「危ない中米を移動した」ってだけの話、やめませんか
ぎょうざをうまく包めないイクエです。
子どものころのうちの餃子はひだを作らずに閉じてたの。
八つ橋みたいに。
でも、ひだを作るのが一般的でしょ。
それでほかの人と餃子パーティーするときには、がんばってひだを作るんだけど不格好で笑われるんだよね。
ひと目でわたしが作ったってわかってしまう。
ケンゾーは、お袋の味でいちばん好きなのは餃子らしい。
義母に追いつこうとは思っていないけど、がんばらなきゃ。

太平洋に浮かぶ、ホンジュラスの「ティグレ島」。
観光客なんて行かないような小さな島。
何か期待してきたわけではない。
何もないのはわかっている。
ただ、ホンジュラスの人たちの飾らない笑顔や漁村の空気に触れられたら、そんな思いでやってきた。
島の中心地は「アマパラ」集落。
小さな商店や食堂がいくつかあり、人々が通りを歩く。
「中心地」と呼ぶには小規模だけど、それでも通りには子どもたちが多くて賑やか。
今のところこの島に、少子化の波は押し寄せていないのかも。

ぺちゃんこにした大きなペットボトルを手にした男の子。
ペットボトルは2本。
スロープの上に座ってスタンバイ。

ひとつはお尻の下に敷いて。
もうひとつは足の下に。
なるほどー。
そういう遊び方があったのか。
ソリのように上手にズズズズズー。

たとえ遊具やゲームがなくっても、どこでもなんでも遊ぶことができる。
子どもは遊びの天才。
このティグレ島には、およそ一万人が暮らしているのだそう。
島といっても本土から2キロほどしか離れていないので、渡し船で10分もかからず行き来できる。
漁師もいるだろうけど、日中は島の外に働きに行く人も多いと思う。
さらに、島には畑も多い。
山肌には、トウモロコシ畑が広がっている。
けっこう暮らしやすいのかもしれない。

島は以前から街として栄えていた。
16世紀にはすでにスペイン人によってこの島は発見されていた。
一時はホンジュラスの主要な港町として、首都になったこともあるのだそう。
アマパラには木造の古い伝統家屋が残っている。
島なので開発を免れ、ホンジュラスのほかの場所よりも保存状態はいいらしい。
いい意味で、時代から取り残されている。
19世紀のままの街並み。

絵本に出てきそうな、カラフルな家々も。
パステルカラーのこの色の組み合わせ、すごくかわいい♡

街の中心地にあるのは、みんなが集まる広場。
その脇には19世紀後半に建てられたカテドラル。
中米では、こんなふうに壁が黄色く塗られている教会をよく目にする。
クリーム色よりも鮮やかで、かといってどぎつくはない。
柔らかい印象。

この日は、何かの宗教行事が行われていた。
着飾った島の子どもたち。
このカテドラルに集合し、みんなで少し離れたほかの教会まで練り歩く。

女の子は白いドレス。
首には太いビーズのネックレス。
髪を編み込み、かごに入れたお花を抱えて、おすまし顔。

日本の七五三みたいに、本人よりも親やおじいちゃんおばあちゃんが楽しんでいる。
「かわいいねえ。」
「こっち向いて。」
大人の視線をいっぱい浴びて、ハイポーズ。

大人顔負けのメイク。
きょうはちょっと背伸びして。
いつもより口数も少なくおとなしい?
でも、緊張した面持ちにはあどけなさも。
いっぽう、男の子は?
むむむ、なんかヘンだぞ。

最初に見たときは、思わず吹き出してしまった。
ごめん、ごめん。
いたずらで、自分で髭を描いたと思ったから。
女の子が、バッチリメイクして気取っているんだから、そりゃあ男の子だって負けていられない。
島の男の子みんなこんな風に髭を描いて、島を歩いている。
かわいい♡
いや、いや。
かっこいいよ!

こんな島にWi-Fiなんてまったく期待していなかった。
わたしたちは、ブログをやってはいるけれど、あまりネット環境にこだわりをもっていない。
ネットが使えないところも躊躇せずに行くし、Wi-Fiがなくても安くていいホテルだったら泊まる。
もちろんいま泊まっているホテルでインターネットは使えない。
でも、カテドラルのある広場に島のフリーWi-Fiが飛んでいた!
行政がつけているんだと思う。
島の人たちも、広場のベンチに座ってスマホでインターネットをやっている。
わたしたちも広場でブログを更新。
こんな公共の場でラップトップを広げるなんて、アフリカ・中米含めてキューバ以外初めて。
わたしたちは防犯上、長距離バスの中やバスターミナルでもラップトップを広げるのを控えている。
キューバは社会主義の国で、とても治安がいいと言われている。
キューバでは、国営通信会社が公園にWi-Fiを設置しているので、みんなインターネットをするために公園に行き、ラップトップを広げていた。
だからわたしたちもそうしていた。
でもここはホンジュラス。
「世界一治安が悪い国」と言う人もいる。
マフィアが暗躍し、強盗や誘拐、殺人が絶えない国・・・。
だけど、この島はなんて平和でのどかなんだろう。
安心してラップトップを広げられる。
一眼レフを首からぶらさげてても、奪われる心配はない。
実際にカメラを持って歩いていたら現地の人に、こう話しかけられた。
「たくさん写真を撮りにきたの?
この島はね、カメラを盗られる心配なんてしなくていいからね。
絶対に盗られないから。
泥棒なんていない、とてもいいところなんだよ。」
夕方、西日に照らされて黄金色に輝く港沿いを歩いた。

