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2016年2月14日に帰国!
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ケンゾー   イクエ


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安宿で事件、警察へ 「桜子」泊まればよかった

2015.08.14 10:14|ペルー☞EDIT
荷物をどうにか減らせないかと考えているイクエです。
帰国まであと半年。
もう寒いところには行かないから、ニット帽や手袋は必要なさそう。
でも捨てるのはもったいない気もするし、それなりに思い出も詰まっているし。
とりあえず分厚いふかふかのレギンスは捨てようと思います。
旅をはじめて2か国目のモンゴルの市場で買ったやつ。
いままでお世話になりました。
ありがとう。

ペルーの首都、リマ。
ここにはとても居心地がいいと大評判の日本人宿がある。
「お宿・桜子」。

日本人のナツキさんという、とても面倒見のいい気配り上手な優しい女性がやっている宿。
宿泊者は日本人ばかりだし部屋はきれいで清潔で沈没者続出の宿。
以前は「江田イン」という別の宿が日本人に人気だったけど、最近では「リマに行くなら当然桜子でしょ!」という風潮。

イクエとケンゾーも桜子、と言いたいところだけどそうじゃなかったんだよねえ。
桜子にしなかった理由はおもに4つ。

1、宿泊費が割高
(1泊や2泊ならいいけど、カメラを修理している期間中リマに滞在しないといけない。
 宿泊費がかさむ。)

2、観光に不便な場所にある
(宿泊者たちによると、これがいちばんの欠点らしい。
 観光地に出るまで大変。
 リマは交通渋滞がひどいので出かけるのに時間がかかる。
 居心地の良さも手伝い、宿から出ずに一日おしゃべりだけで終える旅人も多いらしい。
 それはちょっと嫌だな。)

3、日本人宿にそんなに興味がない
(いつもふたりで旅行しているので、孤独を感じないし日本人を求めない。
 日本人とのドミトリーよりも、むしろふたりだけの個室のほうがほっとできる。
 桜子だとドミトリーになってしまう。)

ということで宿の予約サイトbooking.comで見つけた宿に泊まることにした。
宿泊費は個室でふたりで32ソレス(約1280円)と桜子の半額以下。
さらには世界遺産の旧市街の近くで観光にも便利。
Wi-Fiやキッチンもついているっぽい。

ただひとつ気になること。
それは評価が低くて口コミが良くないってこと。
booking.comでは宿泊した人が、その宿を評価できるようになっている。
「汚い」とか「建物が古すぎる」とか「周辺の治安が悪い」とか「管理人が金にうるさい」とか悪いことばかり書かれていた。

かなり悩んだけれど、値段と立地の良さに惹かれてとりあえず1泊だけ予約して、延泊するかどうかはそのあと決めることにした。

booking.comの最安値の宿はどういうところなんだろうね。
宿はリマック地区にあるJiron Viru通りの「Estancia Asuncion エスタンシア アスンシオン」。

路線バスに乗ってどこで降りるべきか悩んでいたら、前に座っている女性が「どこで降りたいの?」と聞いてくれた。
「リマック地区のJiron Viru通りに行きたいんです」と答えると「何のためにそこに行くの?どうしてそこに行かなきゃいけないの?」。
「ホテルがあるんです」と言うと「そこはとても治安が悪い場所。本当に気をつけてね。バスを降りても歩いちゃダメ、タクシーに乗んなさいよ。」と注意されてしまった。

