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2016年2月14日に帰国!
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ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
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ワラストレッキング5 出ました!「だいぼうけん2」

2015.08.21 06:33|ペルー☞EDIT
この前の記事で、わたしが雪の結晶を見てもあまり感動していなかったことを知った夫に「感受性が弱い!」と責められたイクエです。
雪のことはケンゾーに、ばらさないほうがよかったかな。

ワスカラン国立公園のポイントでいちばん人気のある「ラグーナ69」。
驚くほど青い、美しい湖らしい。
5時間~6時間ほどのトレッキングとあって、初心者でも挑戦しやすいコース。
ワラスの街でツアー会社に登山口までの送迎をお願いし、日帰りで行くのが一般的。

イクエとケンゾーも当初はワラスから日帰りで行くことにしていた。
でも、せっかくなのでラグーナ69の手前でキャンプをし、さらにピスコ山のベースキャンプに寄り道してラグーナ69を目指すことにした。

サーキット

同じキャンプ場に宿泊しているツアー団体のガイドに聞いたところ、ここからピスコ山のベースキャンプまでおよそ3時間、そこからラグーナまで3時間、ラグーナからここまで戻ってくるのに3時間、合計9時間ということだった。

ワラスへの最終コレクティーボが午後3時くらい。
それに間に合うように戻ってくるには、最低でも朝6時にはここをスタートしたい。

緊張していたのか、朝4時半に目覚めた。
真っ暗ななか体を震わせながら、凍るような川の水でご飯を炊いて味噌汁を作って、テントのなかで朝ごはん。
こんなときこそ、食事が大切。
あ〜、あったまる。

暗闇に、雪山だけが浮かび上がっている。
美しくもあり、そこだけ異様で怖くもある。

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ヘッドライトをつけて登山開始。
ここからでもじゅうぶん迫力があるピスコ山。
ベースキャンプから見ると、もっとかっこいいんだろうな。

ワクワクする。

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トレッキング5日目。
きょうこそ本当の最終日。

テントや寝袋はキャンプ場に置いてきているので、かなり身軽だ。
疲れはたまっているはずだけど、足取りはこれまでよりも軽い。

最終日のきょうは、フィナーレにふさわしい絶景に出会える予感。

キャンプ場のほうを振り返る。
まさに、素晴らしい一日の幕開け。

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山が燃えている。
神々しく燃えている。

そして、その赤はじわじわと広がっていく。

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きょうも、この世界に朝がやってきた。

♫ 素晴らしい 
  朝が来た
  希望の朝だ ♫

白く浮かび上がっていたピスコ山も、桃色に。

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ふたたび先ほどの山を見る。
真っ赤に染め上げられていた山はいつの間にか黄金色に。

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静けさが支配する世界。
絵画のような美しい世界。
聞こえるのはわたしたちの息づかいと足音だけ。

どこか別の世界に紛れ込んでしまったのかもしれない。
現実感がわかない。

遠くのほうからゴオオオ〜ッという音が響いてきた。
静寂を破るのは、ピスコ山のふもとからとめどなく流れ落ちる雪解け水。

この世界が現実のものであると実感させてくれる音。

この地球はたしかに生きている。
そしてわたしは地球を歩いている。

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道はずっと上り坂。
ラグーナでゆっくりしたいし、ベースキャンプでも雄大なピスコ山を見ながら一休みしたい。
そのためには、いいペースで歩いて時間に余裕をもたせないと。

自分を鼓舞し、息を乱さないように心がけて。
「いち、に、いち、に」。

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空はどんどん青みを帯びていく。
それでもまだ太陽は射してこない。

歩いているとはいえ、寒くて手足は冷えたまま。
はやく太陽が昇って、大地が温かくならないかなあ。

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「よし!
 太陽が照ってきた!」

ケンゾーがそう言って励ます。

序盤はよかったわたしの足取り。
でも、高度が上がるに連れて息が切れ、立ち止まることも多くなってきた。

今まで歩いてきた道を振り返る。
あの谷間から登ってきたと思うと、けっこうがんばってきた。

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着実にピスコ山には近づいている。
それでもまだまだ遠いような気もする。
いったいベースキャンプまであとどのくらいなんだろう。

時間によってはラグーナ69に行くのをあきらめてそのまま引き返さないといけない。
それはいやだ。
ラグーナは絶対見たい。
「ピスコもラグーナも」なんて欲張り過ぎたかなあ。

a_DSC_6241.jpg

つづら折りの山道を登りきり、丘の頂上に出た。
そこからしばらく歩くと、視界が開けた。

「あれ?
 向こうに山小屋が見える。
 ここだ、ベースキャンプは!」


青空に映える白銀のピスコ山。
着いたぞ〜!!

