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訪れた国は78カ国
旅した期間は1257日
2016年2月14日に帰国!
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ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
2012年09月 世界旅行に出発

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入国できない!フェリーで軟禁生活

2013.08.05 06:29|アゼルバイジャン☞EDIT
ケンゾーがお腹をくだして発熱、じゃあ次はわたしの番?と不安になりながらも元気なイクエです。

カザフスタンに向けてアゼルバイジャンのバクーを出港したフェリー。

想像していたよりも大都会だったアゼルバイジャンの首都バクーがだんだんと遠ざかっていく。
いつもその国をあとにするとき思う。

「この国に再び来ることはあるんだろうか。
 あるとしたら、いつ、どんなかたちでくるんだろう。
 もしこないとしたらこれが自分が見る、この国の最後の景色だな。」

a_DSC_0091_20130724041048.jpg

美しい湖の上の船旅。
ではなく、油が浮く湖の上の貨物船の旅。

まるでシャボン玉の表面みたいに、湖の色が七色。
石油が採れるカスピ海。
油が浮いてこんな色なの?

a_DSC_0089_20130723224830.jpg

これを見ると、カスピ海で獲れる魚、食べたくなくなっちゃう。

沖合にでると、湖に大きなイカダのようなものがいくつも見えてきた。
なんだろ、これ。
養殖施設でもないし・・・。

a_DSC_0096_20130724041049.jpg

乗組員が言うには油田の掘削施設らしい。
簡素だしオンボロ。
こんなもので、重要資源の石油を採ってるのかあ。

a_DSC_0098_20130723224832.jpg

カスピ海に大きな太陽が沈んでいく。
アゼルバイジャンを出国してるけど、カザフスタンにはまだ入国していない。
どこの国にも属さない立ち位置で、どこの国に沈んでるのかわからない夕陽をぼーっと眺める。

a_DSC_0109_20130723224833.jpg

夕食は、パン・魚の缶詰・キュウリ・スープ・チーズ・ピクルス、そしてウォッカ。

湖をすーっと進んでいく貨物船。
海に比べると揺れが少ない。
自分たち専用のバスルームで熱いシャワーを浴びて、今夜はベッドでゆっくり休もう。
目覚めたら、カザフスタンにだいぶ近づいてるかな。

おやすみなさーい


2日目

朝がたになってようやく涼しくなってきた。

いま、どのあたりだろう。

デッキに出てみた。
空は白みはじめていて湖上は霧に包まれていた。
iphoneをつかってGPSで今どのあたりなのか地図で確認しとこう。
きのう寝る前に確認したときは、航路の4分の1くらいのあたりだった。
もう半分くらいまで来てるかなって思いながら確かめるとー。

え!
うそ!!


ケンゾーを起こしに行く。

「ケンゾーってば。
 地図で見るともうアクタウの目の前にいるよ。
 もう着くよ!」

運が悪ければ3泊かかるといわれていたのに、まさか1日で着くなんて。
霧に包まれたカザフスタンのアクタウの街並みがぼんやりと見える。

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早く着いたのはうれしいけど、せっかく3日分の食料を買い込んできたんだけどな・・・。

「とりあえず朝ごはんだけでも船の中で食べとこうよ。
 ピクルスも瓶ごと持ち歩くの重いから食べてしまおう!」

慌ただしい朝食。
歯磨きもしてパッキングもしないといけない。

あと何分で着岸するのかな。
ケンゾーが操縦室にいって船長に聞く。

「ハウ ロング ウィル ウィー アライブ?
 10ミニッツ? 20ミニッツ?」

「ノー、ノー! ノー!!」

そして、船長から驚きの答えが。

「アフター トゥデイ・・・」

きょうは着岸しない!?
『今日の後』ってことは・・・

「トゥモロー?」

「ノー、ノー! ノー!!

 アフター 2デイズ!


船長がすこし離れた場所にとまっているタンカーを数えはじめた。

「ルック、1、2、3」


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どうやらこの船を含めて4隻のタンカーが港の係留スペースの順番待ち中。
港が空くのを2日は待たないといけないらしい。

乗組員たちが碇を海中に下ろし始めた。

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乗組員たちはデッキで魚釣りをしたり、囲碁のようなゲームをしたり。
で、イクエとケンゾーはと言えば・・・。

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ひたすらブログを書き溜める。
ふたりとも追い込まれないとやれないタイプ。
「ブログ書くのめんどくさい」「きょうは疲れたからいいや」って思う日が多くて3週間分くらいの日記がたまっている。
ホテルに閉じこもって執筆作業に集中する作家になった気分でもくもくと書いて書いて書きまくる。

さらに、破けた服やバッグを修繕。

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スリランカでイクエが買ったパンツも早くも穴だらけになっているので、ゴムがのびきって使えないほかのパンツを切って継ぎはぎ。
外れていたサンダルのストラップも縫い付ける。