うー。
やっぱり治安が悪いんだね。
でも予約済みだし、とりあえずきょうだけは泊まろう。

宿の数百メートル手前でバスを降りた。
危ないといってもまだ日中だし、ふたりで気をつけながら歩けば大丈夫。
車も人通りも多い幹線道路で危険な感じはしない。
交差点には立派なスーパーもあって買い物客で賑わっている。
けれど、宿があるのは幹線道路から脇に入ったストリート。
宿までこのストリートをおよそ50メートルほど歩く。
歩いている人は少なく通りに面した建物はどこも閉まっていてまるでゴーストタウン。
早足で緊張しながら歩く。

a_DSC_5453.jpg

後ろを振り返りながら、怪しい人が後をつけていないか。
停車している車の陰や廃墟に人が隠れていないか。
まわりを注意して見ながら目的地にたどり着いた。

「たぶんここ。」
「え?どこ?」
「青いところ。」
「看板ないけど。」

青いドアに鉄のドア。
鍵は閉まっている。

a_DSC_5450.jpg

人の気配、なし。

「あー、もうこれ潰れとるやん!」
「いや、それはないよ。
 だって予約できたもん。」

「誰もおらんし、廃墟。」
「でも、予約したけん宿泊費はカードから引き落とされるよ。」

こんないかにも治安の悪い通りで、バックパックを背負ったままモタモタしたくない。
とりあえず泊まれるかどうかはあとにして、建物の中に入れてほしい。

「ブエナス・タルデース!!」
「オラ~!!」

叫ぶけど応答なし。
すると隣のドアからおじさんが出てきた。
建物を工事しているらしく、服にはペンキがいっぱい付いている。

おじさんは「ここには人がいない。電話をしろ。」というようなことを言っている。
たしかに入口には張り紙がしてあって、電話番号が記されていた。
でも、わたしたちは電話できる携帯電話をもっていない。

「ポルファボール!(お願いします)
 ポルファボール!」

というと、おじさんはしぶしぶどこかに電話をしてくれた。

すると運良く宿泊者なのか、入口から人が出てきた。
そしてわたしたちは中に入れてもらった。

壊れそうな歪んだ階段を、ミシミシとならしながら上っていく。
すると吹き抜けのスペースに出た。

a_DSC_5452.jpg

吹き抜けの上に屋根はない。
風雨にさらされるからか、柱や手すりは腐れかけている。

通りに面している場所には窓枠はあるものの、ガラスははまっていない。
なんて開放的。
正面の通りを見下ろす。
なんて治安が悪そうな場所。

a_IMG_4006.jpg

そして吹き抜けの下を見ると、さっきのペンキ塗りのおじさんが作業をしている場所が見える。
おじさんはこのホテル内にも入ってきてペンキを塗ったりしているから、この建物を改装しているようだった。

a_DSC_5455.jpg

こんなお化け屋敷を改装したところできれいになるわけではない。
建物全体が傾いているし、床も腐れかけている。
それでもこの建物をゲストハウスとして活用したいのか、強引にベニア板で仕切られた小部屋が並んでいた。
そういえばbooking.comの口コミの欄に「壁が薄すぎてうるさい」というのもあった。

3年近く旅を続けていて、数百の宿に泊まってきたけれどトップのボロさ。
インドの安宿も凌駕している。
こんなんで「宿」としてやっていこうという経営者の神経がスゴい。
しかもbooking.comに載せるなんて。

共用スペースと思われる場所で、宿のスタッフを待つことにした。

a_DSC_5456.jpg

ここも屋根がむき出しで雨が降ってくる。

こんな宿なのにWi-Fiがあるという奇跡。
booking.comのこの宿の情報にも「Wi-Fiあり」と書いてあった。
この宿を見て期待できないだろうなって思ってたけど、ちゃんと使える。

この宿に泊まれるんだろうか。
泊まらない場合は、キャンセル料は払わずにすむのだろうか。

不安になっていると、背の高いじいさんがやってきた。
65歳くらいかなあ。
どうやらこの宿のオーナーらしい。

そしてわたしたちは部屋に通された。

a_DSC_5457.jpg

ベッドが一つあるだけの部屋。
1室10ドル(32ソレス)。
この宿、不思議なことにコンセントが異様に多い。
この狭い部屋にも4つくらいある。
その点はいいところ。