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間近に迫るピスコ山。
標高5752メートル。

「あんなところ、どうやって登れるんだろうねえ。」
人を寄せつけない、威容な姿。
人間があんなところに登れるというのが信じがたい。

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でも、ユウくんはこの1週間後にピスコ山に登頂したのだった。
登頂成功。
しかも単独!

すごすぎる。
だけど下山途中で滑落。
10メートルくらい落ちたそう。
手だけのケガで済んだのが不幸中の幸い。
(その後再会したときは、ユウくんは腕に短いギプスをはめていた。
 リマの病院で診てもらったそうだけど深刻ではないみたい。
 ほんとに、それで済んでよかった。)

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ベースキャンプにはいくつかのテントが。

最高のロケーション。
わたしたちも体力があれば、きのうがんばってここにテントを張ってもよかったかも。
でも、きっと夜はものすごく冷えるだろうな。
やっぱり素人のわたしたちには無理かな。
でも、ここに泊まるのすごくおすすめだよ。

テントはちょっと・・・っていう人。
山小屋もあるよ!
標高4675メートル。

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ピスコ山に登らなくても、ここまででもじゅうぶん美しい。
そして今からわたしたちが行く予定のラグーナ69に抜ければ、ワスカラン国立公園を2日か3日間くらいのトレッキングで満喫できる。
難しい道じゃないし、大荷物を抱えなくていいのでわたしたちのような初心者でもだいじょうぶ。
短期旅行者や中高年のトレッカーにもおすすめ。
ガイドやポーターを雇えばもっと楽だと思う。
テントじゃなく山小屋に泊まれば、体力温存もできるだろうし。

高山植物もきれいですよ。

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腰をおろし、ピスコを見つめながら休憩。
クッキーをほおばる。
ぜいたくな時間。

「雪山の白より、白いものはないと思う。」
ケンゾーに何度もそんなことを言った。

だってこれ以上ないっていうくらい眩しくて白いから。
ほんとうの「白色」って、この白だと思う。

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ピスコの勇姿を間近で見られるこの場所を去るのは名残惜しい。
でも、わたしたちにはラグーナが待っている。
新しい景色を求めて、歩き出そう。

しばらくすると湖が。
でも、これはラグーナ69ではない。
エメラルドグリーンに白いペンキを溶かしたような色。

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水に違和感を感じた。

「淀んどる?」
ケンゾーが言った。

美しい色なのに淀んでいるような、にごっているような。
波紋も立たないし、透明度がない。

「淀んどるんやない。
 凍っとるんや!」


湖面すべてが凍てついていた。

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ミシッという音とともに、湖の縁の部分にヒビが生える。
その音に触発されたかのように、別の場所でも。
連鎖的にヒビが入り、周りから少しずつ溶けていく。

もう少し太陽が昇ったら、氷の湖は水になる。
山に囲まれてひっそりと存在しているこの湖は、毎日これを繰り返しているのかもしれない。
数千年も、何万年も前から。

ここからは、がれ場を歩いていくことになる。
小さな岩、大きな岩。
不安定な岩、滑りやすい岩。

良さそうな岩を選んで、ポンポンと歩いていく。

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ルートはあるにはあるけれど、がれ場なので決まった道がある訳ではない。
でも好き勝手に歩いていけばルートを外れてまったく違う方向に行ってしまう。

これまでの登山者やガイドたちが残した積み石が、道しるべの代わり。

積み石がないか見回す。
「あっちだ!」

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積み石がなければ、きっと遭難している。
積み石に助けられたときは、感謝と次のトレッカーの安全を願い、自分も石を積むことにしている。

すべらないように慎重に足を下ろしたり、ときには思いきってジャンプしたり。

すると、ケンゾーが楽しそうに言った。

「だいぼうけん、しとるみたいや〜!」

でた〜っ!!
40歳寅年男の「だいぼうけん」。
パイネトレッキング以来の言葉。
(そのときの記事はこちら!

「いや、意味わからんけど・・・。」
「なんで?
 この道をだいぼうけんと言わずしてなんと言う?」

「だいぼうけんと言うより『風雲たけし城』の飛び石に乗って、池わたるヤツやろ。」

つれないわたしの返事にもかかわらず、ケンゾーは満足げに言う。

「まさしく、この道は『だいぼうけん2』の名にふさわし〜い!」

『だいぼうけん2』ってなに?