わたしたちがボートに乗って到着したのは何もない海岸だったけど、こっちの港は桟橋があって整備されている。
ここからはエル・サルバドルも近い。
イミグレーションのオフィスもあって、こんな小さな島の港だけど、一応「国際港」ということになる。

このあとエル・サルバドルに行く予定だから、ここからボートで行けたらな。
そう思って船着場にいたおじさんたちに聞いてみたら「エル・サルバドルまではボードをチャーターしなきゃいけないし、距離も長いから船代が高いよ。普通にボートで対岸まで渡って、そこからバスに乗ってエルサルバドルに入国するほうが早いし安い。」ということだった。

このあたりにはいくつも島が浮かんでいる。
そのなかには、このティグレ島と同じような火山島もある。
太陽は、エル・サルバドルの方角に沈もうとしている。

きょうも、穏やかな一日が終わっていく。
漁を終えた人たちが、木製のボートに乗って沖から帰ってきている。
きょうは大漁だったかな。
食卓には、新鮮な魚が並ぶのかな。
家族が待つ家路へ急ごう。

中米を旅した人のブログで「治安が悪い」ということだけを強調した記事をよく目にする。
「そんな危ない中米に滞在した」「チキンバスだけを乗り継いで移動した」と武勇伝のように書いている。
「危ない」ばかり書かれると、読み手はその印象ばかり残ってしまう。
わたしたちも「中米は危ない」「とくに観光地もない」という印象ばかりをもっていた。
でも中米を旅した人たちに出会い、彼らから「中米よかったですよお。」「けっこう中米にはまりました。楽しかったです。」「人がいい!やさしい! とくに危ないと言われるニカラグア、ホンジュラス、エル・サルバドル。イメージと違ってほんっとうにフレンドリーでしたねえ。」なんて話を聞いて、意外だった。
と同時に、中米の旅への期待が膨らんだ。
でも、実際には何の被害にも遭っていないのに「この国は危ない」ばかりを強調する人がいる。
そして、そんな人たちは中米を移動するだけで終わっている。
観光もしていないし、地元の人とふれ合ってもいない。
それで「怖い」「危ない場所」ってばかり。
何のために行ったのかな、怖いもの見たさかな。
とても残念だし、それだけで終わるのはなんか中米の国がかわいそうだなとも思う。
もちろん、自分が事件やトラブルに巻き込まれた人はたくさん情報を載せてほしい。
「あそこで泥棒されました」とか「あの場所でこういう危ない目に遭いました」とか「ここではこういうことを気をつけて」とか、そんな情報は注意喚起になるし、次の被害者を生まないためにも必要だから。
だけどネットで見た情報や犯罪統計を持ち出して「中米はこんなに危ない。でもそんな危ない街を自分は歩いた。」「TICAバス(国際バス)に乗らずにチキンバスだけで移動した。怖かったー。」なんてことばかり書く真意がわからない。
だったら、行かなきゃいいじゃん、TICAバスに乗ればいいじゃんって思う。
アメリカ大陸を縦断している旅人でも「中米は不安だから飛ばします。メキシコから飛行機でコロンビアに抜けます」なんて人は多い。
ひとつの賢明な選択だと思う。
わたしたちは中米を旅行しているけれど、危ないと言われる街には大きな目的がない限り立ち寄っていない。
コスタ・リカも、ニカラグアも、ホンジュラスも首都を避けてきた。
危ないと思うのであれば、そこに行かなければいい。
代わりに安全な街を探して、そこでその国を楽しめばいい。
不安なら、危ないと思うのであれば、嫌なのなら、楽しめないと思うのであれば、そこに行かないという選択をすればいいだけのこと。
そして、旅をするという選択をしたのであれば、その国のすてきなところを探して楽しみながら旅をしていきたい。
中米は危ない場所ばかりではない。
怖い人たちばかりではない。
美しい自然もある。
美味しい食べ物もある。
生まれ育ったその場所で普通に暮らしている人たちがいる。