管理人はじいさんで宿代を受け取るのもじいさんだけど、娘なのか親戚なのか30歳手前の女性が部屋の掃除をしたりbooking.comの処理をしたりしていた。
わたしたちは宿代をその場で請求されて払ったにもかかわらず、翌日booking.comから「あなたは無断で宿泊をキャンセルしました。キャンセル料として1泊分全額をカードから引き落とします」という内容のメールが。
つまりわたしたちは泊まったにもかかわらずキャンセル扱いされて2重払いするはめに。
booking.comに抗議してキャンセル料の引き落としを解除してもらったけれどあぶないところだった。

実際booking.comで予約したものの、廃墟同然のこの宿を自分の目で見て泊まらない旅人は多いと思う。
宿には宿泊予定者のリストが張り出されていたけれど、ほとんど姿をあらわさなかった。
キャンセル料の発生で、儲かってるんじゃないかな。

泊まっているのは、現地人のみ。
下宿として利用していた。

一度ヨーロッパ人のカップルが夜にこの宿にやってきた。
わたしたちの隣の部屋に案内された。
彼女の方がその部屋を見るなり悲鳴のような溜め息のようなものをもらした。
もう夜なのでほかの宿に移動することもできずに宿泊したけど、ずっと彼氏とこの宿について言い争っていた。
「安いので仕方ない」みたいなことを彼氏が言っている。
壁が薄いので2人の声はわたしたちの部屋に筒抜けだった。

わたしたちは1泊だけの予定だったけど「住めば都」。
屋根や窓がないけど、だから開放的で風通しもいい。

観光に便利な場所にあるし、50メートル歩いて幹線道路に出れば大型スーパーがある。
そこからたくさんのバスが出ていて、たいていの場所にはバス1本で行ける。
旧市街までは歩いていける距離。
「都会で移動が面倒」「何もない」と旅人に不評のリマだけど、この宿のおかげでわたしたちは「暮らすように」リマを楽しんだ。

それにWi-Fiもあるし洗濯物を干すスペースもある。
共同のシャワー室からは空が見えるけど、一応お湯が出る。
簡易キッチンもある。

a_DSC_5458_201508080038122d1.jpg

コンロはひとつだし、流し台がないので野菜を洗ったり米を研いだりするのはトイレ。
それでも湯沸かしポットや電子レンジ、それに炊飯器まである。
炊飯器があるってすごく便利。

a_DSC_5459_201508080038173cb.jpg

クスコで会った友だちのまりねえからプレゼントされた「すし太郎」の出番。
狭いベッドの上が食卓代わり。
ベッドに座ってふたりで「おいしい〜」と言いながら食べる。

a_DSC_5460.jpg

それ以外にも、日本のルーでハヤシライスを作ったり。
かなり充実した食生活を送っていた。

a_IMG_4012.jpg

宿のすぐ近くには川が流れていて、橋を越えれば世界遺産の旧市街。
教会の塔やビル、整備された道路。

しかしその逆側、宿の方は汚くて雑然としていていかにも治安が悪そう。
川を挟んで、見える風景がこんなにも違う。

a_IMG_4013.jpg

a_IMG_3997.jpg

a_IMG_4007.jpg

わたしたちは毎日橋を越えて、2つの世界を行き来していた。
スラムっぽい街を脱出し、旧市街を散歩したり、中華街に行ったり、市場に食材を買いに出かけたり。

市場のフードコートでは、安くおいしいランチが食べられる。

a_IMG_3955.jpg

魚屋さんが並ぶコーナーにフードコートがある。
前菜はセビッチェ(南米版カルパッチョ・魚のマリネ)。
なぜかペルーのセビッチェには、サツマイモよりも甘いオレンジ色のイモがついてくる場合が多い。
酸っぱいセビッチェと甘いイモを交互に食べるのは、なかなかおいしい。

a_IMG_3952.jpg

そしてメインは魚のフライや牛肉のステーキなどから選べる。
一度、こんな変わったものを食べた。

a_IMG_3953.jpg

これはタラコ。
タラコをそのままフライパンでジュ〜っと焼いたもの。
味付けは塩のみというシンプル料理。
たまにはこんな食べ方もいい。

セビッチェとメインでお値段7ソレス(約280円)。
リマでこの値段はお得。

booking.com.に掲載されているリマのホテルで最安値でありながら、宿泊者がほぼいないこの宿。
1泊だけのつもりだったのに、わたしたちはなんとここに11泊もしてしまった。

