カウチサーフィンのホストは怠け者
ヒマワリの種を食べ過ぎて舌がバカになってるケンゾーです。
イランのは塩がたっぷりまぶしてあって食べ過ぎると舌がビリビリになるんだよね。
シーラーズ(だと思ったら、じつは隣町だった)の独身貴族モハンマッドの家にホームステイしているケンゾーとイクエ。
せっかく観光スポットがたくさんあるシーラーズに滞在しているのに、アーシュラー(イスラムの行事)の真っ只中なので、街は信者に占領され、主要な見どころは閉館。
(ガイドブックに「年中無休」と記載されているペルセポリスなどもすべてクローズ)
思うように観光ができず、モハンマッドの家でまったりしている。
夜、近くに住む弟の家に遊びに行くことに。
家はよく見るアパートメント。
部屋の中に入ろうとすると「そっちじゃないよ、こっちこっち」と駐車スペースの奥のほうへ誘われる。
そこには木の柵で囲われたスペースが。
「ん?トイレ?」
促されるまま中に入ると・・・。
悠然と水タバコ(ガリヤーン)をくゆらす男の姿が。
こちらがモハンマッドの弟。
自分の部屋として、庭に自分で作ったんだって。
モハンマッドは「トラディッショナル イラニアンハウスだよ!」って言ってるけど、それはあやしいな。
すきま風が入りまくりだし、ちゃち過ぎる。
でも大人の隠れ家にはぴったりだね。
日本にはない水タバコ。
お椀型の器のなかにタバコの葉が入っていてその上に炭を載せる。
水タバコの葉にはチェリーやミントなどのフレイバーがついている。
甘い味がするし、煙は水で濾過されるので害は無いように言われることもあるけれど、タバコであることに変わりはない。
ちゃんと葉っぱのパッケージには『健康を害する怖れがあります』というような注意書きとグロテスクな写真が描かれている。
香りも味も甘いし、1回で30分~1時間くらいもつので吸い過ぎて逆にタバコよりも体に悪いんじゃないかな?
アーシュラーの集まりに(イヤイヤながら?)参加していた奥さんが帰ってきた。
たぶん夫婦揃ってアーシュラーには興味ないんだろうけど、近所付き合いや世間体のために奥さんだけ参加したんだろう。
「アーシュラ―なんか早く終わってくれ」、もっと言うと「こんな行事無くなってしまえばいいのに」って思ってるような感じだったな。
山にハイキングに行ったときはテンション高くてノリノリだったモハンマッド。
「昼はハイキング、夜はキャンプだよ!」って張りきってたんだけど、山ではしゃぎ過ぎたのかハイキングから帰ってきたらテンションがだだ下がり。
けっきょくその日、キャンプに行くことはなかった。
それからというもの、どんどんテンションが落ちていったモハンマッド。
テンションが低いと言うより、ずぼらと言ったほうがぴったりかもしれない。
家からほとんど出ることがなくなり、やることといったらインターネットか映画鑑賞、そして寝る。
「仕事は家でしている」と言っていたけど、そんな姿を見たことがない。
笑っちゃうのが、日を追うごとに英語が下手くそになっていってるんだよね。
たぶんがんばって喋るのが面倒くさくなってきたんだろう。
初日に張りきり過ぎただけで、これが彼の本来の姿なのだろう。
自分でも「家にいるのが一番心地よくて好きだ。仕事場も家!」と言っている。
しまいには「アイム ファットマン(肥満男)!」って開き直ってたからね。
音楽やデザインや瞑想が好きでよく言えば孤高の芸術家タイプ。
簡単に言ってしまえば典型的なオタク。
「キャンプに行こう!」と言ってたのに、夜にはまるで何も言わなかったかのように当然のように家でくつろぐ。
「シーラーズはイランでベストな街だ。見るところもたくさんあるから街を案内するよ!」と言っても、結局どこに行く気配もなく家でのんびりする。
「ペルセポリスには自分の車で連れて行ってあげる!」と言うけど、出かける気配がないので「いいよ。ふたりだけで行けるから。」と彼を頼らずに出かけた。
「じゃあペルセポリスのあと、街の中で待ち合わせしよう。いっしょにレストランで夕食を食べよう!」って言われたからそのつもりで出かけ、夜電話すると「家で待ってるよ。」と言う。
そんな彼の性格がわかってきたので、こちらも特になにかを期待するでもなく、流れに身を任せて過ごすことにした。
「好きなことを好きなときにできるから、家が一番いい。俺はEasy man!
