クリスマスイヴにとくに夫からクリスマスプレゼントをもらうでも豪華なディナーをごちそうになるでもなく、いたって普通の日を過ごしたイクエです。
みなさんはいかがでした?
ローマの西側にある小独立国家ヴァチカン市国。
1929年に成立した0.44平方kmの世界最小の国。
広さは中国の天安門広場と同じくらいらしい。
でも世界中のカトリックの総本山とういう意味で、世界最強の国でもある。
ムッソリーニ政府が法王を君主とする独立国家ヴァチカンを承認し、法王庁もイタリア王国を認めるという取り決めのもと、誕生したのだそう。
ヴァチカン市国の顔とも言えるのがカトリックの総本山サン・ピエトロ大聖堂。
ネロ帝のキリスト教の迫害に遭い、殉教したサン・ピエトロの墓の上に建てられた。
この大きなドーム屋根は、ローマの高台に行けばたいていどこからでも見える。
写真右奥がその大聖堂。

「あー!
あそこがヴァチカン市国なんだあ。」
ローマにいながらにして、イタリアとは別の国の全貌がほぼ見えるので不思議な気分になる。
イタリアの中にあるこの小国には、ローマ駅の前からバスで向かう。

ここで注意!!
イタリアの大都市には、メトロやバス、トラムの共通1日乗車券がある。
だいたい3~4回乗れば元がとれるので、お得。
ミラノでも1日乗車券のお世話になったから、ローマでも購入したはいいけど、朝使おうとしたら使えない!
そんなはずはない。
きのうの夜9時ごろ最初に使った。
24時間使えるはずだから、きょうの夜9時まで使えるはず。
ここに落とし穴が・・・。
じつはこの1日乗車券、ミラノでは「最初に使ったときから24時間有効」なんだけどローマでは「その日の24時まで有効」。
どちらも切符や販売機に「24h 有効」みたいな文字が書いてあるので同じ内容に見えるんだけど、違うんだよね。
「24時間」と「24時まで」という違い。
イクエとケンゾーは前日の夜に買ってしまったので、元をとることなく有効期限を迎えてしまっていた。
あちゃああーーーー。
先にミラノを経験してる旅人は、このトラップにひっかかっちゃうよ。
どっちかに統一してくれればいいのに・・・。
バスを降りるとどーんと、あのシンボルがお出迎え。
ついに、ヴァチカン市国にやってきました!

堂々とそびえる白亜の聖堂は、まるでお城みたい。
この両脇には半円形の回廊が囲んでいる。
この回廊は284本の円柱に支えられていて、上には140人の聖人の像が。

ヴァチカン市国へはこの向かって右側の回廊から入国する。
といっても、出国・入国手続きなんて必要ないしパスポートを見せる必要もない。
まあ、「国」と言ったって普通の「国」とは違うからね。
でも、手荷物検査とボディーチェックがある。
テロリストからの攻撃を防ぐためなんだろうけど、かなりいいかげん。
ナイフの持込みはダメみたいだけど、バッグに入れていた十徳ナイフは荷物のスキャンでも気づかれず特に何も言われなかった。
ヴァチカン市国ってカトリックの総本山だからもっと警備が物々しいと思ってたけど、そんな感じはしない。
こんなかわいらしい人が門番。
ヴァチカン市国を守っているのはスイスの傭兵なんだって。

さあ、カトリックのもっとも重要な聖堂のなかをごらんいただきましょう。
大きくてはなやかでかっこいい~!!

通路の真ん中には、通れないように幕が立てかけてある。
ローマ法王や特別なVIPしか通れないんだろうね。
ますます、教会っていうよりもカトリックのお城みたい。
法王も聖者というより、まるで「王様」だね!
まあ、法「王」って言うくらいだからね。
入ってすぐの右側に人が集まっているところがある。
大きなガラス張りの向こうに白く輝く何かがあるよ。

ミケランジェロが制作した彫刻「ピエタ」。
(ピエタ=キリストの遺体を膝に抱いて嘆き悲しむマリア。嘆きの聖母像)