そして最終日。
夜行バスで次の目的地に移動することにして、荷物を預けて日中は観光へ。

じいさんが「共用スペースに荷物を置いてていいよ」と言うけれど、誰かに盗まれそうで不安。
「安全かな?」と聞くと、じいさんが寝泊まりしている自分の部屋に置いてくれた。
じいさんの部屋は鍵があってじいさんが管理している。
じいさん以外この部屋には入らないし、この部屋は共用スペースに面しているのでほかの人がこっそり入ることもできない。

わたしたちは安心して預けたのだけど・・・。

夕方6時過ぎにじいさんの部屋から荷物を受取った。
夜行バスは夜10時くらいの出発。
ここからバスターミナルまで路線バスで30分くらいで着くけれど、余裕をもって8時くらいに宿を出ようかな。

そう思っていたらじいさんが言った。
「早めに出たほうがいいんじゃないか。
 2時間前くらいに。
 ターミナルまで移動するのに時間がかかるから。」

「そんなにはかからないでしょう。」
「いや、交通渋滞があるから。」
「まあ、一応2時間前にはここを出る予定です。
 午後8時に。」

「いや、もう出た方がいい。」
「でも2時間余裕をもってるんですよ。
 じゅうぶんじゃないですか。」

「早めに出ないと!」

まだ10時までは3時間以上ある。
「2時間前」と言っておきながら「いますぐ出た方がいい」とつじつまのあわないことを言うじいさん。
しかも早口だしちょっと興奮ぎみ。
「じいさん、酔っぱらってるんじゃない?」とケンゾーに言った。

そしてわたしたちは荷物のパッキングをし直したり、軽めの夕食を取ったりした。
受取った荷物は部屋のドアの前に置いていた。

夜になって肌寒くなり、ケンゾーがバックパックから上着を取ろうとした。

「あれ?
 イクエ、バッグ触った?」

「ううん。」
「ユニクロダウンがない。」

そこで盗難が発覚した。
バックパックの外側のポケットには鍵をかけてなくて、そこからダウンジャケットやヘッドライト、各国のコインを入れておいた財布などなど・・・。

最後の最後でやられてしまった。
わたしたちがここに荷物を置いてキッチンやトイレに行ったり来たりしている間に、誰かにやられてしまった。
最初はそう思った。

じいさんに言うと、じいさんは驚いた感じで何を盗まれたのか、盗まれたものはいくらぐらいしたものなのかを聞いてきた。
じいさんの息はかなり乱れていて、自分の宿で盗難が発生したことにショックを受けてるんだろうなと、このときは思っていた。

ケンゾーはダウンジャケットを2枚も盗まれて、これから標高5000mオーバーの山々が連なるワラスにトレッキングに行こうとしているのに、防寒着がないなんて厳しい。
新しいのを買わないといけない。
それに、それなりに高価な物も盗まれているので警察に行って盗難証明書も作成してもらわないといけない。

じいさんに「警察に行かないと」と言うと、じいさんはわたしたちを止めた。
「ペルーの警察は何もしてくれない。盗難だって被害額が50万円以上くらいじゃないと盗難と見なされない。行っても無駄だ。あきらめるしかない。」