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日本だとこんな細かい作業は絶対やらない。
時間と労力を考えると買ったほうが早い。
でも、旅行中は直せるものは直す。
無駄な出費をしない。

この裁縫、とっても時間がかかる。
なんせ、糸から作ることにしている。
いらなくなった服やタオルをほどいて、糸だけ抜き取る。
これはかなりいい時間つぶしになる!

a_DSC_0133_201308010348288aa.jpg

フェリーでの軟禁生活があと何日続くのかわからない。
計算しながら食料を食べていかないといけないんだけど、予定がたたないからどうしようもない。
とりあえず、お昼ご飯はカップラーメン。

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夕食は魚の缶詰1つとスープとパン。
スープは粉をお湯で溶かすだけ。
物足りないけど、スープをたくさん飲んでお腹を膨らませようっと。

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アクタウは目の前なのに・・・。
フェリーはまったく進まないまま、2日目が終わった。

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3日目

暗い個室で目を覚ます。
時計を見ると、11時。

夜の11時?午前11時?
フェリー生活では時間の感覚がなくなる。

「ケンゾー、いま何時だと思う?」

ケンゾーを起こす。

時計を見たケンゾーも眉間にシワを寄せる。

「11時?
 どっち?」

デッキに出ると明るかった。
爆睡。
久しぶりの遅起き。

ケンゾーが言った。
「遅く起きたから、これで朝食の一食分がうくね。
 もうちょっと我慢すれば昼食やもんね。」

ブランチはロールケーキ。

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目が覚めたら、そこは港。

ってことを期待してたんだけど、船はまったく動いていない。
しかも、順番待ちのフェリーの数も減ってないってどういうこと!

船長にいつになるか聞く。
「トゥデイ?」

「ノー!」

「トゥモロー?」

「・・・。
 メイビー」


なんで、港の順番待ちをこんな長い時間せんといけんとかねぇ。
飛行機みたいにそれぞれ時間をずらして着陸するみたいに、効率よくやれんとかねぇ?
大海原だったら、目的地に着くのに予定日より1日か2日ずれるってのはあるかもしれんけど、ここはカスピ海。
波もほとんどないし、走行距離もそれほどないし、港に着く時間くらい読めるやろ!
うまく連絡を取り合って調整して出港時間をずらせば、無駄に順番待ちなんてしなくていいのに。

ってふたりでいいあったところで、どうにもならない。

すでに出港から48時間経過。
フェリーの個室にバスルームがついているのがせめてもの救い。
バッグやカメラケース、帽子。
普段洗わないものもこの際洗っちゃえ。

ケンゾーは「バックパックも洗おうかな」って言うけど、それはリスクが高過ぎる。
急に「よし今から着岸するぞー」って言われたら、急いでパッキングしないといけないもん。

暇を持て余したケンゾーも、糸を作る作業に集中し始めた。

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3日目の夕食はサーモンの缶詰とパンとスープ。
もちろん缶詰はふたりでひとつ。
まさか33歳にもなって、こんな過酷な旅をやることになるなんて思ってもなかった。
まあ、自分で好んでやってるんだけど。

『33歳になったら自分が好きな仕事をしていて、お金持ちのだんなさんがいて、子どもをふたりくらい育てて、週末には家族で外食して・・・』

そんなことを思い描いていた若かりしころの自分に教えてあげたい。

『33歳のあなたは住所不定無職で重いバックパックを担いで貧乏旅をしていて、破けた男児用パンツを継ぎはぎして使っていて、カスピ海のフェリーで軟禁生活をして、稼ぎのないだんなさんと缶詰ひとつを分け合いながら食べてるよ』って。

変わらない景色のなか、きょうが何日目なのかわからなくなる。
そして、意外と1日はあっという間に過ぎていく。
入院生活みたいだな。

えーっと、いまは3日目の夜か・・・。
おやすみなさい。


4日目

期待をせずに迎えた朝。
案の定、フェリーは同じ場所に停泊したまま。
でも、3隻あった船が1隻減っている。
着実に、でもゆっくりと、わたしたちの番が近づいている。

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出港から72時間。
毎日体を動かさない生活。
どこも悪くないはずなのに、ほんとうに入院していた人みたいに体がなまっている。
船が港についた時、歩けるかな。
バックパックを担げるかな。

昔、豪華客船を取材したことがあって、そこにはウォーキングマシンなんかが置いてあるジムの部屋があった。
「わざわざ豪華船旅を楽しんでいるときに、ジムなんてもったいない。ばっかみたいだなあ」って思ってたんだけど、今ならわかる。
これは体動かさないとダメだ。

わたしたちが泊まっているのはあいにく豪華客船ではない。
だってここは貨物船。
でも、ここにはひろーいスペースがある!