高校の美術の教科書でみたやつだー!!
美術じゃなくて、世界史だったかなあ・・・。
とにかく、有名なやつよ!!
この大聖堂は4世紀にサン・ピエトロ(聖ペトロ)の墓の上に聖堂が建てられたことがはじまり。
1452年にニコラウス5世が再建するように命じて1626年に完成したもの。
もちろん、この大聖堂の設計にもミケランジェロが加わっている。
どこに目をやっても美しくてため息が出る。
華やかだけど重厚感たっぷり。
「すっげ~」「すっげ~」と言いながらシャッターを切るケンゾー。
「すっげ~」という言葉しか思いつかない、表現力の乏しさ。
と思ったらケンゾーが似合わない言葉を大真面目に発した。

「絵画の中に入り込んだみたいやー」
確かにそう!!
いいねえ~♡ 彦摩呂っぽいよ♡

この大聖堂の壁際にはいくつもの礼拝堂がある。
それぞれでミサが行われている。

大聖堂の気品あふれる優美さを堪能し、出口まで行って思い出した。
「あ、そういえば歴代の法王のお墓が地下にあるんだった!」
「そうやった。見るの忘れた! もどろっか。」
中に引き返した。
「あー、たぶんここだ!」
「そうやね、でも誰も入ろうとせんね。
穴場かもしれん。」
階段を地下へと下りていくと、係の人がイクエたちにあいさつし、中に進むように目配せした。
「あー、あそこ。この前亡くなられた法王のお墓は。」
「なんか人がいっぱい集まっとるね。」
でも、何か変!
誰かが来るのをみんなで待ち構えている感じなのだ。
しかもみんな「関係者」のタグのようなものを首からぶら下げている。
しかも記者やカメラマンっぽい人も多い。

そしてみんな黒い服を来ている。
かたやケンゾーはユニクロの黄緑のダウンジャケット、イクエも薄いグリーンのセーター。
入っては行けないところに、紛れ込んでしまった!
いそいでマフラー代りにしていた黒いストールを広げて、上半身を覆った。
司祭さんが入ってくると、いっせいにマスコミ関係者がカメラをまわし、フラッシュをたいた。
隣の男性が、小声で話しかけてきた。
「ぼくたちはメキシコから来て、ここに献花しにきたんだ。」
メキシコの有名なカトリック団体がやってきてお墓に献花をし、ローマ法王に近しい司祭さんが「どうもありがとう」みたいなことを言っているようす。
完全に部外者のイクエとケンゾーだけど、誰も咎めない。

さっき、小声で話しかけてくれた男性が言った。
「君たち、日本人なの?
おれ、日本大好きなんだ。
漢字でタトゥーも入れてるんだ。」
ここに来るような敬虔なカトリックの信者も、漢字のタトゥーなんかいれるんだあ。
どんな文字を入れてるのかなあ。
厳かな儀式の中、そんなことを考えた。
儀式が終わって、男性に別れを告げて階段を上がると、儀式が終わるまで立ち入り規制されていたようで一般の人が入口で待っていた。
なぜわたしたちがこの中に紛れ込めたのか謎。
警備員がケンゾーの濃い顔をメキシコ人と勘違いしたのか、南米の日系人と思われたのか・・・。
よくわからないけど、なんか得した気分。
ヴァチカン市国は、敷地内を自由に動き回れるかというとそうではない。
一般人が入れるところは限られている。
この、サン・ピエトロ大聖堂とヴァチカン博物館、それと一部分の庭園。
ヴァチカン市国は、もっと広いと思っていた。
石畳の上を歩いて、建物から建物に移動し、写真を撮りながら散策し・・・。
そんなことを思い描いていた。
だけど、大聖堂から博物館に移動するのもいったん敷地外に出て城壁沿いを歩かないといけない。

そして通りに面した博物館の入口から中に入る。
博物館に入るには16ユーロの入場券を買わないといけない。
これだけでヴァチカン市国、1日でかなり稼いでると思う!
ヴァチカン市国に来ても「国」という雰囲気は味わえない。
「小国の散策」ではなく「大聖堂と博物館をそれぞれ観覧する」といったほうがぴったり。

この博物館は「ヴァチカン宮殿」とも呼ばれるところで14世紀以降、法王の住居となったところ。
といっても、法王の部屋があるのはわずかで、20もの博物館、美術館、絵画館で占められている。
言ってみれば、歴代法王のコレクション置き場。