じいさんはそう言うけれど、わたしたちは旅行保険に入っているしせめて盗難証明書だけでももらわないといけない。

もう夜は遅いし、もう1泊して明日警察に行くことにした。
こんな宿にはもう泊まりたくないけれど、これからほかの宿に移動するのはかえって危ない。

じいさんは「あしたは日曜日。警察は休みだから開いてないよ。」とわたしたちの警察行きを止めるけれど、日曜日だから休業なんてさすがにないと思う。

この宿の宿泊客でツーリストはいない。
泊まっているのは下宿している現地人数人だけ。

わたしたちがじいさんの部屋から荷物を受取ったあとは、荷物は共用スペースに置いていた。
いちばん目立つ共用スペースで、いつ誰が来るかもわからない場所でバッグから荷物を盗るなんて犯人もリスキーなことをやっている。

わたしたちが荷物から目を離したのはわずかな時間。
その時間に誰がこの宿にいたのか、あやしい人は見なかったか、今いる下宿人たちに聞いてってじいさんにお願いするけれど「そんなことしても無駄だよ」とじいさんはしぶる。
お願いして、共用スペースにいちばん近い部屋に住んでいる男性にだけ聞いてもらった。
その男性とは、これまでよく廊下で会っていたし、まったく怪しい雰囲気はない人でわたしは男性を疑っていなかった。
ただ、もしかしたら怪しい人やわたしたちの荷物を物色している人を見てないかなあと期待していたけど、男性は見ていなかった。

どうすることもできずに、わたしたちは部屋に戻った。
するとじいさんがやってきた。
「今夜の宿代、32ソレス。」

こんなときにも宿代を請求するのかあ。
まあ、しょうがないけど。

そのあと、続々とほかの被害品も発覚した。
盗られたのはケンゾーのバックパックの物だけではなかった。
スーパーのビニールに入れていた、ポテトチップスの小袋やインスタントラーメン、日本のカレーのルー。
ラーメンやカレーのルーは中華食材店で買ったばかりのもので、高かったけどワラスでのトレッキングやガラパゴスで食べようと奮発して買ったもの。
ルーなんて800円くらいした。
バレにくいように、犯人は複数あるポテトチップスやラーメンを全部盗むのではなく、一つずつをピックアップしていた。
さらに別のバッグに入れていた、台湾製のお菓子(これもトレッキング用に奮発して買ったもの)。
生姜の砂糖漬け。
旅友からもらったレンジで温めるタイプの日本の釜飯のパック。
そして巾着袋のいちばん奥に入れていた体温計など。

犯人は鍵をかけていない部分をくまなく物色し、自分が好きなものだけを選んで盗んでいた。
体温計なんて、ぐちゃぐちゃに丸めた服やトイレットペーパーや裁縫道具といっしょに入れていて、よくこんなところから体温計を見つけたなって驚く。

どんなに手早くやっても物色して盗むのに30分以上はかかる。
ビニール袋に入れたものもあって物色中にガサガサ音が出るだろうし、荷物をまさぐって広げて、こんなことを共用スペースでやっていたらぜったいに他人にバレる。
犯人はラーメンやポテトチップスまで盗んでいる。
一度に両手で部屋まで運べない量。
わたしたちがすぐそこにいてウロウロしているほんのわずかな時間にできる犯行とはとても思えない。

次の日の朝。
わたしはベッドの上でそんなことを考えていた。
そして起きたケンゾーに言った。

「たぶん、盗まれたのはじいさんの部屋でだと思う。」
否定するかなあと思っていたけど、ケンゾーは驚きもせずに言った。
「やっぱり?」

ケンゾーが言うには、きのうじいさんの部屋から荷物を出してザックカバーを外したとき、そこに挟んでいたビニール袋が一枚無くなっていたのだそう。
そのときは「あれ?」と思ったくらいだったけど、今にして思えばあの部屋で誰かがザックカバーを開けたからじゃなかったのか。

こんな状態でもちろんわたしたちが疑うのは、じいさんなわけで・・・。
でも確証はないし、今さらじいさんを問いつめても何も戻ってこない。
とりあえずわたしたちにできることは警察に行くことだけ。