この島は、わたしたちの心を満たしてくれて、癒やしてくれて、温かくしてくれる。
そして、いま目の前にある風景はとても平和だ。
子どものころのうちの餃子はひだを作らずに閉じてたの。
八つ橋みたいに。
でも、ひだを作るのが一般的でしょ。
それでほかの人と餃子パーティーするときには、がんばってひだを作るんだけど不格好で笑われるんだよね。
ひと目でわたしが作ったってわかってしまう。
ケンゾーは、お袋の味でいちばん好きなのは餃子らしい。
義母に追いつこうとは思っていないけど、がんばらなきゃ。

太平洋に浮かぶ、ホンジュラスの「ティグレ島」。
観光客なんて行かないような小さな島。
何か期待してきたわけではない。
何もないのはわかっている。
ただ、ホンジュラスの人たちの飾らない笑顔や漁村の空気に触れられたら、そんな思いでやってきた。
島の中心地は「アマパラ」集落。
小さな商店や食堂がいくつかあり、人々が通りを歩く。
「中心地」と呼ぶには小規模だけど、それでも通りには子どもたちが多くて賑やか。
今のところこの島に、少子化の波は押し寄せていないのかも。

ぺちゃんこにした大きなペットボトルを手にした男の子。
ペットボトルは2本。
スロープの上に座ってスタンバイ。

ひとつはお尻の下に敷いて。
もうひとつは足の下に。
なるほどー。
そういう遊び方があったのか。
ソリのように上手にズズズズズー。

たとえ遊具やゲームがなくっても、どこでもなんでも遊ぶことができる。
子どもは遊びの天才。
このティグレ島には、およそ一万人が暮らしているのだそう。
島といっても本土から2キロほどしか離れていないので、渡し船で10分もかからず行き来できる。
漁師もいるだろうけど、日中は島の外に働きに行く人も多いと思う。
さらに、島には畑も多い。
山肌には、トウモロコシ畑が広がっている。
けっこう暮らしやすいのかもしれない。

島は以前から街として栄えていた。
16世紀にはすでにスペイン人によってこの島は発見されていた。
一時はホンジュラスの主要な港町として、首都になったこともあるのだそう。
アマパラには木造の古い伝統家屋が残っている。
島なので開発を免れ、ホンジュラスのほかの場所よりも保存状態はいいらしい。
いい意味で、時代から取り残されている。
19世紀のままの街並み。

絵本に出てきそうな、カラフルな家々も。
パステルカラーのこの色の組み合わせ、すごくかわいい♡

街の中心地にあるのは、みんなが集まる広場。
その脇には19世紀後半に建てられたカテドラル。
中米では、こんなふうに壁が黄色く塗られている教会をよく目にする。
クリーム色よりも鮮やかで、かといってどぎつくはない。
柔らかい印象。

この日は、何かの宗教行事が行われていた。
着飾った島の子どもたち。
このカテドラルに集合し、みんなで少し離れたほかの教会まで練り歩く。

女の子は白いドレス。
首には太いビーズのネックレス。
髪を編み込み、かごに入れたお花を抱えて、おすまし顔。

日本の七五三みたいに、本人よりも親やおじいちゃんおばあちゃんが楽しんでいる。
「かわいいねえ。」
「こっち向いて。」
大人の視線をいっぱい浴びて、ハイポーズ。

大人顔負けのメイク。
きょうはちょっと背伸びして。
いつもより口数も少なくおとなしい?
でも、緊張した面持ちにはあどけなさも。
いっぽう、男の子は?
むむむ、なんかヘンだぞ。

最初に見たときは、思わず吹き出してしまった。
ごめん、ごめん。
いたずらで、自分で髭を描いたと思ったから。
女の子が、バッチリメイクして気取っているんだから、そりゃあ男の子だって負けていられない。
島の男の子みんなこんな風に髭を描いて、島を歩いている。
かわいい♡
いや、いや。
かっこいいよ!

こんな島にWi-Fiなんてまったく期待していなかった。
わたしたちは、ブログをやってはいるけれど、あまりネット環境にこだわりをもっていない。
ネットが使えないところも躊躇せずに行くし、Wi-Fiがなくても安くていいホテルだったら泊まる。
もちろんいま泊まっているホテルでインターネットは使えない。
でも、カテドラルのある広場に島のフリーWi-Fiが飛んでいた!
行政がつけているんだと思う。
島の人たちも、広場のベンチに座ってスマホでインターネットをやっている。
わたしたちも広場でブログを更新。
こんな公共の場でラップトップを広げるなんて、アフリカ・中米含めてキューバ以外初めて。
わたしたちは防犯上、長距離バスの中やバスターミナルでもラップトップを広げるのを控えている。
キューバは社会主義の国で、とても治安がいいと言われている。
キューバでは、国営通信会社が公園にWi-Fiを設置しているので、みんなインターネットをするために公園に行き、ラップトップを広げていた。
だからわたしたちもそうしていた。
でもここはホンジュラス。
「世界一治安が悪い国」と言う人もいる。
マフィアが暗躍し、強盗や誘拐、殺人が絶えない国・・・。
だけど、この島はなんて平和でのどかなんだろう。
安心してラップトップを広げられる。
一眼レフを首からぶらさげてても、奪われる心配はない。
実際にカメラを持って歩いていたら現地の人に、こう話しかけられた。
「たくさん写真を撮りにきたの?
この島はね、カメラを盗られる心配なんてしなくていいからね。
絶対に盗られないから。
泥棒なんていない、とてもいいところなんだよ。」
夕方、西日に照らされて黄金色に輝く港沿いを歩いた。