もうね、この言葉を連発したよ。
「どんだけ~!!」

どんだけ収集すれば気がすむと!?
そんなもんまで集めんでいいやろ。
どんだけ物欲が強いと!?
「カトリック」に関係のないものもけっこうある。

「コレクション」っていうか、エジプトとかから勝手に奪ってきたやつだよね・・・。
ガイドブック『地球の歩き方』には「全部を丹念に見て回るには1週間は必要」と書いてある。
紀元前の彫刻なんかもあって、ひとつひとつがすごいんだろうけどこれだけあるとありがたみがない。
法王も何のためにこんだけ集めたかね?
みんな飽きてくる。


有名人の作品もあるけど、足を止める人はほとんどいない。
こちらはミケランジェロの作品。

これはマティスがデザインした斬新なマント。
大御所がわざわざ作ったけど、法王は一度くらいは着たのかな。

素通りされている部屋があった。
一応覗いとくか、と見てみたらほかの画家の絵に混じってゴッホの作品があった。
係員も誰もいないし、盗めそうなくらいだった。

ケンゾーがここに来る前「ヴァチカンは世界で一番お宝が集まっとるところ。やけん世界で一番警備が厳しい。どんな泥棒もヴァチカンにはお手上げ。」なんてことを言っていた。
だけど、ガードが固い雰囲気はさらさらない。
要所要所で椅子に座っている監視員はたいてい携帯電話をいじっている。
これだけお宝があると、一日にひとつやふたつなくなっても気づかないかもよ。

こちらは、巨大絵画の展示スペースに見えるけど実は絵画じゃない。

カーペット。
これだけ丁寧につくるのに、どのくらいかかるんだろうね。
で、こちらは壁中に地図が飾ってあった。

地図には教会の絵が描かれていたから「この地域にはこのくらいカトリックが浸透している」というようなことをあらわしているのだと思う。
征服の地図みたいだな。
みなさんお気づきになったかもしれませんが、すごいのは展示品だけじゃなくて部屋の内装も。
天井にも彫刻や絵画がびっしり。

どの部屋もこんな感じ。
「贅を尽くした」という表現がぴったり。
もう「どんだけ~!!」。

どこも派手で心休まる場所がない。
何もないシンプルな部屋でくつろぎたいとか思わないのかな。

有名な画家ラファエッロが25歳の時から37歳で死ぬまで壁や天井に絵を書き続けたというラファエッロの間。
部屋は4つあり、壁も天井もすべて緻密な絵で埋め尽くされている。
有名な『アテネの学堂』の絵。
高校の哲学の授業で出てきたこの絵は、こんなところに描かれてたんだね。

天を差すプラトン、そして地を示すアリストテレス。

ラッファエッロの間のほかに、ボッティチェリやミケランジェロが絵を描いたシスティーナ礼拝堂も壁を見ても天井を見ても有名な絵だらけで、目のやり場に困った。
残念ながら、ここは撮影禁止だった。
ミケランジェロの『最後の審判』や『アダムの創造』の絵は迫力たっぷりだったよ。
法王に絵を描くことを命じられたミケランジェロ。
無理な姿勢で天井に絵を描き続けたので、ひざに水が溜まって背中が猫のように曲がってしまったらしい。
かわいそうに・・・。
しかも「最後の審判」で、ミケランジェロは何もまとわないキリストや裸体像を描いてたんだけど、法王がほかの画家に腰布を描き足すように命じたんだって。
たしかに大事なところだけ布で隠されている絵が多い。
このせいでミケランジェロは「フンドシ画家」って呼ばれたらしい。
かわいそうに・・・。
いやあ~、ヴァチカン市国にはいろんな意味で度肝を抜かれた。
「神聖」という言葉なんかわいてこず「物欲」という言葉をなんど思い浮かべたことか。
「法王は関係者による選挙で選ばれるけど、いろんな確執があるんだろうね~。」
「いろんな駆け引きがあったり、金が動くんだろうね~。」
なんて、いろんな憶測をしたイクエとケンゾーだった。
みなさんはいかがでした?
ローマの西側にある小独立国家ヴァチカン市国。
1929年に成立した0.44平方kmの世界最小の国。
広さは中国の天安門広場と同じくらいらしい。
でも世界中のカトリックの総本山とういう意味で、世界最強の国でもある。
ムッソリーニ政府が法王を君主とする独立国家ヴァチカンを承認し、法王庁もイタリア王国を認めるという取り決めのもと、誕生したのだそう。
ヴァチカン市国の顔とも言えるのがカトリックの総本山サン・ピエトロ大聖堂。
ネロ帝のキリスト教の迫害に遭い、殉教したサン・ピエトロの墓の上に建てられた。
この大きなドーム屋根は、ローマの高台に行けばたいていどこからでも見える。
写真右奥がその大聖堂。