警察でこの宿の名前や連絡先を聞かれるだろうから、じいさんに宿の住所やじいさんの名前を聞いておこう。

そう思ってじいさんの部屋に行った。
いつもは6時くらいには起きているじいさんだけど、この日はなかなか起きてこない。
もう9時半なのに。
ドアの隙間から部屋をのぞくと、じいさんはベッドで体を丸くして眠っていた。
こんなに朝遅くまで寝ているなんてじいさんらしくない。
きのうはなかなか寝付けなかったのかもしれない。

じいさんの横には酸素ボンベがあった。
鼻の下に管をつけて、じいさんは寝ていた。
よぼよぼに見えた。

わたしはじいさんのそんな姿を見て、複雑な気持ちになって自分の部屋に戻った。

ようやくじいさんが起きてきた。
いつもは挨拶するのに、わたしと目を合わせようともせずそっけない雰囲気だった。

「警察に行くので、宿の名前と住所、そしてあなたの名前を教えてください。」

するとじいさんは冷たく言った。
「ノー。」

はああ!?

「どうしてわたしの名前を教えないといけないんだ。
 わたしは関係ない。」

「いや、だってあなたの宿だから。
 じゃあオーナーは? 管理人はどなたですか?」

「知らない。
 わたしの宿じゃない。
 わたしは関係ない。」


宿泊費も毎日じいさんが回収し、このホテルの改装もじいさんが作業員たちに指示を出している。
なのにいきなり「自分はここに泊まってるだけ。関係ない。」と言い出した。

腹が立った。

「盗まれたのは、この部屋でだと思います!」

じいさんは怒った。
「この部屋はわたししかいない。
 あんたらがきのう荷物を外に置いて、
 準備していたときに誰かが盗んだんだ。」

「いや、違うと思います。
 この部屋でです。
 この部屋で盗まれました。
犯人はあなたではないけれど。」


最後のわたしの言葉にじいさんは少し安心したようだった。

そしてわたしたちは歩いてツーリストポリスのオフィスに向かった。

『ペルーの警察は信用できない』
『何もしてくれない』
『逆に捜査費用と言って賄賂を請求してくる』

そんな噂を聞いていた。

賄賂を請求されても怒らない。
笑顔で「そんなぁ、とっても困ってるんです。そこをなんとかお願いします♡」と柔らかく切り抜けて、なんとか盗難証明書を書いてもらおうとケンゾーと作戦を立てた。

「ツーリストポリスといっても英語が通じなかった」なんてこともほかの人のブログには書いてあった。

だからスペイン語で必要な単語を調べて書き出していった。

結論から言います!

リマのツーリストポリスの対応は素晴らしかった!!
日曜日なのにしっかりとオフィスは開いていた。
3人の刑事が常駐していてみんな英語が堪能。
オフィスは狭いけれどパソコンやファイルが並んでいて、見た目もしっかりとしている。

a_IMG_4141.jpg

刑事は流暢な英語で、わたしたちに被害状況を聞いた。
宿の名前や住所を教えると、パソコンでGoogleの地図を検索しストリートビューを表示して「この写真に写っているこの宿で間違いないですか?」と確認した。

そして驚きの言葉を言った。
「今から、いっしょに宿まで行きましょう!
 宿で調べた後に、盗難証明書を作成します。」


ペルーの警察は被害者から適当に話を聞いて、面倒くさそうに証明書を書いて、無駄に被害者を待たせて、嫌みを言って終り、ということを想像していた。
だから予想外の展開。
なんて仕事熱心な警察!!

