東チベット周遊2日目 こんなところで温泉
表向きは「現地人にとけ込むため」、ほんとうの理由ははめんどくさくて
ノーメークのイクエです。

東チベットの入口とも言えるダルツェンド(康定)。
標高2000m以上の山間部にあるけどけっこう都会だ。
お坊さんやチベットの民族衣装を着た人もたくさん見るけど
中国企業も進出していて、漢民族も多い。

食堂でご飯を食べていたときのこと。
客の男が店を出る際に
「シャオシャオ リーベン(「小日本」という日本を軽蔑する言葉)」と
言い残していった。
中国を旅行していて日本人だからと嫌なことをされたのは
九寨溝でのユースホステルの宿泊拒否と今回だけ。
考えてみれば、どちらもチベット人の街だったところだ。
イクエの想像だけれど、中国政府は民族の同化政策を進めていて
チベット人集落への漢民族の移住を推進したり
移住者や進出企業への優遇措置なんかもやってるのではないかなと思う。
だからここに済む漢民族は愛国心が強い人が多いのかもしれない。
街には「各族人民大団結万歳」とか「反対民族対立」と書かれたスローガンがある。
チベット人のアイデンティティを失わせ、最終的には
チベット人を漢民族と同化させるもくろみが見え隠れする。

そんな街を見下ろす岩山にはチベットの仏教画が描かれている。
足場が組まれ、新たな壁画もつくられている。
チベット文化は廃れてはいない。

路地やお寺の周辺にはマニ車(経典が入った筒で
1回まわすと1回お経を唱えたことになる)があり
チベット人が一心にまわしている。


歩いて街の高台にある「南無寺」へ。

中に入るとお経が響いていた。
お坊さんたちが中庭に座って、低い声でお経を唱えていた。
けっこう小さな男の子もいる。


お寺は正面に本堂があって回廊のようにぐるりと小部屋が並んでいる。
小さいときから親元を離れ、ここで寮生活のようなことをしながら
仏教について学んでいくんだろうな。



みんなでお経を唱えたあとは2人1組になって問答のようなことを始めた。
修行のひとつだろうけど、けっこう楽しげに和気あいあいとやっている。

えんじの袈裟に身を包んでいるけど
靴は好きなスポーツメーカーのスニーカーやあったかそうなシューズでおしゃれ。
12歳くらいの男の子は袈裟の色とコーディネートした
ふわふわのシューズを履いていた。
本当に「プーマ」かな。

お隣の金剛寺も立派で、回廊のようになっていたので
ここでもたくさんのお坊さんが暮らしているのだろう。
せっかくだからとお昼ご飯はチベット人がやっっている食堂でとることにした。
今までの中華料理はメニューの漢字を見て、だいたいどんな料理か予想できたけど
ここではさっぱりわからない。
あったかいスープ系がいいなあと「1椀6元」と書いてあるものを選んだら・・・

ヨーグルトだった。
これでお腹いっぱいにならんよー。体冷えるし。しかもかなり酸っぱい。
よ〜し。リベンジ。
今度は「1椀8元」を頼みなおしたら、おじちゃんが何かコネコネし始めた。

蒸すのかな。点心系かな。
でもおじちゃんはそれを蒸しもせず、焼きもせず「はい!」とテーブルに置いた。

甘みのない、固いこしあんみたいな、「そばがき」みたいな味。
ひとくち食べて、もう十分。
チベット文化には敬意を払いたいけれどやっぱり中華がおいしい。
結局2軒隣の中華屋さんに入って、麺を食べなおした。
腹ごしらえのあとは街の市場へ行ってみる。
市場を見ることは、海外旅行の楽しみのひとつ。

日本では見ないようなものが置いてある。
手前は豚の脚、奥は豚の舌。


鳩も食べるみたい。

精肉専門の市場は、熱気がすごい。
牛をその場で解体しているので、牛の頭が無造作にあちこち置かれている。
血溜まりもあって刺激が強すぎる。


モンゴルで見た、あの淡々とした静かな「カザフ族のヤギの解体」とは大違い。
ここは活気に満ちあふれている。
しっぽがついたままのでかい下半身や骨付きの脚の部分を
「安いから買え」と何度も売りつけられそうになる。
そんなのいくら安くてもいらんよ!

明日からは、標高が4000mくらいの寒いところを旅する。
しかも、あたたかいシャワーが出る宿は期待できない。
「そうだ 温泉に行こう!」
実はこのダルツェンドには
中国十大温泉のひとつとも言われる
二道橋という温泉があるらしい。
こんな場所に温泉があるなんて信じられないけど
繁華街からタクシーで20元で行けるので
タオルやシャンプーなどバスセット一式を持って向かった。
期待していた温泉街と違って、民家がぽつんぽつんと建っている川沿いで降ろされた。
え~、こんなとこ? ほんとう?
でも、もくもくとあがる湯気が見えた!
温泉だ!

