Now,we are HERE!
訪れた国は78カ国
旅した期間は1257日
2016年2月14日に帰国!
プロフィール

ケンゾー   イクエ


2007年10月 結婚
2012年09月 世界旅行に出発

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アットホームなホテルの意味は?

2014.01.17 06:17|チュニジア☞EDIT
夫に白髪を切ってもらったイクエです。
今は数えるくらいだけど帰国するときに真っ白になってたらどうしよう。
旅行中に白髪染めデビューするのはイヤだな。

泊まっているバザール前にある安宿。
新しい客が入ってくるきざしはない。

昔はちゃんと「安いホテル」として機能していて、たまにツーリストも泊まりに来ていたのだと思う。
でも経営者が変わったのか経営努力が見られず、ただの「このままつぶれていくホテル」といった感じ。
旅行客を泊めたいという意欲なんて、もうずっと前に失ってしまったかのよう。

レセプションを見れば一目瞭然。

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昔はこの棚に、各部屋の鍵とかホテルのパンフレットとか置いてたんだろうけど・・・。
なんだろね、これは。

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この宿が奇妙な感じがするのは、ホテルのやる気のなさ以外にも原因がある。
それは、泊まっている人たち。
客なのか、ここをアパート代わりに長期滞在しているのか、それとも従業員なのかよくわからない。

どう見ても、観光客ではなく現地人。
隣り合う2部屋に2〜3人ずつ泊まっている。
調理器具みたいなものもあって長く滞在している雰囲気が漂っている。

30歳くらいの男が1人、あとは女性。
イスラム教のチュニジアには珍しく全員スカーフはかぶっていない。
いつもジャージーっぽい楽そうな服を着て、ダラダラしている。

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みんなフレンドリーでもないし、愛想がいいわけでもない。
女性と一緒に泊まっている1人の男だけは愛想がいい。

廊下で会うと「ハローーー」と笑顔で話しかけてくる。
その声は驚くほど甲高い。
裏声のような、声変わりしていないような、奇妙な声。

隣の部屋に泊まっているくせに、ときどきレセプションに立っていることもあるし掃除をしてることもある。

「あの甲高い男、客かな、従業員かな?」
「あの女の人たちのヒモ?」

ホテルは2階建てで、2階のドアから棟続きの隣の建物の屋上へと行くことができる。
屋上に洗濯物を取り込みにいっていたケンゾーが、ちょっと焦った様子で部屋に戻ってきた。

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「オレのタオルがない!
 青いやつ。」

「あの女の人たちが間違って取り込んだっちゃない?」
「いや。
 パンツ、タオル、パッチって干しとって、間のタオルだけないもん。
 ぜったい盗まれた。」

「ちょっと、言ってきてみたら?」

廊下に出て行ったケンゾーに甲高い男が例の声で何か話しかけ、ケンゾーが「タオル知らない?」と聞いている。
そして、女の人とケンゾーが何かやりとりをしているのが部屋から聞こえた。
やりとりと言ったって、相手は英語が話せるわけではない。
ただお互い何か言いあっている。

ケンゾーが首を横に振りながら部屋に帰ってきた。
手にはタオルを持っている。

「わけわからん。
 なん、あの人たち。」

「どうしたと?
 タオル戻ってきたならいいやん。」

「タオルは返してもらえたんやけどね。」

「どうされたと?」
「タオル知らん?っておばちゃんに聞いたら、『いつの間にか自分たちの洗濯物に紛れとった!』ってしらじらしい感じで返してくれた。
それはいいんやけど、おばちゃんがニヤニヤしながら隣にいたもう一人のおばちゃんの胸を半分出して、『お兄ちゃんどう?』みたいなことを言ってきた!」


「なんそれ?
 胸出されたおばちゃんは抵抗せんと?」

「うん。ふたりでニヤニヤ。
おれの手を取って触らせようとしたけん、あきれて『ノー』って言って手を引っ込めたら、笑いながら2人でおばちゃんのおっぱいをモミモミして見せつけるんよね。太ったおばちゃん2人で意味分からん。」

「それって、『どう?』って誘いよるってこと?」
「たぶんね。」

「あーーーー!!
 そういうこと!?
 あの人たち、売春婦ってこと!?


