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訪れた国は78カ国
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2016年2月14日に帰国!
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ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
2012年09月 世界旅行に出発

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ワイナ・ポトシ登山3 他人と登る難しさ

2015.07.02 05:34|ボリビア☞EDIT
「酒が弱くなってきてる」と夫に言われたイクエです。
わたしは酔わないほうで、酒が原因で吐いたことは数えるほどしかないし、二日酔いの経験もほとんどない。
でも最近は気持ち悪くなるんだよね。
そろそろ「ウコンの力」に頼らないといけないかも・・・。

キリマンジャロよりも高い、6000メートルオーバーのワイナ・ポトシ登山に挑戦しているイクエとケンゾー。

わたしたちをサポートしてくれるガイドがロッキー。
遅ればせながらロッキーを紹介します!
20歳前後で結婚し、3人の子どもを持つ37歳のロッキー。
ガイド歴15年。

a_DSC_1054_20150702003926619.jpg

「ロッキーです」と紹介されたとき、すぐに思い浮かべたのは「ロッキー山脈」。
そしてそのあとにタフなハリウッド映画の主人公「ロッキー」が浮かんだ。
山岳ガイドにふさわしい名前。

わたしが「ロッキー山脈のロッキーだね!」って最初に言ったもんだから、トオルくんはここ南米のアンデス山脈とごっちゃになって、いつも間違えて「アンデス」と呼んでいた。

ロッキーは明るく振る舞って場を盛り上げるタイプではない。
まじめで口数は少ないけど、しっかりしていて頼りになるタイプ。
わたしは初日からロッキーに好印象を持った。
というか、登山者としてはガイドを信頼しないとダメだと思う。
ガイドはわたしたちのリーダーであるし、登るためにはチームワークが必要だから。
「このガイドはだめだ」「自分と合わない」なんて思ったら、その時点で登頂成功率はぐっと落ちるんじゃないかと思う。

登山中に食べるチョコレートやビスケットは自分たちで用意するんだけど、自分が食べるときはそれをロッキーにも必ずあげた。
ロッキーが自分から「チョコレートちょうだい。ちょっとでいいから。」と言うときもあった。
他人に厳しいわたしは普段なら「あんたガイドのくせに客に何言ってんの?」と思いそうだけど、今回は逆に「ロッキーのためにもっとたくさんお菓子持ってきてればよかったなあ」と思った。

自分が登頂したいから、疲れをとったりエネルギー補給のためにお菓子を食べる。
それと同じように、自分を導いてくれるガイドにも疲れをとってほしいしエネルギーを蓄えてほしい。
ガイドにはベストコンディションでいてほしい。
だからお菓子をおすそ分けするのは当然だと思う。

ボリビアのガイドは自分のお菓子を準備するような余裕はない。
だからこれから登る人は、ガイドの分のお菓子も持っていったほうがいいですよ。
高いものでも重いものでもないし。

ワイナ・ポトシ登山では、たくさんのガイドたちと出会う。
というのも、登山を扱う旅行会社はたくさんあるけど、登山中に泊まる山小屋は2軒くらいしかないから、みんないっしょになる。
山小屋で15人くらいのガイドたちと出会った。
全員英語はできない。
わたしたちがツアー会社をまわったときも「ガイドは簡単な英語しかわからない」とどの会社でも言われた。
でも「簡単な英語しかわからない」というより「英語がほぼわからない」というほうが正確。
ロッキーとは「ワン、ツー、スリー」とか「ゴー」とか「グッモーニング」とか簡単な会話すらしていないので実際どの程度の単語を知ってるかわからないけど、簡単な単語も知らないんだと思う。
最初は言葉が通じないのは不安だったけど、山を登るときに難しい会話をするわけじゃないし実際は問題ないと思う。
(2倍くらいの料金の旅行会社に頼めば英語ガイドがつけられる)