わたしたちがボートに乗って到着したのは何もない海岸だったけど、こっちの港は桟橋があって整備されている。
ここからはエル・サルバドルも近い。
イミグレーションのオフィスもあって、こんな小さな島の港だけど、一応「国際港」ということになる。

このあとエル・サルバドルに行く予定だから、ここからボートで行けたらな。
そう思って船着場にいたおじさんたちに聞いてみたら「エル・サルバドルまではボードをチャーターしなきゃいけないし、距離も長いから船代が高いよ。普通にボートで対岸まで渡って、そこからバスに乗ってエルサルバドルに入国するほうが早いし安い。」ということだった。

このあたりにはいくつも島が浮かんでいる。
そのなかには、このティグレ島と同じような火山島もある。
太陽は、エル・サルバドルの方角に沈もうとしている。

きょうも、穏やかな一日が終わっていく。
漁を終えた人たちが、木製のボートに乗って沖から帰ってきている。
きょうは大漁だったかな。
食卓には、新鮮な魚が並ぶのかな。
家族が待つ家路へ急ごう。

中米を旅した人のブログで「治安が悪い」ということだけを強調した記事をよく目にする。
「そんな危ない中米に滞在した」「チキンバスだけを乗り継いで移動した」と武勇伝のように書いている。
「危ない」ばかり書かれると、読み手はその印象ばかり残ってしまう。
わたしたちも「中米は危ない」「とくに観光地もない」という印象ばかりをもっていた。
でも中米を旅した人たちに出会い、彼らから「中米よかったですよお。」「けっこう中米にはまりました。楽しかったです。」「人がいい!やさしい! とくに危ないと言われるニカラグア、ホンジュラス、エル・サルバドル。イメージと違ってほんっとうにフレンドリーでしたねえ。」なんて話を聞いて、意外だった。
と同時に、中米の旅への期待が膨らんだ。
でも、実際には何の被害にも遭っていないのに「この国は危ない」ばかりを強調する人がいる。
そして、そんな人たちは中米を移動するだけで終わっている。
観光もしていないし、地元の人とふれ合ってもいない。
それで「怖い」「危ない場所」ってばかり。
何のために行ったのかな、怖いもの見たさかな。
とても残念だし、それだけで終わるのはなんか中米の国がかわいそうだなとも思う。
もちろん、自分が事件やトラブルに巻き込まれた人はたくさん情報を載せてほしい。
「あそこで泥棒されました」とか「あの場所でこういう危ない目に遭いました」とか「ここではこういうことを気をつけて」とか、そんな情報は注意喚起になるし、次の被害者を生まないためにも必要だから。
だけどネットで見た情報や犯罪統計を持ち出して「中米はこんなに危ない。でもそんな危ない街を自分は歩いた。」「TICAバス(国際バス)に乗らずにチキンバスだけで移動した。怖かったー。」なんてことばかり書く真意がわからない。
だったら、行かなきゃいいじゃん、TICAバスに乗ればいいじゃんって思う。
アメリカ大陸を縦断している旅人でも「中米は不安だから飛ばします。メキシコから飛行機でコロンビアに抜けます」なんて人は多い。
ひとつの賢明な選択だと思う。
わたしたちは中米を旅行しているけれど、危ないと言われる街には大きな目的がない限り立ち寄っていない。
コスタ・リカも、ニカラグアも、ホンジュラスも首都を避けてきた。
危ないと思うのであれば、そこに行かなければいい。
代わりに安全な街を探して、そこでその国を楽しめばいい。
不安なら、危ないと思うのであれば、嫌なのなら、楽しめないと思うのであれば、そこに行かないという選択をすればいいだけのこと。
そして、旅をするという選択をしたのであれば、その国のすてきなところを探して楽しみながら旅をしていきたい。
中米は危ない場所ばかりではない。
怖い人たちばかりではない。
美しい自然もある。
美味しい食べ物もある。
生まれ育ったその場所で普通に暮らしている人たちがいる。

この島は、わたしたちの心を満たしてくれて、癒やしてくれて、温かくしてくれる。
そして、いま目の前にある風景はとても平和だ。