と思ったら、駐車場でおっさんたちがたき火してるだけだった・・・。
失望しながらも「中国十大温泉」であることを信じて歩いていくと
立派な、でもかなり老朽化した建物があった。
温泉街というよりも、この一軒でやってるようだ。

まったく英語が伝わらないけど
受付の後ろの看板でなんとなくこの温泉のシステムがわかった。

全部、家族風呂みたいになっていて部屋ごとに漢字で名前が付けられていて
温度、値段が違う。
浴槽や浴室が広いほど値段が高くなるみたい。
迷わず一番安い10元の部屋を選ぶ。
イクエとケンゾーは「世」、ヒロくんは「界」。
一部屋10元ではなく、一人10元。
なのでイクエとケンゾーは一部屋に20元払わないといけなくて
ヒロくんは独りで貸し切りなのに10元で済む。
1時間くらい待合室で待って、ようやく順番がまわってきた。
ドアを開けたらいきなり温泉だった。

蛇口はないし、桶や椅子もないしここで体は洗えない。
ちょっとショックだけれど、乳白色で湯加減もちょうどいい。
ぼこぼこ下からお湯が沸いている。

ちょっとおしっこのような匂いがするけれど、硫黄の匂いと信じたい。
そしてなんかティッシュペーパーみたいなものがいろいろ浮いているけれど
硫黄でできる「湯の花」と信じよう。
黒いかたまりも浮いてるけど、これはなんなんだろうな。
向かいの部屋からは複数の男女が入り乱れ、盛り上がる声が響いている。
「こっちこいよ~」「や~ん」
「ちょっとだけならいいだろ」「も~う」
なんてことを言い合っているのだろうか。
制限時間の1時間がたち、着替えてお風呂からでると
あやしげな向かいの部屋の浴室のドアが開いていた。
ちょっとドキドキしながら禁断の部屋を覗くと・・・。
なんだ! みんな水着だ!
おじさんおばさんグループが水着で湯船に浸かって楽しそうにおしゃべりしている。
ここの温泉はそういう使い方をするところなんだねー。
隣の体育館みたいなところは温泉プールになっていて
ここでも地元の人が水着でプールに浸かってまったりしていた。

帰りにヒロくんが言った。
「温泉のお湯、どうでした?」
「う~ん。なんか浮いてはいたけどお湯の色が白いから
汚いのかどうなのかわかんなかった。」
「たぶん、あれは汚れですね。そして黒いのは人間の垢のかたまりです。
浴槽の下になんか沈んでると思って拾ってみたら
男物のパンツでした・・・。」
「温泉の色が乳白色でよかったね。」
「そうだね・・・。
あれが透明だったら、見たくないものが見えて
きっとお湯に浸かれなかったね・・・。」
体中から硫黄の匂いなのかなんなのかわからない刺激臭を漂わせ
すっきりしないまま宿に戻った3人でした。
ノーメークのイクエです。

東チベットの入口とも言えるダルツェンド(康定)。
標高2000m以上の山間部にあるけどけっこう都会だ。
お坊さんやチベットの民族衣装を着た人もたくさん見るけど
中国企業も進出していて、漢民族も多い。

食堂でご飯を食べていたときのこと。
客の男が店を出る際に
「シャオシャオ リーベン(「小日本」という日本を軽蔑する言葉)」と
言い残していった。
中国を旅行していて日本人だからと嫌なことをされたのは
九寨溝でのユースホステルの宿泊拒否と今回だけ。
考えてみれば、どちらもチベット人の街だったところだ。
イクエの想像だけれど、中国政府は民族の同化政策を進めていて
チベット人集落への漢民族の移住を推進したり
移住者や進出企業への優遇措置なんかもやってるのではないかなと思う。
だからここに済む漢民族は愛国心が強い人が多いのかもしれない。
街には「各族人民大団結万歳」とか「反対民族対立」と書かれたスローガンがある。
チベット人のアイデンティティを失わせ、最終的には
チベット人を漢民族と同化させるもくろみが見え隠れする。

そんな街を見下ろす岩山にはチベットの仏教画が描かれている。
足場が組まれ、新たな壁画もつくられている。
チベット文化は廃れてはいない。

路地やお寺の周辺にはマニ車(経典が入った筒で
1回まわすと1回お経を唱えたことになる)があり
チベット人が一心にまわしている。


歩いて街の高台にある「南無寺」へ。

中に入るとお経が響いていた。
お坊さんたちが中庭に座って、低い声でお経を唱えていた。
けっこう小さな男の子もいる。


お寺は正面に本堂があって回廊のようにぐるりと小部屋が並んでいる。
小さいときから親元を離れ、ここで寮生活のようなことをしながら
仏教について学んでいくんだろうな。



みんなでお経を唱えたあとは2人1組になって問答のようなことを始めた。
修行のひとつだろうけど、けっこう楽しげに和気あいあいとやっている。

えんじの袈裟に身を包んでいるけど
靴は好きなスポーツメーカーのスニーカーやあったかそうなシューズでおしゃれ。
12歳くらいの男の子は袈裟の色とコーディネートした
ふわふわのシューズを履いていた。
本当に「プーマ」かな。