だからふたりも好きなようにここを使っていいよ。」
まあ、それくらいルーズなほうがケンゾーとイクエにはちょうどいい。
寝たいときに寝て、起きたいときに起きる。
お腹が空いたら勝手に冷蔵庫にある食材でご飯を作って食べる。
洗濯機も自由に使わせてもらう。
メヒディの家とはまた違った快適さ。
あとから聞いたけど、シーラーズ人の気質は「レイジー(怠け者)」なんだって。
それで納得!
モハンマッドは典型的なシーラーズ人だったんだね。
でもこのゆる~い感じ、嫌いじゃないよ。
けっきょく初日にハイキングに行った以外はずっと家に引きこもり。
家の外に出ないので、ちょっとはケンゾーとイクエに悪いと思ったのか、それとも自分が退屈だからなのか友人たちを家に呼んでくれた。
友人の中にはプロの演奏家も。
彼が吹いているのは「ネイ」というイランの伝統的な笛。
音色は日本の尺八に似ている。
6つの穴が空いてるだけのシンプルなものなんだけど、低音から高音まで多彩な音を奏でる。
息の強弱でオクターブを変えることができる。
家籠もりもいいかげん飽きてきたので、シーラーズの街に行ってみることにした。
前日モハンマッドが「あしたの朝、街まで車で送ってあげるよ。」って言ってくれたけど、いざ朝になると布団を被ったまま眠気まなこで「バスで簡単に行けるから、いってらっしゃ~い。」だって。
まあ、期待してなかったけどね。
まずは8代目エマーム・レザーの弟が眠る「シャー・チェラーグ廟」。
この建物自体は14世紀に建てられたもの。
玉ねぎ型のドームがかわいい。
この廟はシーア派の重要な巡礼地となっている。
イランの1000リアルコインにも描かれるほど大事な場所。
外の柱は木製でシックだけど、廟の内部はがらっと雰囲気が変わる。
壁も柱も天井もすべてが鏡のモザイク張り。
キラキラ、ギラギラで部屋自体が大きな万華鏡のよう。
信者たちがひっきりなしに訪れ、棺が収められている部屋の扉に触れたりキスをしたりしている。
いやあ、自分だったらこんなところじゃ落ちついて眠れないなあ。
信者しか廟のなかには入れないかなと思っていたけど、そんなことはなくて外国人であるケンゾーとイクエも何も言われることなく入ることができた。
中ではスタッフの人からチャイもごちそうになり、ほかの信者とともにビスケットもふるまわれた。
つづきましては「マスジェデ・ナスィーロル・モルク」。
1887年に完成したちいさなモスクだ。
ブルーではなくピンクを基調とした装飾が美しい。
花柄のタイル模様がかわいいね。
そしてこのモスクの見どころは内部のステンドグラス。
鮮やかなステンドグラスが壁一面にはめ込まれていて、午前中に行くと部屋の中が色とりどりの光で照らし出されるそうなのだ。
さあ、どんな幻想的な空間になってるのかな。
・・・はい、まったく光が差し込んでない!
あいにくこの日は曇り空、残念!
その場に居合わせた日本人のガイドによると、曇りの日のほうが珍しいそう。
あ~あ、ついてないなあ。
それでも諦めきれずしばらく粘っていると、一瞬だけ日が射した!
部屋の中が色鮮やかに照らし出される。
おおー、めっちゃきれい!
なんだか夢心地になる。
でもこれもほんの一瞬だった。
まさに夢を見ていたかのように消え去ってしまった。
ここは晴れた日の午前、早い時間に行くべし!