結婚して8年。
夫の「だいぼうけん」のポイントがいまだにわからない。

がれ場のあとに待っていたのは斜面の細い道。
小さくわたしが写っているのがわかる?
ちなみにこの道もケンゾーによると「だいぼうけん」らしい。

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「だいぼうけん」の名にふさわしいのは、むしろこのあとのルートだった。
どこを見ても白銀の山。
名峰がニョキニョキ。
雪山と同じ高さを歩いていく。

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こんな贅沢なルートがワスカラン国立公園にある。
しかもまったくメジャーではないルート。
今のところすれ違った人はいない。

登りばかりで苦しいけど、でもどこを見ても美しさで溜息が漏れる。
雲ひとつない青空。
もう、最高!!

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わたし、この時点でものすごく疲れている。
はぁはぁ言いながら歩いている。
足に力が入らなくて、何度もつまづきそうになっている。
心臓がドクドクいっている。
歩くのがきつくて1分ごとに歩みを止めている。

それなのに、身体中が幸せに満たされている。

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右から左に視線を移す。
180度、いや200度以上のパノラマ。
雪山がずっと連なっている。

「うわあーきれい!」
「かっこいい・・・。」
「すごいねえ。」

シンプルな言葉しか出てこない。
こんなにも雄大で神々しくて美しいのに。

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ただの岩山。
ただの氷河。
ただの青空。

カラフルなものがあるわけではない。
きらびやかな装飾があるわけでもない。
人類の英知が詰まった技術があるわけでもない。

そのままの岩山。
そのままの氷河。
そのままの青空。

そこにあるのはただそれだけ。
なんでこんなに心惹かれ、感動するんだろう。

自然の美に、人間は到底勝てない。

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山をぐるっと回り込むかたちで、尾根づたいに歩いていく。
南に向かって歩いていたり、東になったり、北になったり。
向きが変わっても、新たな雪山が迫ってくる。

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世界遺産になっているワスカラン国立公園。
6000メートル級の山が29座、5000メートル級の山が200座以上ひしめいている。
こんな素晴らしい場所なのに、そんなに知られていないのはどうして?
こんな場所が地球にある。

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どこを歩いても、山、山、山。
そのひとつひとつが壮大で、こころ奪われる。

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わたしは『絶景』という言葉を簡単には使わないようにしている。

最近ではテレビでも本でもブログでも『絶景』って言葉がたくさん使われている。
たしかに『絶景』って言葉は人の興味を引く。
でも「良い景色」というだけで『絶景』を使ってしまうと、『絶景』の言葉の重みがなくなってしまいそう。

わたしが『絶景』を使うのは、美しさに驚いて雄叫びをあげてしまう景色。
もしくは、感動して言葉を失う景色。
鳥肌が立ち、身体中がざわざわとなる景色。
幸せを全身で感じ、涙が出てしまう景色。
「この景色に巡り会えてよかったぁ!!」と心から思える景色。

このルートで見る景色はまさに『絶景』だ。 

ラグーナ69に行くのに、わざわざこのルートを通る必要はない。
同じ道を行って帰ればいい。
ラグーナだけを見たければわたしたちみたいに苦労しなくていい。
でも、このルートは「だいぼうけん」と「絶景」の嵐。
この道を歩けて、よかったあ。

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といっても、「まだあ?」「どこまで歩けばいいと?」という言葉を何度も口にしている。

ピスコ山のベースキャンプが標高4665メートル。
ラグーナ69が4580メートル。
ベースキャンプまで行ってしまえば、あとはラグーナまでほぼフラットな道か緩やかな下り坂だろうと思い込んでいた。

でも、登ったり下ったり登ったり。
むしろ登っていることのほうが多い気がする。
結局4900メートルを越えるところまで登ってきた。

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はるか下のほうを見ると、木々や湖がとても小さく見える。
ようやくラグーナ69への通常の登山道が眼下に見えてきた。
と思ったら、よく見るとわたしたちが泊まったキャンプ場だった。
川沿いに3000円のレジャーテントが健気にちょこんと立っている。

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「どこまで登ればいいと?
 そろそろ下りやない?」


あそこがこのルートの最高地点、そう思い込んでそこまでがんばって歩く。
ようやくそこにたどり着くと、さらに奥にもっと高い場所が見えてくる。

「えぇ〜?
 まだ登らなんやん!」


さっきからその繰り返しだった。

今度こそ。

数メートル先を歩くケンゾーが、坂道を上りきった。
こっちを振り返って満面の笑顔で頷く。

「すごいよ!
 いやあ、すごいよ!」


満足そうに何度も頷くケンゾー。

その顔から、ここがきょうのルートの最高地点であるだろうことがわかった。
その場所から何が見えるのか。

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息が苦しくて、足が重い。
駆け上ることなんてできない。

ゆっくり一歩ずつ。
胸を躍らせ、登っていく。
どんな景色が待ち受けているんだろう。

続きは明日「世界遺産編」でお伝えします。
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