若い男性刑事は、わざわざ女性警官2人を呼んでパトカーをオフィスの前に横付けさせた。

「さあ、乗ってください。」

パトカーには警察官3人とわたしとケンゾー。
日曜日なのに仕事をさぼることもしない。

日本ではふつうの事だけど、南米ではとても珍しいと思う。
称賛に値するレベル。

a_IMG_4142.jpg

「なんか今からあの廃墟の宿を見られると思うと、恥ずかしいね。」
「あんなところに泊まるほうが悪いって思うよね。
 あれ見たら、びっくりするやろうなあ。」

刑事の反応が不安だったけど、刑事は冷静に宿に入り、そしてじいさんから事情を聞いた。
わたしたちは「じいさんの部屋で盗られたと思う」と言ったけど、じいさんは「部屋の外に置いていたときに盗られたんだ。ここにはいろんな人が出入りするから。」とそれを否定した。

刑事はじいさんを問いつめず、じいさんに紙に署名をするように言った。
署名するのをじいさんは嫌がったけど、刑事が冷静に諭し、じいさんは最後に署名をした。

a_DSC_5479.jpg

帰りのパトカーでケンゾーが刑事に聞いた。

「リマのどこがいちばん危ない場所なんですか?」
「リマでもっとも治安が悪い場所はね・・・。
 あなたたちが泊まっていた地区だよ。」


「ええええっ!!」
「リマは危なくないけどリマックは危ない。
 ハハハ。」


リマック地区とは、旧市街から川を渡った場所。
わたしたちが12日間も過ごしていた場所。

a_IMG_3995.jpg

「物を盗られた以外、ほかに危ない目には遭わなかったの?」
「いや、遭いませんでした。」
「そう、それはよかったねえ。
 あんなところに宿があるなんて初めて知ったよ。
 最初にあなたたちから、宿がリマックのJiron Viru通りって聞いてびっくりした。」


警察署に戻ると刑事はパソコンで盗難証明書を作成してくれた。
こんなに時間を割いてくれて、わたしたちのために丁寧な対応をしてくれてやっぱり最後に賄賂を請求されるかな、と心配もしていたけどそんなそぶりは一切なかった。

「ほんとうにありがとうございました!」
「とんでもない。
 当然のことをしただけです。」


盗難で嫌な思いをしたけれど、ペルーの警察官に救われた思いだった。

booking.comの口コミ欄に、この宿での盗難のこと、この宿が危険地帯にあることを書こうと思ったけど、それができなかった。
なぜならわたしたちはbooking.comに「キャンセル扱い」されていてこの宿に宿泊していないことになっているから。
宿泊者じゃないと口コミに書けないの。
くやしい〜!!

宿泊して最終日に盗難に遭うというのはよくあること。
最終日なので被害者はすぐに宿を出ていくし、その場で盗難に気づきにくい。
しかも犯人は気づかれにくいように、こまごまとしたものをちょっとずつ盗む。
わたしも学生のころマレーシアで、宿にバックパックを預けたとき外のポケットに入れていた携帯電話やお土産のタバコを抜き取られていてあとになって気づいた。

こんな治安の悪い安宿に泊まって自業自得の部分もあるわたしたちが言うのもなんだけど、どうかみなさま安宿での最終日にお気をつけください。

そして、リマでは日本人旅人大絶賛の「お宿・桜子」に宿泊されることを強くおすすめします。
立地が悪く宿泊費も少し高いけれど、それ以上の良さがこの宿にはあるようですよ。
わたしたちも桜子のオーナー、ナツキさんには荷物の受取りでお世話になりました。

今回盗まれてショックなのは、被害額が大きいものというよりもこっちでは手に入らない薄手のダウンジャケットやせっかく買った日本食。
どうしてあんなの盗んだの〜?
わたしたちにとっては本当に価値あるものなのに、あなたにとってはたいしたものじゃないんじゃないの?

