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ケンゾー   イクエ


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世界は『スラムドッグ$ミリオネア』

2013.05.02 06:20|インド☞EDIT
普段見かけない日本人の団体ツアー客と遭遇し、「そういえば、日本はゴールデンウイークかあ。」と気づいたイクエです。

かつてはボンベイと言われた、ここムンバイ。
ビルが乱立する経済都市。
街に勢いがある。

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旅をしていて「この街は経済的に発展しているな」と発展具合を感じるとき、イクエが指標のようにしているものがある。
ひとつは高層ビルの多さ。

そしてもうひとつは、広告。
人々が生きるために最低限必要なものだけで生活している田舎に、巨大な広告はない。

ムンバイは、大きな広告看板のオンパレード。
これまでのインドやバングラデシュであまり見なかったので、新鮮で気になってしょうがない。

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バス停にもマクドナルドの巨大看板。
「マサラ・グリル・チキンバーガー」
牛肉を食べないヒンドゥー教徒、そして辛いの大好きなインド人にぴったりの新商品?

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そしてこんなバス停の看板もあった。
婦人服と子供服の広告。
ケンゾーとイクエはどきっとしてしまった。

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田舎でも寺院の前では露店で参拝用の花を売っているけれど、この手の大きな花屋さんは都会でしか見かけない。
わざわざ花を買って自宅に飾る、もしくは他人に花を贈るというのは、ある程度、生活(家計)に余裕がないとしないことなのかもしれない。

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ムンバイは今やインドで一番発展している都市だけど、16世紀には7つの島と小さな漁村しかなかった。
東インド会社がこの場所に目をつけ、埋めたて地がつくられ、都市が形成されていったのだそう。

ガイドブック『地球の歩き方』には、ムンバイについてこんなふうに紹介してある。

「ムンバイはほとんどゼロから生み出されたといってもよい。

この街の建設に参加した者は、誰もが受け入れられた。

本土から来たマハーラーシュートラの人、グジャラートやスィンドの商人、北インド、南インドの人、ペルシアを追われたパールスィー教徒、アラビア海を渡ってきたイスラーム教徒、アフリカ、アルメニア、ポルトガルやイギリスから来た人たち、軍人、没落したマハーラージャ、建築技師、ジャーナリスト、アラブの富豪に証券ブローカー、里帰りしたインド移民の子孫、映画スター、デザイナー、モデル、作家、アーティスト、そのほかあらゆる種類のカタカナ職業、絶えることのない出稼ぎ、ギャング・・・。

最先端であり、危険寸前のボーダー。

注目を浴びる華やかなセレブがいて、スラムや裏社会で生きるエッジな人たちがいる。」


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お金持ちの家庭に生まれた子ども。
路上で生まれた子ども。

富む者も、貧しい者も、そして成り上がりも・・・この街にはいる。

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高層マンションの建設ラッシュ。
そして、そのそばにはスラム。
光と影が・・・この街にはある。

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ここムンバイを舞台にした映画『スラムドッグ$ミリオネア』。
スラムで育ち、満足な教育も受けていない青年が、クイズミリオネアに参加。
自らの体験と記憶力を頼りにクイズに正解して勝ち進み、莫大な賞金を手にするというサクセスストーリー。

そんなインディアンドリームがふさわしい街なのかもしれない。

一握りの億万長者。
その他大勢の貧しい者たち。
金持ちを妬みながら、そして金持ちに憧れながらも、生きるために食べるために目の前の仕事をきょうももくもくとやっていく。

ムンバイの繁華街の陸橋の下に日本にはない、ある光景が広がっている。
立ち止まって、のぞき見る人々。

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その目線の先には・・・。

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100年以上の歴史をもつ、屋外洗濯場「ドービー・ガート」。
洗濯夫たちが、他人の服を洗い続けている。

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カーストによって職業が決められていた時代、インドでは洗濯夫は身分が低い人の仕事だったという。