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船の3分の2には荷物ごと貨物列車が積まれている。
その上のデッキを一周するとおよそ250メートル。
4周で1キロのウォーキング。
午前と夜、2キロずつ歩く。

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ケンゾーははしごを使ってエクササイズ。

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いつものように缶詰とパンとスープのディナー。
一番お腹にたまるのはパン。

このパンが無くなったら、アウト。
大事に少しずつ食べてきたから、パンはもう少し余っている。

だけどその肝心のパンがー。

「うっわああああーーーー!

 カ カー

 カビが生えてる!!


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せっかく少しずつ食べてきたのに。

幸いにもカビの魔物に取り憑かれていないパンが残っていた。
これが最後の食材。

明日の朝には着岸することを信じて、豆の缶詰といっしょにいただきます。

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5日目

夜明け前から乗組員たちが騒がしい。
もしかしてー

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「トゥデイ?」

「イエス!」

ううううおおおおお。
テンションが一気に上がる!!

久しぶりに聞くエンジン音。

いつも遠くに見えていたアクタウの港が徐々に迫ってくる。

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この4日間ほとんど何もせずに魚釣りやゲームをしていた乗組員たち。
初めて乗組員らしい姿を見せてくれた。

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着岸した港で、フェリーからの4回目の朝日を眺める。

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早く降りようとうずうずしていたイクエとケンゾー。
でも、なかなか降ろしてくれない。

朝早いから、入管の受け入れ態勢が整っていないようす。

船から脱出できたのはそれから4時間半後の午前11時過ぎ。

やっと
やっと
やっとーーーー。

久しぶりに担ぐバックパック。

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カスピ海のフェリーで軟禁されていた時間はー。

93時間。

アゼルバイジャンで出国のスタンプを押されて、カザフスタンで入国のスタンプを押されるまでにかかった時間はー。

95時間30分。

この世界一周で何度も国境越えをやってきたけど、こんな長い国境越えは初めて。
きっとこれからの旅でもこの記録は更新されないだろう。

忘れられない国境越え。

でも、有意義な5日間だったとは言えない。
4泊5日なら日本からアジアやハワイなんかへ海外旅行いけるし!
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Comment

No title

恐るべし・・・   カスピ海。。
フェリーに軟禁されるなんてぇ~~!!

旦那さんの実家のイランへ行ったとき カスピ海方面へ行きました。
世界で一番広い湖なんだよ~~  って、知らなかったです。
海なのか、湖なのか??
領域とか、排他的経済水域とか・・・
難しい問題がからんでいるようですね・・・。。

No title

す、凄すぎる~(>_<)
ブログ見てても伝わってくるよ♪
ケンゾー早く元気になってくれーー(^O^)

No title

糸から作る、、というところ、「え?」と読み直してしまいました。
繕いものをする、というのがでてくる度に「糸とか間に合ってるのかな。買い足すのって結構面倒かな」と思っていたのですが、
なんと、糸から作っていたのですね。
私も旅先で靴とか繕ったことがありますが、糸を作るという発想はなかった、、、。

そして、95時間を越える国境越え。
糸つくりといい、この国境越えといい、
やっぱり、面白い(国境越えは大変だったのに、すみません)
だから、このブログを見てしまうんだ、と思いました。

もし食料が足りなくなったら、船員さんに言えば助けてくれたのかしら、、どうかしら、、と
思ったりもしました。

これからも応援しています。

fumiさま

そうなんですよね、実際は湖なんですけど法律的には「海」らしいです。
カスピ海は資源の宝庫なので、どの国も領有したがってるみたいですね。

カスピ海はイランとも面してるんですよねえ。
アゼルバイジャンからカスピ海越しにイランに思いをはせていました。
わたしたちはいつイランにいけるのかなあ。
絶対いつの日か・・・。

こおに さま

糸は買おうと思えばどこでも買えるんですけど、日本では断捨離からほど遠い生活をしていたのに、今は極力少ない荷物で、そして持っている物を最大限に使う、ということを自然にやってるんですよね。
貧乏性がでてきています。
お金はないけど時間はたっぷりあるので。
日本にいるときは、時間優先、そして仕事をする分そのお金で利便性を買っていました。
いまとはまったく違う生活です。

フェリーの食糧難は、お金を払えばスタッフのおばちゃんに食事をつくってもらうことができたようです。
でもほかの人が食べてるのを見ても、スープとパンでわたしたちとほとんどかわりませんでした。

もう一泊しなきゃいけなかったらわたしたちも確実にお世話になっていましたね。

ただすけへ

いやー長かったよ船上生活。きれいな個室だったってことと、いつでもシャワーが浴びられたことに救われたけどね。足臭ホテルよりはましやったかな(笑)
体調はもう完全に戻ったよ。明日からまた過酷なパミール越えがはじまるけん気合い十分!ありがとね。
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