英語はできないけど、みんな楽しくていい人たちばかり。

これまでの日本人の印象が良かったからか、ほかのガイドも日本人をかわいがってくれる。
わたしたち4人に「あなたはTOYOTAで、彼はHONDA、そして彼女がSUZUKIで・・・」なんてニックネームをつけたがる。
自分のアソコを指差し「これはKOMATSU」と変なジョークを言ったりもする。

とにかく、ここの山男たちは気さくで気持ちがいい人たち。
みんなそれほど若くはなく、30代後半くらいが多くてなかには50歳の人もいる。

小柄で痩せているのに、体力がある。
ロッキーは週に3日はこのワイナ・ポトシに登ってるらしい。

「何歳までガイドの仕事できるの?」って聞いたら「自分は45歳くらいでやめたいけど、60歳超えてる人もいるよ」と言う答え。
ワイナ・ポトシのガイドは50歳くらいまでで、50歳を超えると登山じゃなくて難易度の低いトレッキングスポットのガイドにシフトするらしい。

ガイドたちは信じられないくらい体力があるし標高に強い。

高地の多いボリビア。
ワイナ・ポトシよりも高い、標高6500メートルのサハマ山の山頂で、地元のサッカークラブと山岳ガイドたちがサッカーをやったという逸話がある。
世界最高所で行なうサッカーの試合のために、ゴールポスト用の棒も担いで登山したらしい。

以前FIFAは、低酸素で選手の健康に良くないし公平さを欠くとして高地での国際試合の禁止を決めた。
それに対しボリビアは「山の上でだってサッカーができる!」と体を張って抗議。

別の年には、ボリビアの大統領もサハマ山頂でプレーして猛抗議した。

嘘のような本当の話。

頼もしいガイドたち。
ツアー会社で申し込むときに、ワイナ・ポトシ登山では「2人につき1人のガイドがつく」って説明を受けるんだけど、これは最終日の山頂アタックのときの話。
ロープでつながって3人一組になって登るから。

それまではロープを使わないからグループにガイドが1人いれば事足りる。
わたしたちは4人グループだけど、まだロッキーしかいない。
ロッキー以外にマリオというガイドがいて、彼はわたしたちの前日にスタートしたグループと登頂し、彼らをふもとのベースキャンプまで送り届けた後、夜にこのハイキャンプにやってきてわたしたちと合流し、ふたたび登頂する予定らしい。
2日連続の登頂というハードスケジュール。

でも、実はロッキーもけさ登頂したばかり。
どういうことかというと、きのうわたしたちにアイスクライミングのやり方を教えてベースキャンプで夕食を食べさせたあと、夜ひとりでハイキャンプへ。
この時間、わたしたちは眠っていた。
ハイキャンプで待機していた客と合流し、夜から朝にかけて山頂まで行ったあとは下山してわたしたちに食事を出したりとわたしたちのお世話。
そしてまもなくわたしたちと登頂する。

ツアー会社が人件費を削り効率よくガイドをまわしてるってことなんだけど、ガイドにとってはかなりハード。
客が山小屋で休憩したり眠ったりしてる間に、ほかの客と登頂してるんだから。

彼らの体はどうなってるんだろうと思う。

そんなガイドのロッキーから夜中に叩き起こされた。
出発まであと数時間あるし、お互いもっと体を安めたほうがいいのに何事?