「あー!
あそこがヴァチカン市国なんだあ。」
ローマにいながらにして、イタリアとは別の国の全貌がほぼ見えるので不思議な気分になる。
イタリアの中にあるこの小国には、ローマ駅の前からバスで向かう。

ここで注意!!
イタリアの大都市には、メトロやバス、トラムの共通1日乗車券がある。
だいたい3~4回乗れば元がとれるので、お得。
ミラノでも1日乗車券のお世話になったから、ローマでも購入したはいいけど、朝使おうとしたら使えない!
そんなはずはない。
きのうの夜9時ごろ最初に使った。
24時間使えるはずだから、きょうの夜9時まで使えるはず。
ここに落とし穴が・・・。
じつはこの1日乗車券、ミラノでは「最初に使ったときから24時間有効」なんだけどローマでは「その日の24時まで有効」。
どちらも切符や販売機に「24h 有効」みたいな文字が書いてあるので同じ内容に見えるんだけど、違うんだよね。
「24時間」と「24時まで」という違い。
イクエとケンゾーは前日の夜に買ってしまったので、元をとることなく有効期限を迎えてしまっていた。
あちゃああーーーー。
先にミラノを経験してる旅人は、このトラップにひっかかっちゃうよ。
どっちかに統一してくれればいいのに・・・。
バスを降りるとどーんと、あのシンボルがお出迎え。
ついに、ヴァチカン市国にやってきました!

堂々とそびえる白亜の聖堂は、まるでお城みたい。
この両脇には半円形の回廊が囲んでいる。
この回廊は284本の円柱に支えられていて、上には140人の聖人の像が。

ヴァチカン市国へはこの向かって右側の回廊から入国する。
といっても、出国・入国手続きなんて必要ないしパスポートを見せる必要もない。
まあ、「国」と言ったって普通の「国」とは違うからね。
でも、手荷物検査とボディーチェックがある。
テロリストからの攻撃を防ぐためなんだろうけど、かなりいいかげん。
ナイフの持込みはダメみたいだけど、バッグに入れていた十徳ナイフは荷物のスキャンでも気づかれず特に何も言われなかった。
ヴァチカン市国ってカトリックの総本山だからもっと警備が物々しいと思ってたけど、そんな感じはしない。
こんなかわいらしい人が門番。
ヴァチカン市国を守っているのはスイスの傭兵なんだって。

さあ、カトリックのもっとも重要な聖堂のなかをごらんいただきましょう。
大きくてはなやかでかっこいい~!!

通路の真ん中には、通れないように幕が立てかけてある。
ローマ法王や特別なVIPしか通れないんだろうね。
ますます、教会っていうよりもカトリックのお城みたい。
法王も聖者というより、まるで「王様」だね!
まあ、法「王」って言うくらいだからね。
入ってすぐの右側に人が集まっているところがある。
大きなガラス張りの向こうに白く輝く何かがあるよ。

ミケランジェロが制作した彫刻「ピエタ」。
(ピエタ=キリストの遺体を膝に抱いて嘆き悲しむマリア。嘆きの聖母像)

高校の美術の教科書でみたやつだー!!
美術じゃなくて、世界史だったかなあ・・・。
とにかく、有名なやつよ!!
この大聖堂は4世紀にサン・ピエトロ(聖ペトロ)の墓の上に聖堂が建てられたことがはじまり。
1452年にニコラウス5世が再建するように命じて1626年に完成したもの。
もちろん、この大聖堂の設計にもミケランジェロが加わっている。
どこに目をやっても美しくてため息が出る。
華やかだけど重厚感たっぷり。
「すっげ~」「すっげ~」と言いながらシャッターを切るケンゾー。
「すっげ~」という言葉しか思いつかない、表現力の乏しさ。
と思ったらケンゾーが似合わない言葉を大真面目に発した。

