのデザインにも用いられているんだって。


砂漠の中の茶色い街だけど、ここが都市となったのにはわけがある。

1000ヘクタールの広大なオアシスがあるから。
豊富な水、そしてナツメヤシが生い茂り最高級のデーツ(ナツメヤシの実)がこの街を潤してきた。

オアシスの中にあるデルベデール公園。
トズール出身の詩人アブール・カセム・シェビの顔が不気味に掘られた岩山は展望台になっている。
誰?

トズールのオアシス側はリゾート地。
4つ星以上のホテルが建ち、国内外のリッチな人たちが泊まっている。
砂漠のオアシスの中のプールで涼んだり、ナツメヤシのガーデンでティータイムを楽しんだり。
街がリゾート地と下町にわかれている。

ちなみにリゾート地はツーリスティックゾーンと呼ばれている。
もちろん、イクエとケンゾーのホテルは「ツーリスティックゾーン」ではなくて日干しレンガの下町にある。
そしてわたしたちは下町のほうが好き。
地元の人たちの暮らしが見える。
下町の安宿の屋上から見える砂漠のオアシスの朝焼け。
五つ星ホテルのガーデンの美しさにも負けない。

「めちゃくちゃきれいやん!」
「すっげ〜」

下町にあるこの安宿。
なぜかホテルという雰囲気が漂っていない。
外国人旅行客なんて1人も泊まりにこない。
設備も古いけど、なぜか居心地がいい。
でも、イクエとケンゾーはうすうす気づきはじめていた。
このホテルが実は旅行客用のものではなく、「〇〇宿」だということを・・・。
続きは次回!
寒いと急にテンションが下がるケンゾー。
「よくそれで冬に仕事できてたね」といつも不思議に思う。
ベルベル人の穴蔵ホテルで療養生活を送ったイクエ。
次の目的地はサハラ砂漠のオアシス都市、トズール。

バックパックを背負って移動できるか不安だったから楽して車をチャーターしてトズールまで行っちゃうか、ちょっときついし時間もかかるけどルアージュ(ミニバス)を乗り継いで安い方法を取るか、ケンゾーと前日から話し合っていた。
出した答えは、安い手段。
熱もだいぶ下がったし、少しの距離なら歩けそう。
着実に年は取ってるけど、旅をして着実に根性はついてきたなと思う。
年をとるほど「やる気」と「気力」が大事になってくる。
ホテルから歩いてルアージュ乗り場へ。
まずはルアージュで新マトマタを目指し、そこからガベス行きのルアージュに乗り換えて、ガベスで降りたらバス停まで歩く。
そして今度はトズール行きのルアージュに乗る。
3回乗り換えるけど、そのくらいの移動ならもう何てことはなくなっている。
ガベスのルアージュ乗り場には、整然と車が並んでいる。
ルアージュでどこでも行けるチュニジアはけっこう旅しやすい!

トズールへと走る車。
車の両脇に見えるのは真っ白い大地。
まさか、砂漠に雪?

これは塩湖のショット・エル・ジェリド。
広さはおよそ5000㎢。
全長96キロの道路が、この塩湖を縦断している。
このシーズン、涸れている部分が多いけど、真っ白い塩と青い空が美しいコントラストを織りなしているところもある。

ここも映画『スター・ウォーズ』の撮影で使われたらしい。
見たことないイクエにとっては、どうでもいいけど。
でも、チュニジア人にとってもたぶんどうでもいいんだと思う。
チュニジア人で『スター・ウォーズ』見たことある人ってきっと1パーセントにも満たないよ。
だってね、塩湖の途中に『スター・ウォーズ』っぽいモニュメントが飾られているんだけど、完成度が・・・。

宇宙船っぽいのと、ジェダイの騎士っぽいカカシみたいなのと、なんかよう分からんやつ。
そんな風景を見ながら、無事に目的地のトズールに到着。
目的地のホテルまで、もう少し。
がんばれ!