「お前たちの友だちが倒れた。
 今から下山しないといけない。」

ロッキーは深刻そうな顔をしていた。
フミちゃんが倒れた。
高山病?
意識はあるのかな。
どういう状態なんだろう。

胸がドキドキする。
ケンゾーとすぐに2段ベッドから降りて、隣の部屋に行った。

そこにはフミちゃんがいた。
ちゃんと目を開いていて、なんか話していた。
隣にトオルくんもいた。

「あ~、なんだ、よかった~。
 フミちゃん起きてるやん。」

体を横たえたままだったけど、フミちゃんはちゃんと意識をもって会話していた。

わたしが想像していた状態よりもフミちゃんはかなりマシだった。
だから、フミちゃんが普通にそこにいて起きてたのにびっくりするとともにはほっとした。

「ふたりとも起こされたの?
 もう、起こさなくていいのに。」

とフミちゃんが言った。

そこまで深刻そうではないフミちゃんをよそに、まわりは深刻そうだった。
その部屋の他の客たちまで起きて、フミちゃんのまわりに集まっている。

フミちゃんが言うには、みんなが仮眠してからお腹の調子が悪くなると同時に、吐き気をもよおし何度か外のトイレに行って戻していたのだそう。
そしてフミちゃんとしてはトイレに近いほうがいいから「山小屋の扉に近いところに寝かせて」と横になったんだけど、まわりからするとその場に倒れ込んだようにうつったみたい。

でもガイドのロッキーとほかの客たちはとても深刻にとらえている。
ロッキーは「今から下山しよう」と言い、フミちゃんは「いやだ、だいじょうぶ」と言う。

2人が言い合っている間に、わたしは外のトイレに行った。
するとほかの男性客が懐中電灯を照らしながらわたしのほうに向かってきた。
そして女性トイレの便器を見たり、トイレのまわりを確認したりしている。

「彼女、どこで吐いたか知ってる?」
「いや、知らない。
 どうして?」

「彼女の嘔吐物を確認したいんだ。
 彼女、吐血してるかもしれない。」

「え!?
 血?」


実際は吐血まではしていなかったようだけど、まわりにはそれほど深刻にうつったみたい。
わたしは実際にフミちゃんが倒れたところを見ていないのでなんとも言えないけど、かなり辛そうだったのは事実だと思う。

フミちゃんは意志が強くてがんばり屋さんタイプ。
ここであきらめて下山するということがなかなか受け入れられないし、何より自分がギブアップするということは相棒のトオルくんもアタックを断念しないといけないことを意味する。
カップルだったり、家族だったり、長年の付き合いの友人ならお互い納得できるけど、フミちゃんとトオルくんは数日前に出会ったばかり。
もし自分もフミちゃんと同じ立場なら「相手に申し訳ない」って思ってしまう。

フミちゃんは主張する。
「なんでいますぐ下山しなきゃいけないの?
 暗くて危ないじゃん。
 登山開始時間まで猶予をちょうだい。
 あと3時間あるから。
 それでも体調が良くならなければ、わたしはこの山小屋で留守番する。
 その間にトオルくんが登れるでしょ。」


フミちゃんの言いたいことはよくわかる。
わたしも付け加えた。
「もしフミちゃんに付き添うガイドがひとり必要なら、わたしとケンゾーとトオルくんと3人ペアで登るのはどうだろう。
ほんとうは2人1組だけど、3人組でガイド1人だったって言ってた人もいたよ。」

トオルくんがわたしたちと登れるんであれば、フミちゃんの気持ちも少しは楽になるかもしれない。

いっぽう、ガイドのロッキーとしてはこの状態で無理をさせることはできず、一刻も早く下山させたい。
高山病のいちばんの解決策は標高の低い場所に移動することだから。

フミちゃんの意思は強かったけど、わたしもケンゾーもトオルくんも「最終的にはガイドの指示を尊重しなきゃな」と思っていた。
ロッキーは15年のベテランガイド。
山の怖さや高山病の症状を誰よりも知ってるから。

ロッキーとフミちゃんはお互い譲らず「すぐ下山しよう」「いやだ」とやりあっている。

そしてロッキーがわたしたちに言った。
「4人いっしょに今すぐ下山しよう!」
「4人!?」

4人に対してガイドは2人ついている。
もうひとりのガイド、マリオはまもなくここに到着する。
なのになぜ全員で下山するのか。

フミちゃんトオルくんとガイド、イクエとケンゾーとガイドの2組に分かれて登る予定になっていた。

みんなで下山するということに4人とも「なんで?」という思いだった。
でも、たしかにロッキーはわたしたちを起こしにきたとき「いますぐみんなで下山するぞ」みたいなことを言っていた。
最初からロッキーはそのつもりだったのかもしれない。