「絵画の中に入り込んだみたいやー」
確かにそう!!
いいねえ~♡ 彦摩呂っぽいよ♡

この大聖堂の壁際にはいくつもの礼拝堂がある。
それぞれでミサが行われている。

大聖堂の気品あふれる優美さを堪能し、出口まで行って思い出した。
「あ、そういえば歴代の法王のお墓が地下にあるんだった!」
「そうやった。見るの忘れた! もどろっか。」
中に引き返した。
「あー、たぶんここだ!」
「そうやね、でも誰も入ろうとせんね。
穴場かもしれん。」
階段を地下へと下りていくと、係の人がイクエたちにあいさつし、中に進むように目配せした。
「あー、あそこ。この前亡くなられた法王のお墓は。」
「なんか人がいっぱい集まっとるね。」
でも、何か変!
誰かが来るのをみんなで待ち構えている感じなのだ。
しかもみんな「関係者」のタグのようなものを首からぶら下げている。
しかも記者やカメラマンっぽい人も多い。

そしてみんな黒い服を来ている。
かたやケンゾーはユニクロの黄緑のダウンジャケット、イクエも薄いグリーンのセーター。
入っては行けないところに、紛れ込んでしまった!
いそいでマフラー代りにしていた黒いストールを広げて、上半身を覆った。
司祭さんが入ってくると、いっせいにマスコミ関係者がカメラをまわし、フラッシュをたいた。
隣の男性が、小声で話しかけてきた。
「ぼくたちはメキシコから来て、ここに献花しにきたんだ。」
メキシコの有名なカトリック団体がやってきてお墓に献花をし、ローマ法王に近しい司祭さんが「どうもありがとう」みたいなことを言っているようす。
完全に部外者のイクエとケンゾーだけど、誰も咎めない。

さっき、小声で話しかけてくれた男性が言った。
「君たち、日本人なの?
おれ、日本大好きなんだ。
漢字でタトゥーも入れてるんだ。」
ここに来るような敬虔なカトリックの信者も、漢字のタトゥーなんかいれるんだあ。
どんな文字を入れてるのかなあ。
厳かな儀式の中、そんなことを考えた。
儀式が終わって、男性に別れを告げて階段を上がると、儀式が終わるまで立ち入り規制されていたようで一般の人が入口で待っていた。
なぜわたしたちがこの中に紛れ込めたのか謎。
警備員がケンゾーの濃い顔をメキシコ人と勘違いしたのか、南米の日系人と思われたのか・・・。
よくわからないけど、なんか得した気分。
ヴァチカン市国は、敷地内を自由に動き回れるかというとそうではない。
一般人が入れるところは限られている。
この、サン・ピエトロ大聖堂とヴァチカン博物館、それと一部分の庭園。
ヴァチカン市国は、もっと広いと思っていた。
石畳の上を歩いて、建物から建物に移動し、写真を撮りながら散策し・・・。
そんなことを思い描いていた。
だけど、大聖堂から博物館に移動するのもいったん敷地外に出て城壁沿いを歩かないといけない。

そして通りに面した博物館の入口から中に入る。
博物館に入るには16ユーロの入場券を買わないといけない。
これだけでヴァチカン市国、1日でかなり稼いでると思う!
ヴァチカン市国に来ても「国」という雰囲気は味わえない。
「小国の散策」ではなく「大聖堂と博物館をそれぞれ観覧する」といったほうがぴったり。

この博物館は「ヴァチカン宮殿」とも呼ばれるところで14世紀以降、法王の住居となったところ。
といっても、法王の部屋があるのはわずかで、20もの博物館、美術館、絵画館で占められている。
言ってみれば、歴代法王のコレクション置き場。


もうね、この言葉を連発したよ。
「どんだけ~!!」

どんだけ収集すれば気がすむと!?
そんなもんまで集めんでいいやろ。
どんだけ物欲が強いと!?
「カトリック」に関係のないものもけっこうある。

「コレクション」っていうか、エジプトとかから勝手に奪ってきたやつだよね・・・。
ガイドブック『地球の歩き方』には「全部を丹念に見て回るには1週間は必要」と書いてある。
紀元前の彫刻なんかもあって、ひとつひとつがすごいんだろうけどこれだけあるとありがたみがない。
法王も何のためにこんだけ集めたかね?
みんな飽きてくる。