さて、オタクのイラン人モハンマッド。
ケンゾーとイクエが出て行く日の夜「バス停までいっしょに行くから!」と言っていたけど、朝になっても布団に入ったまま。
「モハンマッド、ありがとう。もう出発するから。」
寝ぼけながら体を起こすモハンマッド。
「出発? 荷物置いてまた午後ここに戻ってくるんだろう?」
「いや、違うよ。もう今朝のバスチケット取ってるからいかなきゃいけない。」
「あれ、そうだっけ?・・・う〜ん。」
「いいよ、自分たちで行けるからそのまま寝てて。
ありがとうね。バイバイ。」
玄関まで見送るのがやっとのモハンマッド。
そんなイージーでレイジーな彼の家がある意味居心地良く、これまでのホームステイでは最長の4泊したケンゾーとイクエだった。
イランのは塩がたっぷりまぶしてあって食べ過ぎると舌がビリビリになるんだよね。
シーラーズ(だと思ったら、じつは隣町だった)の独身貴族モハンマッドの家にホームステイしているケンゾーとイクエ。
せっかく観光スポットがたくさんあるシーラーズに滞在しているのに、アーシュラー(イスラムの行事)の真っ只中なので、街は信者に占領され、主要な見どころは閉館。
(ガイドブックに「年中無休」と記載されているペルセポリスなどもすべてクローズ)
思うように観光ができず、モハンマッドの家でまったりしている。
夜、近くに住む弟の家に遊びに行くことに。
家はよく見るアパートメント。
部屋の中に入ろうとすると「そっちじゃないよ、こっちこっち」と駐車スペースの奥のほうへ誘われる。
そこには木の柵で囲われたスペースが。
「ん?トイレ?」
促されるまま中に入ると・・・。
悠然と水タバコ(ガリヤーン)をくゆらす男の姿が。
こちらがモハンマッドの弟。
自分の部屋として、庭に自分で作ったんだって。
モハンマッドは「トラディッショナル イラニアンハウスだよ!」って言ってるけど、それはあやしいな。
すきま風が入りまくりだし、ちゃち過ぎる。
でも大人の隠れ家にはぴったりだね。
日本にはない水タバコ。
お椀型の器のなかにタバコの葉が入っていてその上に炭を載せる。
水タバコの葉にはチェリーやミントなどのフレイバーがついている。
甘い味がするし、煙は水で濾過されるので害は無いように言われることもあるけれど、タバコであることに変わりはない。
ちゃんと葉っぱのパッケージには『健康を害する怖れがあります』というような注意書きとグロテスクな写真が描かれている。
香りも味も甘いし、1回で30分~1時間くらいもつので吸い過ぎて逆にタバコよりも体に悪いんじゃないかな?
アーシュラーの集まりに(イヤイヤながら?)参加していた奥さんが帰ってきた。
たぶん夫婦揃ってアーシュラーには興味ないんだろうけど、近所付き合いや世間体のために奥さんだけ参加したんだろう。
「アーシュラ―なんか早く終わってくれ」、もっと言うと「こんな行事無くなってしまえばいいのに」って思ってるような感じだったな。
山にハイキングに行ったときはテンション高くてノリノリだったモハンマッド。
「昼はハイキング、夜はキャンプだよ!」って張りきってたんだけど、山ではしゃぎ過ぎたのかハイキングから帰ってきたらテンションがだだ下がり。
けっきょくその日、キャンプに行くことはなかった。
それからというもの、どんどんテンションが落ちていったモハンマッド。
テンションが低いと言うより、ずぼらと言ったほうがぴったりかもしれない。
家からほとんど出ることがなくなり、やることといったらインターネットか映画鑑賞、そして寝る。
「仕事は家でしている」と言っていたけど、そんな姿を見たことがない。
笑っちゃうのが、日を追うごとに英語が下手くそになっていってるんだよね。
たぶんがんばって喋るのが面倒くさくなってきたんだろう。
初日に張りきり過ぎただけで、これが彼の本来の姿なのだろう。
自分でも「家にいるのが一番心地よくて好きだ。仕事場も家!」と言っている。
しまいには「アイム ファットマン(肥満男)!」って開き直ってたからね。
音楽やデザインや瞑想が好きでよく言えば孤高の芸術家タイプ。
簡単に言ってしまえば典型的なオタク。
「キャンプに行こう!」と言ってたのに、夜にはまるで何も言わなかったかのように当然のように家でくつろぐ。
「シーラーズはイランでベストな街だ。見るところもたくさんあるから街を案内するよ!」と言っても、結局どこに行く気配もなく家でのんびりする。
「ペルセポリスには自分の車で連れて行ってあげる!」と言うけど、出かける気配がないので「いいよ。ふたりだけで行けるから。」と彼を頼らずに出かけた。
「じゃあペルセポリスのあと、街の中で待ち合わせしよう。いっしょにレストランで夕食を食べよう!」って言われたからそのつもりで出かけ、夜電話すると「家で待ってるよ。」と言う。
そんな彼の性格がわかってきたので、こちらも特になにかを期待するでもなく、流れに身を任せて過ごすことにした。
「好きなことを好きなときにできるから、家が一番いい。俺はEasy man!
だからふたりも好きなようにここを使っていいよ。」
まあ、それくらいルーズなほうがケンゾーとイクエにはちょうどいい。
寝たいときに寝て、起きたいときに起きる。
お腹が空いたら勝手に冷蔵庫にある食材でご飯を作って食べる。
洗濯機も自由に使わせてもらう。
メヒディの家とはまた違った快適さ。
あとから聞いたけど、シーラーズ人の気質は「レイジー(怠け者)」なんだって。
それで納得!