わたしたちとロッキーのやり取りには、間に英語もスペイン語もできるほかの客が入ってくれて通訳してくれた。

「ねえ、どうしてロッキーは4人で下山しようって言ってるの?」
「君がスペイン語が話せるから、君がそばにいてくれたほうが通訳できるからいいんだって。」

「君」というのはイクエのことだった。

へ?なんで?
わたし、スペイン語できんけど。

これにはわたしもケンゾーもトオルくんも笑いながらロッキーにつっこんだ。
そして、通訳をしてくれていた客も「そうだよね」って笑っていた。
スペイン語できないから、通訳してもらってるわけだし。

さらに、フミちゃんはスペインでスペイン語留学していた経験があるので、フミちゃんはさっきからスペイン語でロッキーとやりあっている。

「この中でスペイン語が唯一できるのは彼女なんだけどね。」
わたしの言葉に、通訳をしていたほかの客たちも笑って頷いた。

たしかにスペイン語ができないながらもわたしはロッキーとコミニュケーションをとっていたし、ロッキーの表情や雰囲気で彼の言ってることはだいたい理解できていたから、彼は現実以上にわたしがスペイン語ができると勘違いしたのかもしれない。

でも、あとで考えるとそういうことよりもロッキーはわたしたちをフミちゃんのそばに置いておきたかったんじゃないかと思う。

フミちゃんが途中で重症になった場合に、彼女の身の回りのお世話、病院のお金の立て替え、家族や保険会社との連絡、どうするかの判断・・・など。
それはロッキーにはできない。

それほどフミちゃんの症状が重いと判断していたのだと思う。
だって倒れ込んだときの様子を見ていたガイドや他の客たち全員も、フミちゃんに「いますぐ下山するべき」と言ってるのだから。

なぜ4人で下山する必要があるのか、ロッキーはうまく説明できず、結局その計画はなくなった。

フミちゃんが今すぐ下山するか、それとも結論を先延ばしにするか。
高山病だと言われているフミちゃんは「これは高山病じゃない、風邪。」だと主張している。
フミちゃんはこのときすでに「ダイアモックス」という高山病の薬をちゃんと飲んでいた。
(実はこのあと、わたしの高山病に劇的に効いた「ソローチピル」をフミちゃんも飲んだけど、症状は改善されなかった。)

わたしとケンゾーとトオルくんは「ロッキーの指示に従ったほうがいい」と心で思っていたけど、フミちゃんの気持ちもよくわかるから、あまり何も言わずに2人の言い合いを見守っていた。

みんなが仮眠をとっている間に、ほかの客も巻き込んでこのやり取りを1時間ぐらいやっていた。

寝ていた他のガイドが、しびれを切らして言った。
「ロッキー、もう遅い。
 とりあえず登山開始まであと3時間。
 様子を見てから判断しよう。
 もう寝よう。」

結論はもちこしになり、全員が床についた。

午前0時。
誰かのアラームが鳴った。
隣の部屋からはガイドたちの声と支度する音が聞こえはじめた。

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緊張を胸に、わたしもベッドから体を起こした。
全然寝られなかった。
昨夜のベースキャンプでもほとんど寝られなかったから睡眠不足。

でもそれは最初から予想していたこと。
気にしないようにした。

寝られないなりに横たわったまま自分の足をマッサージしたりストレッチしたり、酸素を取り入れるために深呼吸をしたりしてベッドでリラックスしたから大丈夫。
睡眠不足を意識すれば、それは登頂をあきらめるときの言い訳になってしまう。

「体の調子は悪くない。
 これならいける。」


自分に言い聞かせる。

トオルくんがやってきた。
「トオルくん、おはよう。」

トオルくんは声を小さくして言った。
「あのさあ、フミちゃんが山に登るって言ってるんだよ。」
「え!?そうなの?
 フミちゃんの体調は?」

「あいかわらず。」

「いやー、登山は、厳しいと思うけど。」
「うん、やめたほうがいい。
 僕はね、フミちゃんがダメならいっしょに下山してもいいって思ってる。
 しょうがないことだし、あきらめる。
 でも、僕が言ってもフミちゃん聞かないから。
 僕のことは気にしなくていいのに。」