そう思うと、すべてが納得できた。
彼女たちはここに住んで客を待っていて、客がきたら空いている部屋に移動して、コトをやるのだ。
 
イクエが学生のときメキシコを1人で旅していたときも、まちがってこういうたぐいの宿に泊まったことがある。
ティファナというアメリカとの国境の街で泊まった間口の狭い薄暗い宿。
そこは売春婦が客といっしょにやってくる連れ込み宿だった。

でも、この宿は連れ込み宿というよりも「売春宿」。
お客がやってきては、彼女たちの部屋に行って相手を選ぶ。
選ばれた女は、奥の空いている部屋へと男を案内する。

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女性たちはお世辞にも若くて綺麗とは言えない。
着飾ってもいない。
髪もぼさぼさ、化粧もほとんどしていない。
人生疲れている感じがする。
20代もいるんだろうけど、30すぎににしか見えない。
40オーバーの人もいる。

屋上から下界を見ている彼女たち。
(いちばん左はイクエ。真ん中の男が「甲高い男」。)

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イスラム教の国だからこそなのか、性的な欲求を解消する機会がほとんどないのか、この闇の売春宿はけっこう繁盛している。
とくに週末は立て続けに客が入ってくる。
客の男性たちはイクエたちと廊下で鉢合わせになっても「どうせ外人だから」という感じで気にしない。
客はおじさんだけじゃなくて、身なりのいい学生みたいな男も多い。
「え〜、こんな若い青年が、こんな年上の太った女性と?」と正直驚いてしまうけど、日本みたいに性風俗が発展していないのでここぐらいしか来るところがないのかもしれない。

みんな化粧っけはないけど、1人だけバッチリメークをしている人がいる。
バッチリメークというか、まさに「京劇」のメーク。
違和感があり過ぎる。
メーク道具じゃなくてサインペンで落書きしたようなメーク。
眉毛はマジックで細く書いて、アイメークは派手すぎて異様で、唇はサインペンでおちょぼ口に縁取りだけしているような・・・。

最初、彼女に会ったときはあまりのメークに動揺してしまって「ハロー」の声がうわずってしまった。

「なんであんなふうにしたんやろ。」
「あれ、入れ墨やない?」
「そうかも!
 入れ墨かもしれん。」


ケンゾーの発言に、想像力が広がっていった。

貧しい家で育った彼女は幼いころ両親に捨てられて・・・。
そのあと彼女は面倒を見てくれる売春婦の先輩か男に巡り会って、なんとか生きていくことができるようになった。
けっしていい人たちではないけれど、彼女にとってはまるで家族のような存在。
だけど、そいつらはとんでもないやつで・・・。
「お前をきれいにしてやる」とか言って、軽いノリで彼女に奇妙なメークの入れ墨をさせて、裏で笑い者にしてたんじゃないか・・・。

そんなことを思うと、急に彼女がかわいそうに思えてきた。
あんな入れ墨をさせられて、一生あんな顔で生きていくなんて。
街も歩きたくないし、人にも会いたくない。
彼女が不憫でならない。

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そう思っていたけど4日目の朝に彼女を見たら、それがただの勝手な想像に過ぎなかったことを悟った。
彼女は、すっぴんだった。
入れ墨でも何でもなく、ただ自分がよかれと思ってやっていたメークだった。

そんな彼女たち。
ホテルの部屋に住んでる人もいれば、家から通って日中だけ部屋で待機する人もいる。
多いときで6人くらい。
ホテルの3部屋ぐらいが彼女たちの待機場所になっている。

ある日、ケンゾーが先に起きて廊下に出て部屋に戻った直後、あとをついて来るように新顔の女性がノックもせずに急にわたしたちのドアを開けた。
ケンゾーを見て何か言いかけたけど、ベッドに座っているイクエと目が合って気まずそうに出て行った。
その女性は日中にやってくる女性だからイクエの存在を知らず、たぶんケンゾーが1人客だと勘違いしてケンゾーを誘いにきたのだった。