『地球の歩き方』に載っている一番安いホテル「オテル・カリファ」を目指す。
といっても、最新版じゃないので情報は古い。
イクエの前を歩くケンゾー。
あれ?
もしかしてここじゃない?
見落としてしまうくらい気合いのない看板があった。
というか、ケンゾーはすっかり見落として先を歩いている。
「ケンゾー!
ケンゾーってば!!
ここじゃない?」
棟続きの商店の一画。
間口は狭くて、ホテルとは思えないけどレセプションっぽいものがある。

「あ、ここ!?」
「そうだよ。
ほら、看板あるもん。」
でも、誰もいない。
ウロウロしていたら、さっき入口の外の椅子に腰かけていたおじさんが入ってきた。
「ハロー。
ドゥ ユー ハブ ダブルルーム?」
「イエス。」
おじさんは笑顔で応対してくれた。
やっぱりホテルの人だったんだ。
客引きをするために入口に腰かけていたはずなのに、なんでバックパックを背負ったカモが目の前を通ったのに声をかけなかったんだろう。
商売っけがないのかな。
そのときはそう思った。
おじさんが一日中、入口の椅子に腰かけているのは旅行者の呼び込みのためじゃなくて、別の目的だったことはあとになってわかった。
1泊ふたりで20ディナール(約1260円)で、チュニジアでこれまで泊まってきた宿では一番安い。
ボロボロで埃っぽいけど、シーツはきれいで不潔な感じはしない。
バス・トイレはちょっと汚いけど、部屋の中についてるだけでも良しとしよう。
おじさんは英語はたどたどしいけど笑顔で応対してくれて、愛想はいい。
これまで泊まってきた宿で「この宿最低だな」と思うのは、部屋の不潔さやダニの多さや設備の不備に対してではなく、スタッフの対応に対して。
ブログでも酷評してきた宿は、宿のマネージャーやスタッフの態度が悪かったところ。
この宿のおじさんは笑顔で親切そうなので、多少設備が古くてもがまんできる。
隣の部屋に宿泊客もいる。
でも、どうもツーリストじゃなさそうな。
「仕事で泊まってるのかな。」
「なんかストーブなんかも部屋に持ち込んでるし、住んどるっぽくない?」
この宿泊客のナゾはのちのちわかることになる。
泊まる宿も決まったことだし、イクエの体調をみながら無理せずトズールの街を散策。

砂漠の中の都市。
石や木が豊富じゃない場所では、砂と粘土で造る日干しレンガが建材となる。
砂と粘土を混ぜ合わせて造った日干しレンガの建物だらけ。

14世紀につくられた日干しレンガの街並み。
タイヤを転がして遊んでいるおにいちゃんといっしょに、タイヤを引きずって遊んでいる男の子がいた。
とても素朴な遊び。
高いおもちゃがなくても、ゲームを買ってもらえなくても、タイヤだけで遊べるという特技をこの子たちはもっている。
おもちゃであふれている今の日本の子どもたちよりも、子どもならではの遊びの才能を発揮できていてある意味うらやましく思う。

砂漠のような茶色の街並み。
モスクだって砂漠の色、一色。
砂場で造るお城みたいね。

本来ならもっと鮮やかに装飾したい。
でも、色で勝負できないときにどうするか。

レンガをでっぱらせたり、逆にひっこめたりして凹凸をつくる。
鮮やかな色で装飾はできないけど、凹凸によって陰影ができる。
幾何学模様の建築様式はすでに10世紀ごろにこの地方に伝わってきたらしい。
幾何学模様のパターンは何百種類にもなり、それはこの地域のカーペットのデザインにも用いられているんだって。


砂漠の中の茶色い街だけど、ここが都市となったのにはわけがある。

1000ヘクタールの広大なオアシスがあるから。
豊富な水、そしてナツメヤシが生い茂り最高級のデーツ(ナツメヤシの実)がこの街を潤してきた。

オアシスの中にあるデルベデール公園。
トズール出身の詩人アブール・カセム・シェビの顔が不気味に掘られた岩山は展望台になっている。
誰?

トズールのオアシス側はリゾート地。
4つ星以上のホテルが建ち、国内外のリッチな人たちが泊まっている。
砂漠のオアシスの中のプールで涼んだり、ナツメヤシのガーデンでティータイムを楽しんだり。
街がリゾート地と下町にわかれている。

ちなみにリゾート地はツーリスティックゾーンと呼ばれている。
もちろん、イクエとケンゾーのホテルは「ツーリスティックゾーン」ではなくて日干しレンガの下町にある。
そしてわたしたちは下町のほうが好き。
地元の人たちの暮らしが見える。
下町の安宿の屋上から見える砂漠のオアシスの朝焼け。
五つ星ホテルのガーデンの美しさにも負けない。

「めちゃくちゃきれいやん!」
「すっげ〜」

下町にあるこの安宿。
なぜかホテルという雰囲気が漂っていない。
外国人旅行客なんて1人も泊まりにこない。
設備も古いけど、なぜか居心地がいい。
でも、イクエとケンゾーはうすうす気づきはじめていた。
このホテルが実は旅行客用のものではなく、「〇〇宿」だということを・・・。
続きは次回!