出会ったばかりの2人。
お互いへの気配り、自分よりも相手を思いやる気持ち。
本音にふたをする気持ち。
ペアで山に登るのって大変だ。
これが外国人だと自分の本音をズバッと言ってもっと簡単なのかもしれない。
慎み深い日本人だからなおさら難しい。

わたしとしては、フミちゃんがここにとどまって朝まで体を休めてトオルくんが山から降りてきたあとにいっしょに下るか、フミちゃんはガイドと今から下山してトオルくんがわたしたちといっしょに登るのがいいんじゃないかと思っていた。
そうすればお互い気にすることはない。
ただ、いっしょに山を登るのは人数が増えるほど登頂失敗の確率は高まる。
誰か1人がギブアップした時点で、ガイドは1人だからみんなで下山、ということになる。
体力のないわたしが足をひっぱる可能性は高い。
わたしとケンゾーの間柄だと、どっちがリタイアしても納得して下山することができる。
でも数日前に出会ったトオルくんだと、正直言って自分がギブアップするのは気が引ける。
それに、もし逆が起きても・・・。
万が一、トオルくんがギブアップしたら正直に本音を言えば「あ〜あ、下山するのかあ」ってちょっと悔しい気持ちになって、後々「あのときいっしょに登った人が・・・」なんてくよくよ考えそうな気もする。

でもいまの現状からだと、フミちゃんに付き添いのガイド1人が必要ならば、3人でいっしょに登るのがベストな方法だと思う。

「ロッキーがフミちゃんの登山を許さないでしょ。
何て言ってるの?」

「それが、フミちゃんが登りたいって言うから・・・。
もう一人のガイド、マリオももうすぐここに到着するから、マリオが来てから決めようって。
それで、ふたりにお願いがあるんだけど。
フミちゃんにもガイドにも、フミちゃんが下山したほうがいいって勧めてほしい。
僕のことは気にしなくていいから。
僕は下山することになっても、それはそれでいい。」

「わかった。」

3人で小声で話し合っていると、ロッキーよりも小柄で年配のガイドがやってきた。
それがマリオだった。

マリオがわたしたちを見つけると、笑顔で握手を求めてきた。
そして部屋に響き渡る大きな明るい声で言った。

「こんにちは!
 俺、スーパーマリオ!!」

マリオ鉄板のギャグ。
しかし、この状態でのわたしたちの前では完全にすべったギャグだった。

しかし、さすがスーパーマリオ。
場の雰囲気を読むでもなく、動じずに今度はフミちゃんのところに行った。

ふたたびー。
「やあ!
 俺、スーパーマリオ!!」


その声は哀しく部屋に響いていた。

フミちゃんがスーパーマリオに言った。
「わたし、山に登りたい。」
「うん!
 登ろう!!登ろう!!」


スーパーマリオの登場で、完全にわたしたちの出る幕はなくなった。

マリオのほうが先輩だからか、「登ろう!登ろう!!」と楽しそうにフミちゃんを誘うマリオをロッキーは制することもなかった。

結局フミちゃん、トオルくん、マリオ。
イクエ、ケンゾー、ロッキーで登ることになった。

出発前、温かいお茶とパンを食べる。
「フミちゃんのためなら登頂を諦めてもいい」と真剣な顔で言っていたトオルくんだけど、やっぱり嬉しそう。
左側に写っているフミちゃんも、あんなにキツそうだったのにいきいきとした顔をしている。
それに比べて、わたし・・・。
肌は土気色、不安そうな目、年老いたおばちゃんだ。
わたし、大丈夫かなあ・・・。