日本のクリーニング店とはわけが違う。
クリーニングに出さないといけないようなデリケートな服を、丁寧に扱っているのではない。
彼らの役目は、人力洗濯機。

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ただ、洗っていく。
ただ、汚れを落としていく。

貯水槽に体ごと入り、他人の汚れた衣服を力いっぱい叩きつけながら洗っていく。

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彼らの給料はどのくらいなのだろう。

洗う物は、シャツやシーツ、タオル、ユニフォーム・・・。

洗濯機を買うよりも、彼らに毎回頼んだほうが安いのだろう。

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なかには小学生ぐらいの男の子も働いている。

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隣は線路で、すぐ脇を列車が通る。

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洗う人、干す人、畳む人、仕分ける人、そして運ぶ人。
大きな布にくるんで、台車で運んだり、担いで運んだり。
かなり重そうだ。

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刻一刻と発展し続ける大都会ムンバイの街。
目覚ましい成長ぶりだ。

だけど、ここだけは100年前と変わらない。
経済都市の一画に、取り残された屋外洗濯場。

吹きだまりの風を受けて、きょうも洗濯物がはためいている。

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海に面した港町、ムンバイ。
『スラムドッグ$ミリオネア』にも、海岸のシーンがあった。

裕福な人たちが所有しているのだろうか。
海にはプレジャーボートも浮かんでいる。

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人々の憩いの場であるチョウパティービーチに行ってみる。

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水着を着て泳ぐのではなく、服のまま足だけ海に浸かってはしゃぐのがインド流マリンレジャーの楽しみ方。

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ちなみに、ビーチでは砂のお城じゃなくて、リンガ(男性器 シバ神の象徴)をつくるのもインド流?

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こちらの子どもは、何かを浮かべて遊んでいた。

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何かと思ってみたら、ヒンドゥー教の女神さまだった。

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追いかけっこをしている若者たち。
こんなふつうのファッションをしている女の子は、インドではめずらしい。

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楽しげで、みんな笑顔で、幸せそうで。

だけど、海に背を向けて岸辺の隅に目をやるとそこには違う世界がある。
ほったて小屋が並んでいる。
ここで生活し、生きている人たちがいる。

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このビーチで、仕事をしている人たちもいる。
ござを持ち歩き、誰かがビーチに座ろうとしたらさっと敷いて「ござレンタル料」を徴収する人。
かき氷を売る人、シャボン玉をひたすらやって見せながらシャボン玉セットを売る人。

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そして、こんなことをしている人もいた。

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「おもちゃの車に乗らないか。
ビーチを押して周ります。
ほらほら、坊や、嬢ちゃん、楽しいよ。」

バギーを押しながら、ビーチで遊んでいる親子連れに声をかけていく。

でも、砂の上を押して周るのは大変。
しんどそうに「はあ、はあ」息を切らしながら、金持ちの子どもを乗せてひたすら後ろから押す。

「カーストが低い人には肌の色が黒い人が多い。」
そんな風に言われることがある。
色の白いアーリア系が決めたカースト。
その名残が未だに残っているのかもしれないし、一日中外で生活するから日に焼けてどんどん黒くなるのかもしれない。
ほんとうのところはわからないけど、こういう光景に出くわすと肌の色を意識して見てしまう。

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そして、この仕事をしているのは大人だけではないのだ。
ショックだ。

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子どもが子どもを押している。

押している子は、どんな気持ちで押しているのだろうか。

乗っている子は、自分と同じ年くらいの子が押していることに居心地の悪さは感じないのか。

表向きにはカースト制は廃れ、それでも貧富の差は当たり前のように存在し続ける。

これが、インドなのか。

富む者も、貧しい者も、そして成り上がりもいるムンバイ。

多くのインド映画は、ここムンバイ(ボンベイ)で製作されていて、ハリウッドにちなみ「ボリウッド」とも呼ばれている。
だから、ほとんどの映画スターもこのムンバイに住んでいる。

華やかな世界がすぐそこにあるし、貧しい世界もすぐそこにある。

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夢のような幻のような華やかな世界。
妬ましくもあり、憧れてもいる世界。

『スラムドッグ$ミリオネア』のようなサクセスストーリーが、自分のこれからの人生に待ち受けているなんてとうてい思えない。

だけど、その可能性はまったくのゼロではない。

諦めながら、夢見ながら。
そんな狭間で、人々は目の前のいまを生きている。

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