お隣の金剛寺も立派で、回廊のようになっていたので
ここでもたくさんのお坊さんが暮らしているのだろう。
せっかくだからとお昼ご飯はチベット人がやっっている食堂でとることにした。
今までの中華料理はメニューの漢字を見て、だいたいどんな料理か予想できたけど
ここではさっぱりわからない。
あったかいスープ系がいいなあと「1椀6元」と書いてあるものを選んだら・・・

ヨーグルトだった。
これでお腹いっぱいにならんよー。体冷えるし。しかもかなり酸っぱい。
よ〜し。リベンジ。
今度は「1椀8元」を頼みなおしたら、おじちゃんが何かコネコネし始めた。

蒸すのかな。点心系かな。
でもおじちゃんはそれを蒸しもせず、焼きもせず「はい!」とテーブルに置いた。

甘みのない、固いこしあんみたいな、「そばがき」みたいな味。
ひとくち食べて、もう十分。
チベット文化には敬意を払いたいけれどやっぱり中華がおいしい。
結局2軒隣の中華屋さんに入って、麺を食べなおした。
腹ごしらえのあとは街の市場へ行ってみる。
市場を見ることは、海外旅行の楽しみのひとつ。

日本では見ないようなものが置いてある。
手前は豚の脚、奥は豚の舌。


鳩も食べるみたい。

精肉専門の市場は、熱気がすごい。
牛をその場で解体しているので、牛の頭が無造作にあちこち置かれている。
血溜まりもあって刺激が強すぎる。


モンゴルで見た、あの淡々とした静かな「カザフ族のヤギの解体」とは大違い。
ここは活気に満ちあふれている。
しっぽがついたままのでかい下半身や骨付きの脚の部分を
「安いから買え」と何度も売りつけられそうになる。
そんなのいくら安くてもいらんよ!

明日からは、標高が4000mくらいの寒いところを旅する。
しかも、あたたかいシャワーが出る宿は期待できない。
「そうだ 温泉に行こう!」
実はこのダルツェンドには
中国十大温泉のひとつとも言われる
二道橋という温泉があるらしい。
こんな場所に温泉があるなんて信じられないけど
繁華街からタクシーで20元で行けるので
タオルやシャンプーなどバスセット一式を持って向かった。
期待していた温泉街と違って、民家がぽつんぽつんと建っている川沿いで降ろされた。
え~、こんなとこ? ほんとう?
でも、もくもくとあがる湯気が見えた!
温泉だ!

と思ったら、駐車場でおっさんたちがたき火してるだけだった・・・。
失望しながらも「中国十大温泉」であることを信じて歩いていくと
立派な、でもかなり老朽化した建物があった。
温泉街というよりも、この一軒でやってるようだ。

まったく英語が伝わらないけど
受付の後ろの看板でなんとなくこの温泉のシステムがわかった。

全部、家族風呂みたいになっていて部屋ごとに漢字で名前が付けられていて
温度、値段が違う。
浴槽や浴室が広いほど値段が高くなるみたい。
迷わず一番安い10元の部屋を選ぶ。
イクエとケンゾーは「世」、ヒロくんは「界」。
一部屋10元ではなく、一人10元。
なのでイクエとケンゾーは一部屋に20元払わないといけなくて
ヒロくんは独りで貸し切りなのに10元で済む。
1時間くらい待合室で待って、ようやく順番がまわってきた。
ドアを開けたらいきなり温泉だった。

蛇口はないし、桶や椅子もないしここで体は洗えない。
ちょっとショックだけれど、乳白色で湯加減もちょうどいい。
ぼこぼこ下からお湯が沸いている。

ちょっとおしっこのような匂いがするけれど、硫黄の匂いと信じたい。
そしてなんかティッシュペーパーみたいなものがいろいろ浮いているけれど
硫黄でできる「湯の花」と信じよう。
黒いかたまりも浮いてるけど、これはなんなんだろうな。
向かいの部屋からは複数の男女が入り乱れ、盛り上がる声が響いている。
「こっちこいよ~」「や~ん」
「ちょっとだけならいいだろ」「も~う」
なんてことを言い合っているのだろうか。
制限時間の1時間がたち、着替えてお風呂からでると
あやしげな向かいの部屋の浴室のドアが開いていた。
ちょっとドキドキしながら禁断の部屋を覗くと・・・。
なんだ! みんな水着だ!
おじさんおばさんグループが水着で湯船に浸かって楽しそうにおしゃべりしている。
ここの温泉はそういう使い方をするところなんだねー。
隣の体育館みたいなところは温泉プールになっていて
ここでも地元の人が水着でプールに浸かってまったりしていた。

帰りにヒロくんが言った。
「温泉のお湯、どうでした?」
「う~ん。なんか浮いてはいたけどお湯の色が白いから
汚いのかどうなのかわかんなかった。」
「たぶん、あれは汚れですね。そして黒いのは人間の垢のかたまりです。
浴槽の下になんか沈んでると思って拾ってみたら
男物のパンツでした・・・。」
「温泉の色が乳白色でよかったね。」
「そうだね・・・。
あれが透明だったら、見たくないものが見えて
きっとお湯に浸かれなかったね・・・。」
体中から硫黄の匂いなのかなんなのかわからない刺激臭を漂わせ
すっきりしないまま宿に戻った3人でした。