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山小屋には40人ぐらいの客がいて、順番に出発していく。

太陽が昇ると雪が溶けて危ないので、朝6時ぐらいまでには山頂の手前までに着いておかないとだめ。
山頂を前に、雪のコンディションのせいで登頂断念というのはよくあること。

ここから山頂までは5時間から6時間くらいと聞いていた。

1時に出発すると聞いていたけど、それだとギリギリ。
きのうここまで来るとき、わたしは誰よりも足が遅かった。
高山病の症状もあった。
常に心臓はバクバクしていたし、息苦しかった。
数十歩歩いては立ち止まって休憩、その繰り返しだった。
だからケンゾーと言っていた。

「これだと日の出までに間に合わない。
 誰よりも早く、12時半くらいには出発したい。」

だからわたしとケンゾーは慌てていた。
だけどロッキーはそんなこと気にすることもなく、わたしたちをテーブルにつかせ、ゆっくりとお茶を飲ませ、ほかの客が先発するのを見送っていた。

登頂率50パーセント。
この日本人4人組はきっと登頂は無理だから、マイペースでできるところまで進もうという作戦なのかもしれない。

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やっとわたしとケンゾーの番がきて、外に出た。
きょうは新月。
外は闇。

地面は雪で覆われている。
レンタルした2足のシューズを履く。
どちらもハイカットで重い。
靴下4枚重ね、靴の上に靴を履き、さらにその上からアイゼンを装着する。

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腰にハーネスをつけ、ロープで3人が数珠つなぎになった。
先頭がロッキー、真ん中がケンゾー、最後がわたし。
わたしもケンゾーも、てっきり体力がなく小さなわたしが真ん中にされるものと思っていた。
前と後ろ、両方でわたしを支えることができるから。

どうして、わたしがいちばん最後?

でも、これはロッキーなりの作戦で、あとでその理由がわかることになる。

準備完了。

後ろからフミちゃんたちの朗らかな声が聞こえていた。
わたしたちより5分から10分遅れくらいで出発する感じだ。

ケンゾーが時間を見て、大きな溜め息をついた。
「うっわあー。
 もうこんな時間やん。」

「え?何時?」
「1時40分。」

ケンゾーはかなり失望していた。
わたしは、そこまで失望する余裕はなかった。
時間までにたどり着けるかどうかよりも、どのくらいまで行けるかなあ、高山病の症状が出てこないかなあ、という目先のことを考えていた。

もしギブアップするなら、ケンゾーよりもわたしだ。
けっして山登りに慣れているわけではないけど、ケンゾーは山に強いと思う。
テレビのカメラマン時代に仕事で富士山に登ったとき、ほかのスタッフや芸人さんがリタイアする中ケンゾーはカメラを持って最後までリポーターと登頂できた。
きのうも登りながら、途中で写真を撮るために先回りしたり小走りしたりしていて、それを見てトオルくんが「ケンゾーさん、体力ありますねえ」と感心していた。

ケンゾーは登る気まんまんだ。
わたしも登頂したいけど、なんとも言えない。
きのうここまで登ってくるなかで、わたしは足が遅かったし、ほかの人よりもかなりバテていた。
きのうの状態で言うなら、登頂率50パーセントの枠から完全に外れている。

でも、もしわたしがリタイアしてもケンゾーは一切わだかまりをもたないと思う。

「しょうがないよ。あそこまで登れたから、挑戦して良かったね。」と夫婦で思える。
ギブアップしても、ふたりのいい思い出として残ると思う。

でもやっぱり登りたい。
登らせてあげたい。
ケンゾーと山頂までたどり着けたら気持ちいいだろうな。

ここから山頂までの標高差は960メートル。
たったの5時間でわたしたちは登りきることができるんだろうか。

新月で真っ暗とはいえ、雲はあまりないし、風も強くない。
きのうまであった頭痛も治まっている。
コンディションは悪くない。

よし、がんばろう。

このあと、吹雪に見舞われることになるなんて、このときは思ってもみなかった。

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