有名人の作品もあるけど、足を止める人はほとんどいない。
こちらはミケランジェロの作品。

これはマティスがデザインした斬新なマント。
大御所がわざわざ作ったけど、法王は一度くらいは着たのかな。

素通りされている部屋があった。
一応覗いとくか、と見てみたらほかの画家の絵に混じってゴッホの作品があった。
係員も誰もいないし、盗めそうなくらいだった。

ケンゾーがここに来る前「ヴァチカンは世界で一番お宝が集まっとるところ。やけん世界で一番警備が厳しい。どんな泥棒もヴァチカンにはお手上げ。」なんてことを言っていた。
だけど、ガードが固い雰囲気はさらさらない。
要所要所で椅子に座っている監視員はたいてい携帯電話をいじっている。
これだけお宝があると、一日にひとつやふたつなくなっても気づかないかもよ。

こちらは、巨大絵画の展示スペースに見えるけど実は絵画じゃない。

カーペット。
これだけ丁寧につくるのに、どのくらいかかるんだろうね。
で、こちらは壁中に地図が飾ってあった。

地図には教会の絵が描かれていたから「この地域にはこのくらいカトリックが浸透している」というようなことをあらわしているのだと思う。
征服の地図みたいだな。
みなさんお気づきになったかもしれませんが、すごいのは展示品だけじゃなくて部屋の内装も。
天井にも彫刻や絵画がびっしり。

どの部屋もこんな感じ。
「贅を尽くした」という表現がぴったり。
もう「どんだけ~!!」。

どこも派手で心休まる場所がない。
何もないシンプルな部屋でくつろぎたいとか思わないのかな。

有名な画家ラファエッロが25歳の時から37歳で死ぬまで壁や天井に絵を書き続けたというラファエッロの間。
部屋は4つあり、壁も天井もすべて緻密な絵で埋め尽くされている。
有名な『アテネの学堂』の絵。
高校の哲学の授業で出てきたこの絵は、こんなところに描かれてたんだね。

天を差すプラトン、そして地を示すアリストテレス。

ラッファエッロの間のほかに、ボッティチェリやミケランジェロが絵を描いたシスティーナ礼拝堂も壁を見ても天井を見ても有名な絵だらけで、目のやり場に困った。
残念ながら、ここは撮影禁止だった。
ミケランジェロの『最後の審判』や『アダムの創造』の絵は迫力たっぷりだったよ。
法王に絵を描くことを命じられたミケランジェロ。
無理な姿勢で天井に絵を描き続けたので、ひざに水が溜まって背中が猫のように曲がってしまったらしい。
かわいそうに・・・。
しかも「最後の審判」で、ミケランジェロは何もまとわないキリストや裸体像を描いてたんだけど、法王がほかの画家に腰布を描き足すように命じたんだって。
たしかに大事なところだけ布で隠されている絵が多い。
このせいでミケランジェロは「フンドシ画家」って呼ばれたらしい。
かわいそうに・・・。
いやあ~、ヴァチカン市国にはいろんな意味で度肝を抜かれた。
「神聖」という言葉なんかわいてこず「物欲」という言葉をなんど思い浮かべたことか。
「法王は関係者による選挙で選ばれるけど、いろんな確執があるんだろうね~。」
「いろんな駆け引きがあったり、金が動くんだろうね~。」
なんて、いろんな憶測をしたイクエとケンゾーだった。
【旅 info.】
ヴァチカン市国
大聖堂に行く場合はバス、博物館に行く場合は地下鉄の駅が近い。
大聖堂は無料(クーポラの展望台は有料)。
博物館は入場料16ユーロ。
混雑して入場規制がある場合もあるようだが、今回は並ばずに好きなペースで観覧できた。
博物館内には売店やカフェ(それほど高くない)、休憩スペースあり。
日曜やカトリックの祝日は休館。
ヴァチカン市国

大聖堂に行く場合はバス、博物館に行く場合は地下鉄の駅が近い。
大聖堂は無料(クーポラの展望台は有料)。
博物館は入場料16ユーロ。
混雑して入場規制がある場合もあるようだが、今回は並ばずに好きなペースで観覧できた。
博物館内には売店やカフェ(それほど高くない)、休憩スペースあり。
日曜やカトリックの祝日は休館。
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