ケンゾーはそのあとも、よく廊下で女性たちに誘われていた。

お客とコトをする部屋は決まっていて、そこの部屋のドアが閉まっていてトイレのあかりがついていると「あー、いま入ってるんだな」と思う。

たぶんここの宿のオーナーはマージンをとっている。
いつも対応してくれる宿のおじさんは、笑顔で優しいけどとんでもないやつだな。
そして宿の掃除も、彼女たちと甲高い男にさせている。

彼女たちの掃除の仕方はワイルドで、外に帰ったら宿が泡だらけになっていた。

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まるで銭湯の掃除みたい。

彼女たちと甲高い男の掃除のおかげで、古びた宿だけど不衛生な感じはしない。
ふたりで1泊20ディナール(1260円)。

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部屋のあかりは裸電球一個。

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トイレの窓は意味をなしていない。
でも、シャワーはアツアツのお湯が出る。

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ただ難点はトイレの水が流れないこと。
タンクが壊れていてホースのちょろちょろの水で流さないといけない。
そして流したはずなのに、たまに大が浮かんでいる。
なぜか夕方に逆流していることが多い。
夕方に部屋に戻るとウンコ臭くなっている。
誰のものか分からないものが浮いている。

イクエのものなのか、ケンゾーのものなのか、昔の人のなのか、もしかして隣の部屋から流れてきたものなのか・・・。

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宿のオーナーのおじさんにバケツを借りにいった。
おじさんはあいかわらず笑顔で対応してくれて「ああ!!バケツね♡」って言って、彼女たちの使っている共同トイレに案内してくれた。
そこにはバケツがあったけど、彼女たちのうちの1人が洋服を浸け置きしていた。
おじさんは彼女の名前を呼んで、洋服を取り出させた。
彼女はちょっと機嫌が悪くなって、ぷいっとして、バケツをイクエに渡した。

彼女は部屋に戻っていった。

おじさんは彼女が機嫌を損ねたのが気になったのか、イクエの肩を抱いて耳打ちした。

「もう1回だけ、彼女の部屋に行ってありがとう、チュ♡って言ってくれないかな。
 ね、それでおさまるから。」


そんなのどうでもいいよ、わたしは客だし、だいたいトイレのタンクが壊れているせいで部屋中が臭くなってるのに、文句も言わずに、当然のようにバケツを借りて誰のものかもわからないウンコを処理してあげようとしてるのに・・・と心の中では思ったけど、面倒くさいのでおじさんと彼女の部屋に行った。

「サンキュー♡ バーイ!」

ニコっとするのも忘れなかった。

部屋を出るとおじさんがまた異様にイクエに近づいて、まるで子どもを褒めるみたいに「よくできたね」と肩を抱いた。
そして、「よくできました♡ ありがとう♡」のチューをしようとした。
ほっぺたにするのは阻止して、しょうがないからかわりに頭を突き出して後頭部にチューさせた。

このおやじは、こんなふうにして売春婦たちを統制してるんだ。

宿の入口はバザールの通りに面していて、食堂やお土産物屋さんが並んでいる。

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宿のおやじは、一日中外の椅子に座って客待ちをしている。
イクエとケンゾーがバックパックを背負ってここを通ったときに客引きをしなかったのは、イクエたちのような客じゃなくて買春客を客引きしてたからだったのかとあとになって納得。

なんやかんやで、この宿の愉快な仲間たちとも付かず離れずの関係で、なぜか居心地良く感じて、5泊もしてしまった。

この売春宿がわたしたちが持っている古い『地球の歩き方』に安宿として掲載されている。
そのときはまだ売春宿じゃなかったんだろうな。
オーナーが変わってしまったのか、設備が古くなってツーリストが寄り付かなくなったから売春宿にしてしまったのか。

宿のおやじ、そして宿のおやじの補佐役なのか彼女たちのパシリなのかわからない甲高い男、そしていつもけだるそうな女性陣。

この宿が『歩き方』の紹介文になんて書いてあるのか気になったので、見返してみた。

思わず笑ってしまった。

「通り沿いで騒々しいが、清潔感がありシンプルだが心地よい安宿。
家族経営でアットホーム。」


ある意味、家族みたいなもんだよね。
アットホームすぎるしね。
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