犯人が誰かははっきりとはわからない。
でもどうしても、疑うよね。
そして悔しくなる。

そのたびにわたしは思い出すことにしている。
酸素パイプをつけて、背中を丸めて寝ていた老人の姿を。

そしたらちょっと、悔しさが切なさに変わるから。
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Comment

No title

わー切ないですね。ものすごく腹の立つことでもそういう姿を見せられるとなんか強く出れないですよね。すごくわかります。私たちもついこの間リマに滞在しましたけど、あの川の向こう側はなんか雰囲気悪いなあと思ってました。

外国だと、治安はお金で買いましょう (笑)。でも、ある意味軽い盗難で幸いでしたね。下手すれば、強盗殺人なんてこともありますし。

日本での平和ボケ過ぎる生活が、モンスターペアレンツなんか生み出すんでしょうね (笑)。

元気な姿で帰国してください。

No title

よくぞご無事で、、、

寝ている時とか、強盗に入られて、、、
ぞっとします。

警察の対応が良くて良かった。
爺さん、警察が来た時ビビったでしょうね。
室内に盗った物はもう置いてないんでしょうけど。

chiさま

カレーのルーの喪失感は数日ぬぐい去ることはできませんでした。笑
でも身の危険が無かっただけ幸運だったと思います。安全をケチったらダメですね。

長浜ラーメンさま

おっしゃるとおりです!
ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
今一度気を引き締めて笑顔で帰国します!

ビックリさま

最後の最後に油断してしまいました。
それにしても、まさかカレーを盗られるとは・・・。

嫌なことがありましたが、素晴らしい警察の対応に救われました。
ペルーを嫌いにならなくてよかったです。

南米の治安

初めまして。
メデジン在住のかおりと申します。
旅のブログをのぞくのが好きで、時々拝見していました。
今回の記事は南米在住者として少し心配な感じがしたので
差し出がましいかなと思いつつ、コメントさせていただきます。

コロンビアを始め、南米の多くの国は日本人の方が
イメージするほど治安が悪い、大変な国ではありません。
むしろそのゆったりとした時間の流れや人のおおらかさ、温かさに惹かれ、
長居してしまうバックパッカーも多いのではないでしょうか。

でも「危ない地域」はやはり危ないのです。

地元の人が行くな、というところには絶対に行かないことです。

今回の記事でもバスの中の女性が忠告してくれていますよね。
盗難のような軽い犯罪被害で済んだのは本当に運がよかったとしか
言いようがありません。


新しい町に到着したら、
まず真っ先に地元の人に地域の安全情報を確認して下さい。
ツーリストインフォメーションの人、警察の人、ホテルの人なら
必ず危険地域と安全地域の情報を持っています。


「危険地域に足を踏み入れない」
(どこの国でもセントロと呼ばれる地域は危険地域なことが多いです)
「情報収集をしっかりする」

これだけで未然に防げる被害がかなりあると思います。

今回は不幸中の幸いでしたが、
次回はどんな結果が待っているかわかりません。

どうか中南米で嫌な思い出を残さないよう、
(取り返しのつかない結果を招かぬよう)
お気をつけて旅を続けて下さい。



かおり さま

かおりさん、はじめまして。
親身になったアドバイス、ありがとうございます。

かおりさんのことはもちろん存じ上げております。
わたしたちの友人たちもかおりさんのお宅にお世話になっていたので。
ほかの方たちのブログを拝見し、かおりさんのご活躍をすばらしいなと思うと同時にお人柄もすてきなんだろうなとお察しします。

真っ先にツーリストインフォメーションセンターなどで危ない地域を聞く、ということはしていなかったのでこれからはアドバイス通りに確認しないといけないなと思いました。
ありがとうございます。

ほんとうにおっしゃるとおり、今回は不幸中の幸いでした。
ホテルの予約サイトに掲載されているから、旅人がこれまで利用しているから大丈夫だろうという思いがあり、甘かったです。
南米で生活し、さまざまな旅人を迎え入れらてきたかおりさんなら、なおさらわたしたちの軽はずみな行動が気になられたことだと思います。
旅人の知らない世界やその地域の良さや危険さを知っておられるかおりさんの言葉をしっかりと受け止め、気を引き締めて今後の旅を楽しみたいと思います。

アドバイス、ありがとうございました。
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