モハンマッドは典型的なシーラーズ人だったんだね。
でもこのゆる~い感じ、嫌いじゃないよ。
けっきょく初日にハイキングに行った以外はずっと家に引きこもり。
家の外に出ないので、ちょっとはケンゾーとイクエに悪いと思ったのか、それとも自分が退屈だからなのか友人たちを家に呼んでくれた。
友人の中にはプロの演奏家も。
彼が吹いているのは「ネイ」というイランの伝統的な笛。
音色は日本の尺八に似ている。
6つの穴が空いてるだけのシンプルなものなんだけど、低音から高音まで多彩な音を奏でる。
息の強弱でオクターブを変えることができる。
家籠もりもいいかげん飽きてきたので、シーラーズの街に行ってみることにした。
前日モハンマッドが「あしたの朝、街まで車で送ってあげるよ。」って言ってくれたけど、いざ朝になると布団を被ったまま眠気まなこで「バスで簡単に行けるから、いってらっしゃ~い。」だって。
まあ、期待してなかったけどね。
まずは8代目エマーム・レザーの弟が眠る「シャー・チェラーグ廟」。
この建物自体は14世紀に建てられたもの。
玉ねぎ型のドームがかわいい。
この廟はシーア派の重要な巡礼地となっている。
イランの1000リアルコインにも描かれるほど大事な場所。
外の柱は木製でシックだけど、廟の内部はがらっと雰囲気が変わる。
壁も柱も天井もすべてが鏡のモザイク張り。
キラキラ、ギラギラで部屋自体が大きな万華鏡のよう。
信者たちがひっきりなしに訪れ、棺が収められている部屋の扉に触れたりキスをしたりしている。
いやあ、自分だったらこんなところじゃ落ちついて眠れないなあ。
信者しか廟のなかには入れないかなと思っていたけど、そんなことはなくて外国人であるケンゾーとイクエも何も言われることなく入ることができた。
中ではスタッフの人からチャイもごちそうになり、ほかの信者とともにビスケットもふるまわれた。
つづきましては「マスジェデ・ナスィーロル・モルク」。
1887年に完成したちいさなモスクだ。
ブルーではなくピンクを基調とした装飾が美しい。
花柄のタイル模様がかわいいね。
そしてこのモスクの見どころは内部のステンドグラス。
鮮やかなステンドグラスが壁一面にはめ込まれていて、午前中に行くと部屋の中が色とりどりの光で照らし出されるそうなのだ。
さあ、どんな幻想的な空間になってるのかな。
・・・はい、まったく光が差し込んでない!
あいにくこの日は曇り空、残念!
その場に居合わせた日本人のガイドによると、曇りの日のほうが珍しいそう。
あ~あ、ついてないなあ。
それでも諦めきれずしばらく粘っていると、一瞬だけ日が射した!
部屋の中が色鮮やかに照らし出される。
おおー、めっちゃきれい!
なんだか夢心地になる。
でもこれもほんの一瞬だった。
まさに夢を見ていたかのように消え去ってしまった。
ここは晴れた日の午前、早い時間に行くべし!
さて、オタクのイラン人モハンマッド。
ケンゾーとイクエが出て行く日の夜「バス停までいっしょに行くから!」と言っていたけど、朝になっても布団に入ったまま。
「モハンマッド、ありがとう。もう出発するから。」
寝ぼけながら体を起こすモハンマッド。
「出発? 荷物置いてまた午後ここに戻ってくるんだろう?」
「いや、違うよ。もう今朝のバスチケット取ってるからいかなきゃいけない。」
「あれ、そうだっけ?・・・う〜ん。」
「いいよ、自分たちで行けるからそのまま寝てて。
ありがとうね。バイバイ。」
玄関まで見送るのがやっとのモハンマッド。
そんなイージーでレイジーな彼の家がある意味居心地良く、これまでのホームステイでは最長の4泊したケンゾーとイクエだった。
【旅 info.】
シーラーズ観光
シャー・チェラーグ廟 入場無料。バッグは手荷物預かり所に預ける。
カメラの持込み不可。ただし携帯での撮影は可能。
女性は入口で無料でチャドルを借りられる。
マスジェデ・ナスィーロル 入場料30,000リアル。営業時間7:30~
・モルク 晴れた日の午前中行かないと照らし出しがない。
シーラーズ観光
シャー・チェラーグ廟 入場無料。バッグは手荷物預かり所に預ける。
カメラの持込み不可。ただし携帯での撮影は可能。
女性は入口で無料でチャドルを借りられる。
マスジェデ・ナスィーロル 入場料30,000リアル。営業時間7:30~
・モルク 晴れた日の午前中行かないと照らし出しがない。